演奏会で強い「一体感」
金沢市で知的障害者の音楽療法教室を開く「グループ銀河」が、韓国・光州市を訪れ、現地の知的障害児らと演奏会を通じ交流を深めた。日韓は外交面でぎくしゃくするが、そんな状況とは無関係。障害者同士の国境を超えた絆を確認する成果があった。
銀河代表の和田啓子さん(60)と親交がある韓国人の会社社長金沂秀(キムギス)さん(64)=金沢市小坂町=が現地の知人に協力を求め実現。銀河の障害者四人と父母、ボランティアら二十人が参加した。
五月三十一日に光州の知的障害児施設・白善パウロの家で、入所する幼児から高校生まで約六十人と交流した。翌六月一日に近くの教会で合同演奏会を開き、銀河は車いすに乗った障害者ら四人がダンスやバリトン独唱、鍵盤ハーモニカ演奏を発表。パウロの家の生徒たちもダンスやバンド演奏を披露した。
和田さんやボランティアらは、特別に準備した朝鮮民謡「アリラン」の歌に合わせ、民族衣装の女性らを描いたブラックパネルシアターを上演。金さんも韓国語で「星に願いを」を朗読した。双方の障害者の懸命な姿に加え、アリランを歌う演出が共感を呼んだ。和田さんは「この時会場の空気が変わり、強い一体感が生まれた」と振り返る。
帰国後の六月七日、銀河の練習場で報告会があった。参加者から、成果を振り返る発言とともに「韓国人の八割が日本を嫌いだというニュースが報道されていたが、現地でそんなことは感じなかった」「日本についていろいろ発言するのは政治家だけ。一般国民はそうでない」など両国関係についての意見が相次いだ。
来春、パウロの家の障害児らが金沢に来て銀河の演奏会に参加することが決まった。銀河のメンバーは、こんな時こその草の根交流のありがたみを痛感している。銀河の活動に共感すると繰り返す金さんも「相互訪問は理想。今後もできる限り応援したい」と話す。
グループ銀河 金沢市田上本町で20代の知的障害者ら12人が通う音楽療法教室を開く。2001年、中学校教諭の和田啓子さんが障害児に充実した生活を送ってほしいと開設。生徒は当初、奇声を発してふざけ合うなど統一行動が難しかったが、音楽療法士の資格を得た和田さんが、鍵盤ハーモニカ演奏などを指導するうち舞台発表が可能に。07年に市内で初演奏会を成功させた。ボランティアスタッフも歌やパネルシアターを披露し、舞台を充実。12年に宮城県の特別支援学校で演奏し、東日本大震災で被災した障害児らを励ました。授産施設で働く生徒や保護者らの生きがいになっている。
2014年7月20日 中日新聞
金沢市で知的障害者の音楽療法教室を開く「グループ銀河」が、韓国・光州市を訪れ、現地の知的障害児らと演奏会を通じ交流を深めた。日韓は外交面でぎくしゃくするが、そんな状況とは無関係。障害者同士の国境を超えた絆を確認する成果があった。
銀河代表の和田啓子さん(60)と親交がある韓国人の会社社長金沂秀(キムギス)さん(64)=金沢市小坂町=が現地の知人に協力を求め実現。銀河の障害者四人と父母、ボランティアら二十人が参加した。
五月三十一日に光州の知的障害児施設・白善パウロの家で、入所する幼児から高校生まで約六十人と交流した。翌六月一日に近くの教会で合同演奏会を開き、銀河は車いすに乗った障害者ら四人がダンスやバリトン独唱、鍵盤ハーモニカ演奏を発表。パウロの家の生徒たちもダンスやバンド演奏を披露した。
和田さんやボランティアらは、特別に準備した朝鮮民謡「アリラン」の歌に合わせ、民族衣装の女性らを描いたブラックパネルシアターを上演。金さんも韓国語で「星に願いを」を朗読した。双方の障害者の懸命な姿に加え、アリランを歌う演出が共感を呼んだ。和田さんは「この時会場の空気が変わり、強い一体感が生まれた」と振り返る。
帰国後の六月七日、銀河の練習場で報告会があった。参加者から、成果を振り返る発言とともに「韓国人の八割が日本を嫌いだというニュースが報道されていたが、現地でそんなことは感じなかった」「日本についていろいろ発言するのは政治家だけ。一般国民はそうでない」など両国関係についての意見が相次いだ。
来春、パウロの家の障害児らが金沢に来て銀河の演奏会に参加することが決まった。銀河のメンバーは、こんな時こその草の根交流のありがたみを痛感している。銀河の活動に共感すると繰り返す金さんも「相互訪問は理想。今後もできる限り応援したい」と話す。
グループ銀河 金沢市田上本町で20代の知的障害者ら12人が通う音楽療法教室を開く。2001年、中学校教諭の和田啓子さんが障害児に充実した生活を送ってほしいと開設。生徒は当初、奇声を発してふざけ合うなど統一行動が難しかったが、音楽療法士の資格を得た和田さんが、鍵盤ハーモニカ演奏などを指導するうち舞台発表が可能に。07年に市内で初演奏会を成功させた。ボランティアスタッフも歌やパネルシアターを披露し、舞台を充実。12年に宮城県の特別支援学校で演奏し、東日本大震災で被災した障害児らを励ました。授産施設で働く生徒や保護者らの生きがいになっている。
2014年7月20日 中日新聞