地域との交流を一層進めようと、県立特別支援学校が本年度、県内障害者福祉施設などで作られた物品を県庁で販売するイベント「セルプフェア」に定期的に参加していく。二十二日にはその第一弾として、奥越特別支援学校(勝山市)の生徒が手作りパンを販売。飛ぶように売れていく様子に、生徒も今後への自信を深めていた。
これまでに特別支援学校が個別に参加したことはあるが、本年度は嶺南西と嶺南東を除く県立特別支援学校九校が連携して参加する。県庁でのフェアは毎月二回開かれており、来年一月までの月一回(十二月を除く)、各校が交代で物品を販売する。県教委は「障害のある人、ない人が相互理解を深める機会が重要。地域との交流活動を一層強めたい」と狙いを話す。
この日は、作業学習でパン作りに取り組んでいる奥越特別支援学校高等部の二、三年生計八人が参加。恐竜化石の発掘地が地元にあるだけに、恐竜の足跡やアンモナイトの形をしたパン百個を持ち込み、一個百円で販売した。
普段から、校内で週一回開設する「ザウルス・ベーカリー・カフェ」で、パンと飲み物を提供しており、接客も手慣れたもの。来場者に「いらっしゃいませ」などとにこやかに話し掛けていた。
職員の昼食時になると、あっという間に完売。同校の米沢礼子教頭は「こうして地域の人と接して話をすることが生徒の自信にもなる」と、将来の就労などに向けた意義を強調。参加した二年生の笠川弘樹(ひろな)君(16)は「これからは学校外で販売することも多くなると思う。『おいしい』と言ってくれるパンを作れるように頑張る」と話していた。
来場者(右)と話をしながら、自慢のパンを販売する奥越特別支援学校の生徒たち=県庁で
2015年5月23日 中日新聞