◇「悲劇」繰り返さぬよう 徳島で啓発
徳島市の市道で3日、警報音のスイッチを入れずに後進してきたダンプカーにはねられて視覚障害者の山橋衛二さん(50)が亡くなり、一緒にいた盲導犬のヴァルデス(雄、10歳)も死んだ事故を受け、徳島東署員や盲導犬利用者らが26日朝、徳島市南二軒屋町の県道と市道で障害者や高齢者に配慮した運転を呼びかけた。(三浦孝仁)
「障がい者・高齢者交通安全県民運動」(21日~11月10日)に合わせ、徳島東署が実施。盲導犬の支援団体や運送業界、県などから約50人が参加し、盲導犬2頭と訓練を受けている候補犬、引退犬の各1頭も一緒に街頭に立った。
参加者は「交通安全」と書かれたタスキをかけ、信号待ちの車やバイクの運転手らに「身体に障害のある歩行者の保護」や「バックするときは後ろに気をつけて」などと書かれたチラシを配布した。
視覚障害者の平田寿美子さん(68)=同市城南町=は、盲導犬のメリー(雌、5歳)と参加。平田さんは「車を運転する人は痛ましい事故を忘れず、どんなに急いでいる時でも周囲の安全確認を怠らないように努めてほしい」と言い、県トラック協会の郡信彦専務理事は「時間帯を問わずバック時の警報音を鳴らせるよう、加盟事業者を通じて荷主側の理解を求めていきたい」と話した。
事故を巡っては、14日に飯泉知事が国土交通省と警察庁を訪問。現在はメーカー側が自主的に取り付けている後進時の警報音装置の搭載や、バック時に常に音を出すことを運転手に義務付けるよう、道路運送車両法や道路交通法の改正を提言した。県によると、国土交通省では藤井直樹・自動車局長が対策の必要性を認めた上で、検討する考えを示したという。
安全運転を呼びかける盲導犬の利用者ら