―視覚障害者が巻き添えになる交通事故の原因や背景はどこにあると思いますか。
豊島
視覚障害者が危ない思いをして歩いていることをドライバーが分からないんだと思う。土浦市の小学校では年に1度、障害者や高齢者が学校に出向いて話をする。車を運転する年齢になると忘れられてしまうのだろうか。運転免許更新のときなどに講習をお願いしたい。
蛭田
交通事故の原因として「前をよく見ていなかった」「考えごとをしていた」などが伝えられている。視覚障害者ばかりでなく高齢者、子どもなど交通弱者に注意喚起する対策をとってほしい。
徳島市の事故で死亡した視覚障害者は、私が副会長を務める「全日本盲導犬使用者の会」(会員約310人)の会員でした。事故をきっかけに、歩行中にひやりとしたり、けがをしたという体験談を集めることを11月28日、理事会で決めた。
事例集を作って、盲導犬使用者が安心・安全に移動するためには何が必要か、社会に対してどのような働きかけを行えばよいのかを明らかにしたい。合わせて、外出時に身に着ける、ドライバーに目立つような全国共通のグッズを開発しようと検討も始めている。
―視覚障害者の生活に欠かせない音に、世間が寛容でなくなっているとも聞きます。
蛭田
神立駅前に音響装置付き信号機を設置したもらったとき、近所の人がうるさいと言ったため音が消されてしまった。音が消えるのは本当に困る。安全のために必要な音があるということを分かってほしい。
田所
都内ではシグナルエイド(手持ちの小型端末で音声案内を送受信する装置)を付けている信号機もある。いろいろな方法があるので工夫してほしい。
蛭田
都内では電車のアナウンスの音が小さくなり困っている。高齢になり耳も悪くなっているからだ。駅名を表示する電光掲示板は視覚障害者には見えない。電車に乗るときは到着時間をあらかじめセットして、時間がきたら駅で降りるようにしているが。
豊島
土浦駅西口にエレベーターがなかった頃、階段の位置を示す音がうるさいという苦情があって音が切られてしまった。障害者団体が要望して復活したが。
駅ホームでの視覚障害者の転落事故もニュースになるが、今JRはすごくサポートしてくれるようになった。土浦駅でも切符を買うとき「サポートしますか」と必ず聞いてくれ、電車の座席まで案内してくれる。行った先でも列車から降りてホームに立っていると駅員が迎えにきてくれる。変わってきている。
理事会出席のため土浦市を訪れ、盲導犬と市内を歩く全日本盲導犬使用者の会の理事ら
2015年12月04日 常陽新聞スマートフォン版