米フェイスブックがまたしても人工知能(AI)での成果を強調している。同社のマイク・シュレーファー最高技術責任者(CTO)は18日、2種類の画像認識でフェイスブックの性能が向上したことを明らかにした。
■物体と位置を検出
シュレーファー氏はフェイスブックへの投稿で「フェイスブック人工知能研究チーム(FAIR)がこの1年間取り組んできたのは、コンピューターに物体を検出し、識別できるように教えること、つまり画素のパターンの意味を理解するように訓練することだ」と記した。その上で「コンピューターは短期間で大きく進歩した。FAIRはこの1年で物体を検出、分割する技術を60%以上向上させることができた」と語った。この2つのタスクには画像の異なる物体を正しく検出することと、その画像の物体の位置を正確に絞り込むことが必要となる。
シュレーファー氏はさらに、フェイスブックが米マイクロソフトの画像認識データセット「COCO」を使った画像認識コンテストで2位に入ったことを明らかにした。優勝したマイクロソフトリサーチは今年実施された別のコンテスト「イメージネット」でも1位を獲得している。
物体の検出精度が以前(左)と比べて最新のもの(右)が大幅に向上している(提供:Facebook)
■AIに強い人材で争奪戦
この数年、フェイスブック、マイクロソフト、米グーグル、中国の百度(バイドゥ)、さらには米アップルまでもがAIに詳しい人材の獲得に動いており、こうしたコンテストは技術の進歩を示す機会となっている。もっとも、AIの研究者ではない一般の人々にとっては、この研究が製品やサービスの向上につながるのかという方が重要だ。
グーグルとアップルは今年、音声認識分野で技術が進歩したと強調している。
シュレーファー氏は今年の春、断片的な文章についてマシンが自動で質問に答えたり、動画の中のスポーツを識別したりできるフェイスブックの技術を披露した。11月には、写真の内容に関する視覚障害者からの質問に音声で応答できるモバイルアプリを早期に実現すると表明。さらに18日には、画像認識の最新の成果がフェイスブックの実際の利用者にどんな影響をもたらすかについて語る積極的な姿勢を示している。
シュレーファー氏は「コンピューターが画像の物体を認識できれば、アップロードする写真をはっきりタグ付けしなくても『小鉢の写真』をもっと簡単に検索できるようになる」と説明。さらに「ニュースフィードを最も見たい写真でいっぱいにし、視覚に障害のある人は友達がシェアした写真に何が写っているのかを理解できるようになる。画像と一緒に投稿されたキャプションの説明とは関係なく、このシステムが写真の内容を伝えられるようになるからだ。そうなるのはまだ先だが、このチームが成し遂げた進歩に本当に興奮している」と記した。
By Jordan Novet
(最新テクノロジーを扱う米国のオンライン・メディア「ベンチャー・ビート」から転載)