【岩見沢】1月4日早朝、市内美園の国道で、全盲の男性=当時75歳=がトラックにはねられ死亡した事故を受け、市は市内在住の重度の視覚障害者に対し、注意を呼び掛ける文書を配布した。さらにホームヘルパーの派遣を行う介護事業者などに、サービスを利用する障害者への声掛けを依頼した。
横断歩道の無い片側2車線の国道を、男性が横断中に起きた事故だった。男性は現場近くのアパートに1人暮らし。ごみ捨ての途中だったとみられている。
事故後、市は身体障がい者福祉協会(三宅睦男会長)と岩見沢視力障害者福祉協会(佐々木栄一会長)と協議し、再発防止のための文書の配布を決めた。
文書は冬期間の外出は雪の影響で方向感覚を失いやすい上、車の走行音も聞こえにくくなる―と指摘し注意を呼び掛ける内容。また、市が福祉関連団体の計6人に委嘱している「障がい者相談員」制度の利用も呼びかけた。外出の際の支援など、日常的な困りごとにも相談員が対応する。
文書は点訳文と、家族向けに印刷したものに加え、1人暮らしの視覚障害者向けに文書の内容を録音したCDも用意した。重度とされる1、2級の視覚障害者184人に26日までに郵送した。
さらに市は、福祉サービスを提供する市内の事業者計96カ所に対し、利用者に対して、冬の外出に注意を促すよう依頼する文書も送付した。「障害者だけではなく、周囲の意識の高まりも喚起したい」(健康福祉部)としている。
亡くなった男性は障害者関係のどの団体にも加入していなかった。三宅会長は「われわれのような関係団体からの安否確認サービスの利用など、支援策を知らなかった可能性もある。孤立しないような取り組みが必要だ」と危機感を持つ。今後、市内の他の障害者団体とともに新たな支援策を協議する考えだ。
02/02 北海道新聞