ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

貧困と生活保護 働ける人は、かなり働いている

2016年02月06日 02時27分11秒 | 障害者の自立

 生活保護イコール働いていない、という間違ったイメージが広がっています。けれども、生活保護の利用者でも、働ける能力と条件のある人は、けっこう働いています。

 前回、生活保護世帯の8割はそもそも働けない世帯であることを示しましたが、残りの2割のうち、半数は現に就労しているのです。あとの半数は、失業者か、見えにくい就労阻害要因のある人が多いと考えられます。

 また、生活保護を受けながら働くと、保護基準額を上回る分はすべて収入認定されて消えてしまい、まるまる働き損になると解釈している人もいますが、それも誤解です。実際には、働いて得た収入には控除の制度があり、ある程度は手取りが増えます。

母子世帯の実質就労率は7割以上 

 厚生労働省が集計した2014年の被保護者調査で、生活保護の利用は158万3211世帯。うち就労者がいるのは24万2837世帯で、単純計算した就労率は15.3%にとどまります。

 しかし、全体の48.1%は高齢者世帯、11.1%は障害者世帯、16.1%は傷病者世帯であって、これらの世帯主に、働いて稼ぐことは期待できません(実際には若干、就労者はいる)。残りは、母子世帯が10万3637世帯(6.5%)、その他世帯が28万6412世帯(18.1%)です。

 母子世帯のうち、就労者のいる世帯(子どもの就労を含む)は4万8824世帯で、単純計算した就労率は47.1%です。ただし母子世帯の21.5%は母親、3.9%は母子ともに一定程度以上の障害または傷病があります。また4.8%は子どもに障害・傷病があり、就労しにくいと思われます。

 それらを除外し、母子とも障害・傷病がない7万2416世帯だけを分母にして、就労者のいる世帯数を割ると、子どもを含めた実質就労率は67.4%という、かなり高い数字になります(障害・傷病があって就労している世帯もわずかにあるので、厳密な計算ではない)。

 このほか、子どもが3人以上の世帯が17.4%を占めます。さらに産前産後や、乳児を育児中の世帯もあります。公表されている統計データだけでは、きちんとした計算ができませんが、これまでに挙げた就労阻害要因のない母子世帯は、7割以上が働いていると見てよいでしょう。

その他世帯も、4割以上の実質就労率 

 その他世帯はどうでしょうか。就労者がいるのは9万8189世帯で、単純計算した就労率は34.3%です。ただし、その他世帯には、いろいろな家族構成があり、世帯主が65歳以上の世帯が10.8%、世帯員に障害・傷病のある世帯が11.7%、世帯主か世帯員が介護扶助を受けている世帯が4.5%含まれています。母子と高齢者といった世帯もあります。統計データだけで正確な計算はできませんが、それらの阻害要因のない世帯だけを分母にした実質就労率は、4割以上になるでしょう。

 実人数で見ても、その他世帯の20~64歳で障害・傷病・入院・施設入所でない世帯主・世帯員計30万3884人のうち、10万0272人(33.0%)が就労しています。

働いていても、非正規雇用がほとんど 

 就労している場合の実情はどうでしょうか。圧倒的多数は、非正規雇用です。

母子世帯で、雇用されている世帯主のうち、正規の職員・従業員は6.8%にすぎず、パート68.7%、アルバイト12.9%、契約社員・委託2.4%、派遣1.5%、その他7.6%となっています。

 その他世帯では、雇用されている世帯主のうち、正規の職員・従業員は7.3%、パート48.4%、アルバイト22.4%、契約社員・委託3.0%、派遣2.8%、その他16.1%となっています。「その他」の雇用には、日雇い・臨時雇いが含まれます。

 パートやアルバイトを中心とした非正規雇用では、もちろん給料が安い。だから足りない分を生活保護費で補ってもらうわけです。

雇用情勢の年齢格差は大きい 

 統計データから見ると、高齢、年少、障害、傷病、産前産後、育児、家族の看病・介護といった阻害要因がなくて、就労していない生活保護の利用者は、全体の1割いるかどうかだと考えられます。その人たちは怠けているのでしょうか? 話はそんなに単純ではありません。

 働いていない原因として、まず挙げられるのは失業です。解雇、倒産、職場でのトラブル、病気など様々な理由で仕事を失った人が、すぐに次の仕事に就けるとは限りません。

 就職の大きな壁の一つは、年齢です。昔と違って年齢や性別の制限をつけた求人は原則禁止されており、年齢層別の有効求人倍率(求人総数/求職者総数)は出ませんが、実際の労働市場では、ずいぶん差があります。厳しいのは45~64歳の中高年、とりわけ男性です。

 かつて、大阪府の有効求人倍率が0.35と最悪だった時期に、55~64歳の年齢層は0.06という極端な低さでした(1998年12月)。100人が仕事を求めているのに、6人分の求人しかなかったのです。最近の雇用情勢は、非正規の求人が中心ながら好転していますが、全体の有効求人倍率だけを見て、だれでも簡単に仕事に就けるように考えると、実情を見誤ります。

 ハローワークや求人誌にバンバン求人が出ていても、中高年で特段の技術や資格のない人は面接してもらえない、たとえ面接にたどりついても不採用ばかり、ということがあるのです。あなたは必要ないと言われ続けると、メンタルにこたえます。

中高年は、谷間の年齢層

  その他世帯の世帯主の70.1%は、45~64歳の年齢層です(10.7%は高齢者)。

 この年齢層の人の大部分は、公的年金に加入している場合でも、老齢年金はまだ受け取れません。失業に伴う雇用保険の給付は期間が限られており、不安定雇用だった人だと、雇用保険の給付自体、受けられないことが少なくありません。仕事に就けない、雇用保険の給付がない、年金はもらえない、となると、もっぱら生活保護が頼りになるわけです。

 かつては生活保護も、65歳未満で働く能力のある人は、しばしば福祉事務所の窓口で不当に追い返されました。この「雇用と年金・福祉の谷間」は、90年代後半から2000年代半ばにかけて、中高年男性のホームレスが増えた大きな要因でした。

 リーマンショック後の09年以降、生活保護の手前で失業者を支援する制度がつくられました。現在は、<1>雇用保険を受給できない人向けの「求職者支援制度」(職業訓練を受ければ月10万円を最長2年間支給)<2>失業して住宅を失ったか、失うおそれのある人向けの「住宅確保給付金」(生活困窮者自立支援法により、家賃相当額を3~9か月間支給)――がありますが、利用期間が過ぎて、それなりの収入のある職につけないときは、やはり生活保護が支えです。

個人の能力には差がある

  もう一つの就職の壁は、個人の能力です。もともと人間には、生まれつき能力の差があります。育った家庭や環境にも、受けられた教育にも差があります。仕事をしてきた場合でも、身につけた技術や資格は人それぞれに違います。

 このごろ求人が増えたと言っても、単純労働は昔に比べて少なく、大半は何らかの技術、あるいはコミュニケーション能力を要求される仕事になっています。土木建設の肉体労働が長かった人に、いきなりITや接客の仕事は困難でしょう。調理師をやってきた人に、すぐ介護の仕事は無理でしょう。自分に適さない仕事にはまず採用されないし、かりに採用されても長続きしません。

 また、就労できない人、生活に困っている人の中には、障害認定を受けていなくても、知的な能力のやや低い人や、発達障害でコミュニケーションがうまくいかない人が相当います。長くひきこもりだった人もいます。重い病気でなくても、慢性の病気で通院が欠かせない人もいます。母子世帯では、DV被害の経験者が多く、精神的に弱っていることがしばしばあります。

 これらは、障害・傷病にカウントされないので、統計上は、働ける人のように映ります。

 個人の能力差が労働市場で問われるのは仕方ありませんが、公的扶助(生活保護)は、あらゆる人に最低限度の生活を保障するものです。個人の能力差そのものを自己責任、努力不足のように見て、保護受給者を怠けているように非難するなら、筋違いでしょう。問われるのは、いま現実に存在する個人の能力、世帯の条件に応じて、それぞれ可能な範囲の努力をすることです。

稼働能力の活用は、実際に就労の場を得られるかで判断

 能力の活用は、生活保護を受けるときの要件の一つです。働いて稼ぐ能力が十分あるのに、わざと働かない場合は、保護を申請しても却下されます。いったん保護を受けてからでも、就労の指導・指示を経て、保護の停止や廃止が行われます。福祉事務所の対応は、それほど甘くありません。

 問題は、いちおう労働能力があるけれど、なかなか仕事に就けない場合です。ホームレス状態の人や失業した人に対する保護申請の却下、あるいは保護停止をめぐって、名古屋の林訴訟、新宿七夕訴訟、長浜稼働能力訴訟、岸和田訴訟、静岡エイプリル・フール訴訟といった裁判が起きました。雇用情勢が厳しいとき、個人の能力が低いときに就労は容易でなく、保護を受けられないと生存にかかわるからです。

 それらの判例を通じて、<1>単に本人に働く能力があるかどうかだけでなく、<2>その能力を活用する意思があるか<3>その人が実際に就労の場を得られるか――の3点に照らして、個別具体的に判断するという考え方が確立しました。

 判例は、<2>について、求職努力の真剣さや方法が不十分でも、働く意思があればよく、<3>は、本人が申し込めば、直ちに仕事を得られる状況かどうかで判断する、としています。

 厚労省も、<1>は、年齢や医学的な面だけでなく、資格、生活歴、職歴などを把握して総合判断する、<3>は、地域の雇用情勢や世帯の育児・介護の必要性なども踏まえて判断する、としていますが、<2>に関しては「真摯しんしな求職活動」を現在も求めており、判例とズレがあります。

原昌平(はら・しょうへい)

読売新聞大阪本社編集委員。
1982年、京都大学理学部卒、読売新聞大阪本社に入社。京都支局、社会部、 科学部デスクを経て2010年から編集委員。1996年以降、医療と社会保 障を中心に取材。精神保健福祉士。2014年度から大阪府立大学大学院に在籍(社会福祉学専攻)。大阪に生まれ、ずっと関西に住んでいる。好きなものは山歩き、温泉、料理、SFなど。編集した本に「大事典 これでわかる!医療のしくみ」(中公新書ラクレ)など。


<東邦銀>「聞こえづらい」顧客に優しく

2016年02月06日 02時22分50秒 | 障害者の自立

 東邦銀行は卓上型対話支援システム「COMUOON(コミューン)」を22日から順次全店に導入する。高齢者や聴覚に障害がある人への対応策の一環。全店配備は東北の地銀で初めてという。
 コミューンは高性能マイクと指向性スピーカーのセットで、ユニバーサル・サウンドデザイン(東京)が開発。壁の反響音を抑え、聞き取りやすい音声を実現する一方、取引の内容などプライバシーを保てる。
 民間事業者などに障害者への配慮を求める障害者差別解消法の4月施行を見越した取り組み。10月までに全113店の窓口に少なくとも1台を置く。同行の担当者は「会話がはっきり確認できるようになれば、取引内容の理解が進む」と話している。

2016年02月05日     河北新報


「スポーツの力再認識」筑波大生、カンボジアでの活動報告

2016年02月06日 02時14分11秒 | 障害者の自立

 

5面、筑波大カンボジア派遣1
カンボジアの学生と活動した2次隊メンバーら(高久侑也さん提供)


5面、筑波大カンボジア派遣2

2次・3次派遣の学生による合同報告会=1日、つくば市天王台の筑波大


5面、筑波大カンボジア派遣3

3次派遣を前にしたブラインドサッカーの模擬授業=3日、同

 国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊短期ボランティアとして、スポーツによる障害者理解教育をテーマにカンボジアで活動した筑波大生の第2次隊3人の報告会が1日、つくば市天王台の同大であった。「いろいろな人と出会い将来のことなど考えられた」「スポーツの力は大きいと再認識した」などと活動内容や経験を紹介。第3次隊として間もなく現地入りする学生も準備を進めている。


 報告会で2次隊の川辺光貴さん(2年)は「部活以外の活動や障害者理解について知らなかったことが学べた。いろいろな人と出会い、将来のことなどいろいろなことを考えることができた」、佐藤章さん(同)は「文化や国民性を理解した上でボランティアが成り立つものと思う」などと感想。「生の声を吸収してもらい、チャンスを前向きにとらえてもらいたい」と呼び掛けた。

 2次隊まとめ役の高久侑也さん(同)は「外国という所で友だちができたり、スポーツを用いたところで現地の方とつながれたりした。スポーツの力は大きいと再認識した」などと振り返った。

 2次隊は昨年9月の約3週間、現地のメコン大学生らと協力し、ブラインドサッカーなどの体験や授業を行った。アダプテッド・スポーツ(障害の有無や世代を問わず、楽しめるスポーツ)でスポーツの価値共有や障害者スポーツの普及を図った。

 街のスタジアム周辺で体を動かす人に声を掛けて体験などを行い、使用する鈴入りのボールは自分たちで作った。今後の派遣に向け、パラリンピックの認知度が低い一方で知りたい人が多かったとの調査結果を踏まえ、パラリンピック認知度向上や障害者スポーツ普及を課題の一つに挙げていた。

 同大体育系とJICA筑波は同国の体育・スポーツ、オリンピック教育の支援を目的に覚書を交わし、昨年からボランティア派遣を行っている。

 1日の報告会には活動に興味ある学生ら約25人が参加した。

3次隊今月下旬出発

 2018年までの4年間で8次隊まで派遣が予定される。3次隊は今月24日~3月23日の派遣を予定。5人のうち、大学院生の2人が先行して1月から現地入り。出発を控える体育学群生のメンバーは院生とやり取りしたり、活動に備えたブラインドサッカーの模擬授業をしたりと準備を進めている。

 3次隊の早稲田隆司さん(4年)は今春から、筑波大などの共同の修士プログラム、スポーツ国際開発学の1期生になる予定。研究の一環としてもスポーツが現地でどう扱えるのかを学ぶ。「今後8次隊まで続くが、継続的に支援できる体制をつくりたい。帰国後も支援がカンボジア現地で続くようになれば」などと意気込みを示した。

2016年2月5日     常陽新聞スマートフォン版


大阪で人権啓発研究集会始まる 憲法の大切さ訴え

2016年02月06日 02時07分36秒 | 障害者の自立

 「第30回人権啓発研究集会」が大阪市で4日から始まり、講演した作家で明治学院大教授の高橋源一郎さんが、安倍晋三首相が改正に強い意欲を示している憲法について「守れと言うだけではなく、(大切だと思っていない人にも)理解されるために諦めずに説得する責務がある」と訴えた。集会は5日まで。

 「(今の社会は)多数派だから言うことを聞けというような、大きい声を持つ強い人の民主主義になっている」とも指摘。「能力差があるすべての人間が同じ権利を持つことが民主主義の原理」と話した。

 講演前には、解放同盟大阪府連合会の北口末広執行委員長が「歴史を振り返ると、人権侵害や差別が横行した後に戦争が起きている。人権の確立は平和を維持することだ」とあいさつした。

 主催者によると、この日は約3500人が参加。5日は、障害者や水俣病など六つのテーマに関した報告やフィールドワークが行われる。

 「第30回人権啓発研究集会」で講演する作家で明治学院大教授の高橋源一郎さん=4日午後、大阪市

 「第30回人権啓発研究集会」で講演する作家で明治学院大教授の高橋源一郎さん=4日午後、大阪市
 
2016年2月4日    中日新聞

30機関連携し災害医療訓練

2016年02月06日 01時59分11秒 | 障害者の自立

病院、行政、住民ら参加

 区内各病院や鶴見、神奈川両区役所、近隣の学校や自治会など、30以上の機関が連携する鶴見区災害医療訓練が1月24日、済生会横浜市東部病院をメーン会場として開催された。地震による大規模災害を想定し、病院による医療訓練と同時に、地域防災拠点やボランティア派遣を行うなど、複数の関係機関が連携した訓練は市内で初の試み。関係者は「地域全体の公共的な訓練になった」と成果を口にした。

 県から災害拠点病院として指定を受ける東部病院が、2007年の開院以来続けている災害医療訓練を拡大させたもの。東部病院は、東日本大震災以降、「病院も被災する」ことを想定するなど、毎年テーマを持った災害医療訓練を実施してきた。病院単独で行う中、3年前、初めて鶴見区と連携。昨年には、市が各区に設置し、区内では医師会や警察署、社会福祉協議会などが名を連ねる鶴見区災害医療連絡会議に協力を呼びかけ、汐田総合病院や佐々木病院など区内5病院らと合同で実践していた。

特別避難場所も

 今回は、区内外の医療関係から行政、住民など、30以上の機関・団体から約800人が参加。東部病院での重傷者受け入れや、災害時に病院情報を集約する区医療調整班本部を立ち上げ、各機関との無線通信など、有事の連携を確認した。

 また、住民ら協力のもと、矢向中学校と下末吉小学校で地域防災拠点を開設。模擬患者を東部病院や汐田総合病院に搬送した。矢向地域ケアプラザには、地域防災拠点での避難生活に適応できない、在宅療養中の高齢者や障害者といった要援護者受け入れのための特別避難場所を設置。東部病院からの受け入れもあった。

有事の現場、理解必要

 訓練中、参加住民が東部病院の様子を見学する場面もあり、指揮を執った同院救急科の山崎元靖医師は「市民参加型になったのは、災害時に病院がどう動いているのかを理解してもらう上ですごく大きい」と話す。

 災害拠点病院となる東部病院は、災害時には重傷者の受け入れが主になり、中等症以下の患者は地域の病院やクリニックが中心となる。実際、百人の患者が一度に来ただけで「東部病院の機能は低下する」と山崎医師。さらに、被災した院内で医師や看護師が治療に専念するには、ボランティアの存在が欠かせないとし、「病院の役割や状況を認識してもらえたのはよかった」と充実感をにじませた。

無線通信に課題

 一方、傷病者の搬送先を指示する区医療調整班本部と通信ができなくなるなどの課題も出た。同本部で作業にあたった区福祉保健課の内藤恵子課長は「無線がつながらず、衛星電話で対応するなど、情報が滞るときがあった」と振り返る。

 山崎医師は「2重、3重に連絡手段が必要だと感じた。区だけに頼らず、自分たちでも情報を集めなくては」と解決策を検討する考えを示した。今後も毎年新たなことを積み重ね、地域に沿った訓練にしていきたいという。

本番さながらの東部病院の本部

2016年2月4日    タウンニュース