障害児支援・訪問看護・接骨院・カフェ 兼氏浩子さん、来月3日オープン
脊髄(せきずい)の病気で車椅子生活を送る津幡町の元看護師、兼氏(かねうじ)浩子さん(48)が4月、障害児支援や接骨院、カフェなど多様なサービスを手がける事業所「木のおうち」を同町内に開設する。1本の木の下で多くの人たちが家族のようにつながるイメージを込め、障害の有無に関わらず誰もが集える「居場所」を目指す。
兼氏さんは看護師だった33歳の時に脊髄の病気を発症し、下半身にまひが残った。子育て真っ盛りの中での車椅子生活に「家族の荷物になる。死にたいと思い、うつ状態になった」と振り返る。
だが、思い切って外に出てみると、社会の人たちは想像以上に温かかった。「買い物に行くと、こちらから頼まなくても買い物袋を車の中に入れてくれたり。家族じゃないのに助けてくれる人がたくさんいた」。そして気付いたのが、「人は人とつながることで、互いに幸せになる」ことだった。
10年ほど前から小学校などでの講演にも力を入れ、こうした経験を発信してきた。障害者と社会との垣根を無くそうと、昨年4月に木のおうちの運営会社となる「プルメリアハート」を設立し、代表取締役に就いた。
木のおうちは県産木材を使った2階建てログハウスで、町立井上小学校前に開設する。障害児支援▽訪問看護▽接骨院▽カフェ--の四つのサービスを提供するため、それぞれの部屋を設け、専門職を含む約20人のスタッフで運営する。子育て中の母親もカフェでパン作りなどに関わり、就労が難しい子育て世代の「働きを応援する」(兼氏さん)狙いもある。
兼氏さんは「障害のある子供がカフェに行けば、来店客はこういう子供がいることも普通に思える。これまでは、子供がいて『うるさい』とか『迷惑になる』と思われていたが、交流を追求していきたい」と、多様なサービスを一体的に提供する意義を話す。
4月2日に内覧会(午前9時半~午後3時)があり、3日にオープンする。問い合わせはプルメリアハートのウェブサイトから。
建設中の「木のおうち」と兼氏浩子さん
毎日新聞 2017年3月15日