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おくりびと(追記改稿 再掲載)

2009年03月29日 02時11分53秒 | Weblog
 おくりびと〈前編〉~隣のおじさん〈1〉
隣のおじさんが なくなったよ
故郷の父から 留守番電話があった

母より少し下だから 75歳ころではなかったか

農業一筋 その地方では 広い田畑を耕作し
米やメロンなどいろんな作物を栽培して来た
毎年 愛情もって精一杯に育て 
維持管理に工夫を凝らし その辺りでは
おしどり夫婦の農業名人であった

酒は飲まず いつもごほごほ言いながらもタバコは手放さず
甘い物が好きで よく口にしていた 
布袋さんのようなお腹をした
力持ちで優しい笑顔のおじさんだった

余裕のなかった我が家に いつも高価な農業機械等を貸してくれ
母が指を切断した時は 自分のトラックで直ぐ病院まで運んでくれ
私が仮免の時は 下手を承知で トラックを貸してくれ
我が家が 食う物にも困っていた時は 黙って食べ物を分けてくれ
我が家に テレビにテレビが来るまで 長い間家族のように見せてくれ
藁での縄ないを 身を以て教えてくれ
農業の喜びや辛さを ぽつぽつと話してくれ

あれもこれも 思い出すのは してもらったことばかり…

  おくりびと〈後編〉~隣のおじさん〈2〉
おくりびとは 旅立つ人が 最高に輝くように
精魂込めて 身支度をする

亡くして分かるその人の本当の価値 
亡くして気づくその人への恩
亡くして振り返る自分の人生

送り送られる時 その人の人生が凝縮される
最高のはなむけをせんと おくりびとは
旅立つ人と相談しながら 心を込めて世話をする

当たり前と思い込んでいる お互いのこの命
でもいつかは つゆと消える定めの命の灯火(ともしび)
時には行き違って喧嘩をしたり 怒ったり
そんな家族や夫婦の間でも 誰かが先立ち
遺された者が おくりびとと 見送る定め 

私は かつて 知り合いの葬儀社に頼み込んで
見送る仕事の手伝いをさせて貰ったことがある
なんの仕事も まともにできなかったけれど
葬儀の厳粛さと 見送る仕事の大切さを知った

家内の父や母 そして Nちゃん
それに 今までいろんな方を
見送ることで 私は 
今の自分に与えられた時間が
どんなに大切で愛おしいものか
しみじみと思い知った…

私は そこで 自分の見送りを頼んでおいた
これで 私は 残された人生の設計にじっくりと取り組める
PS 2008.10.15 草稿 / 2008.10.26 一部改稿 新聞のお悔やみ欄から78歳と知った
  2009.3.29 後編の後半を追記 一応完成
その間に この映画「おくりびと」は アカデミー賞を受け あれよあれよという間に 有名になってしまった 予想以上の反響であった
コメント
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