横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

右小開胸の大動脈弁置換術

2018-03-07 15:23:45 | 日記
小開胸で行う心臓手術を最近、MICS ミクス Minimally Invasive Cardiac Surgeryと呼んでおり、従来の胸骨正中切開に比較して術後の回復が早く縦隔炎、胸骨骨髄炎などの合併症が起きないとして普及しつつあります。
 僧帽弁形成術がその中でも最も普及しており、大動脈弁置換術は胸壁からの距離と、視野の角度の問題から少し難易度があがります。その中で、慶応大学の山崎専任講師らによってStonehenge(ストーンヘンジ)Techniqueが提唱され、難易度の高いMICSによる大動脈弁置換術をより視野が良く確実な方法で行う、ということで今後広まっていくものと思われます。
 この手術は右腋窩の皮膚切開から開胸し、心臓を包み込む心膜をその皮膚切開に向けて複数本の糸でつり上げることで、手術対象の大動脈弁を創部に極力近づけて行う手術です。この方法により、右開胸でも、特別なMICS専用の手術器具を使用しなくとも、従来の胸骨正中切開とほぼ同等の視野で大動脈弁置換術を実施することができます。
 4月からMICS手術への手術手技量の加算が認められるようになり、より導入しやすいStobnehenge Techniqueはより普及していくものと思われます。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科でも、安全に導入できる症例には、このStobnehenge Techniqueを含めた、小開胸の心臓手術を今後もより推進していく予定です。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/atcs/23/1/23_nm.16-00248/_article
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする