横須賀うわまち病院心臓血管外科

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安定冠動脈疾患に対する経皮的冠動脈インターベンションの要件の適正化

2018-03-30 16:17:04 | 心臓病の治療
安定冠動脈疾患に対する経皮的冠動脈インターベンションの要件の適正化

【経皮的冠動脈ステント留置術】 1 急性心筋梗塞に対するもの 34,380点 2 不安定狭心症に対するもの 24,380点 3 その他のもの 21,680点 [留意事項(抜粋)] (1)一方向から造影して75%以上の狭窄病変が 存在する症例に対して当該手術を行った場合 に算定する。
改定後
【経皮的冠動脈ステント留置術】 1 急性心筋梗塞に対するもの 34,380点 2 不安定狭心症に対するもの 24,380点 3 その他のもの 21,680点 [留意事項(抜粋)] (1)一方向から造影して75%以上の狭窄病変が存在する 症例に対して当該手術を行った場合に算定する。 (4)「3」のその他のものは、原則として次のいずれか該当 する病変に対して実施した場合に算定する(※)。 ア 90%以上の狭窄病変 イ 安定労作性狭心症の原因と考えられる狭窄病変(他 に有意狭窄病変が認められない場合に限る。) ウ 機能的虚血の評価のための検査を実施し、機能的 虚血の原因と確認されている狭窄病変
※ 経皮的冠動脈形成術についても、同様の見直しを行う。
【課題】 • 血管造影上75%狭窄がある冠動脈病変に対して、追加の検査で実際の心筋の機能的な虚血の有無を確認 したところ、46.4%の病変で虚血を認めなかったとの報告がある。 • 関連学会によるガイドラインにおいては、虚血がないことが証明されている患者にはPCI(経皮的冠動脈イン ターベンション)の適応はないとされている

循環器内科における冠動脈のカテーテル治療において、機能的に虚血が証明されてはじめてカテーテル治療が保険算定できるという、今までにない画期的な判断。対して狭くもない冠動脈病変に対して、件数を増やすために無駄にカテーテル治療を行っている病院に対して、無駄な医療費を使わせないための施策ではありますが、より適正な医療に向けての一つの施策といえます。

これは、心臓血管外科における冠動脈バイパス術においてもいえることと思います。実際に虚血がないところにバイパスをつないでも無駄であり、バイパス自体の閉塞リスクが高まるため、実際に必要としている病変に対してバイパスを行うべきということだとおもいます。実際はFFRによる虚血の証明がされた病変に対してバイパスするという、当たり前のことが、ようやく当たり前として行われる時代がくるのだと思います。バイパスの本数も今までよりも少なくなるかもしれませんが、かえって一本一本の重みが増すという意味でもあり、外科医はさらに心してバイパスに臨む必要があります。

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