横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

心房細動における抗凝固療法不適応症例に対する左心耳切除術

2019-12-18 17:36:29 | 不整脈


来年3月に開催される三浦半島抗血栓療法セミナーにおいて、横須賀市立うわまち病院心臓血管外科から、心房細動における抗凝固療法不適応症例に対する左心耳切除術についてお話させていただきます。

心房細動において形成される左房内血栓は9割は左心耳内に形成されるため左心耳を切除してしまうと左心房内に血栓形成される危険性は著しく低下し、抗凝固療法をしなくとも、抗凝固療法中の患者さんと脳梗塞の発症頻度は変わらない、とも言われております。

出血性合併症などのため、または抗凝固療法をしたくない患者さんにとって左心耳切除術は一つのオプションとして有効な治療手段になると考えられます。

横須賀市立うわまち病院としては心房細動に対するマネージメントとして
①抗凝固療法
②カテーテルアブレーション
③メイズ手術(冷凍凝固療法、高周波治療)
④左心耳切除術
を患者さんにとって適切な治療法を選択して積極的に治療していく方針です。
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心臓胸部大血管手術件数2019年 横須賀市立うわまち病院心臓血管外科

2019-12-18 15:43:13 | 心臓病の治療
横須賀市立うわまち病院心臓血管外科  2019年 1-12月手術件数

手術件数 311件 心臓胸部大血管手術 109件 AAA(腸骨動脈瘤含む) 40件
PAD 14件 Varix 107件 シャント造設術 27件

心臓胸部大血管手術の内訳
虚血性心疾患 32件
 CABG 30件
 OPCAB 21件  正中切開13件 左開胸 8件
 On Pump Beating CABG 2件
 On Pump Arrest CABG+MAZE 1件
         CABG+AVR 4件
         CABG+MVP 2件
         CABG+MVR 1件
 VSP閉鎖術 1件
 乳頭筋断裂に対するMVR 1件

弁膜症手術 55件
 AVR 29
 MICS-AVR 19(右側方開胸17(単独AVR15 MVP併施2 MVP+TAP併施1)
 胸骨部分切開2)
 正中切開 10(単独AVR2 AAR併施3 AAR+MVP併施1 CABG併施4)
 
 MVP 28
 MICS-MVP 22(単独MVP16 TAP併施2 AVR14併施3 AVR+TAP併施1)
 正中切開 6(単独1 TAP併施2 AVR+AAR併施1 CABG併施2)

 MVR 3 全例正中切開(単独2 CABG併施1)
 他 MICS-TAP+VSD閉鎖 1

胸部大動脈手術 24
 TAA 18 AAR+AVR 3
      TAR 1
      TAR+OS 7
      TAR+TEVAR 1
      TEVAR 1
      下行置換 3
      胸腹部大動脈置換 1
 急性大動脈解離 6(上行置換5 弓部置換+オープンステント1)

その他の心臓胸部大血管手術
 IEに対する疣贅切除術 1 
 MICS-VSD閉鎖+TAP 1
 Myxoma切除 1(正中切開)
 PE 2
 CP 1
MAZE併施 7
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MICS-CABGにおける右冠動脈領域への吻合

2019-12-18 15:36:03 | 虚血性心疾患
 小開胸または上位腹部正中切開による右冠動脈領域(4PD:後下行枝)への血行再建は、実際はスタビライザーを設置して吻合可能な場所は限られています。どうしても4PDの付け根は吻合しにくいので中央部やそれより末梢に吻合することが多くなります。

 4PD末梢の細い部分にしか吻合できないためにその部分への血行再建はあきらめてその症例は左小開胸から左内胸動脈(LITA)ー左前下行枝(LAD)の吻合だけ行って術後にRCA(右冠動脈)領域へPCI(カテーテル治療)を循環器内科にしていただいた症例もあります。実際に血行再建した症例は、全ての症例が完全閉塞病変(CTO)で末梢の性状が良好で分枝の先端に比較的近い部分において血行再建しても有効なバイパスとなると考えられる症例を選択しています。狭窄が甘い症例や吻合する位置を選ばないといけない症例はやはり正中切開で視野の良好なバイパスが望ましいと思います。また、LADに関しても基本的にCTO症例に対してLITA-LADを実施しています(CTO症例で基本的に依頼されています)。CTOでも末梢のRun-Offが悪い症例や、石灰化が著しくLAD先端にしか吻合する箇所がなさそうな症例など、吻合部位を検討、検索する必要がある症例は正中切開でアプローチしています。
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