横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

PCPS = ECMO

2019-12-15 05:08:16 | 心臓病の治療
 日本冠疾患学会で勉強した事の一つは、PCPSという呼び方はほとんど日本でしか使われていないという事です。PCPS=Percutaneous Cardio-Pulmonary Supportは経皮的心肺補助と日本語でも呼ばれますが、海外ではエクモ=ECMO Extra-Corporeal Membrane Oxgenationと呼ぶのが一般的で日本国内でも最近はエクモと呼ぶ人が増えていて一般化してきたようです。このPCPSは人口当たりの使用率は世界で一番だそうです。日本人がPCPS好き、ということを証明しているようです。
 最近はImpellaとの組み合わせでEcpella?エクペラという言葉も使われ始めているようです。

 最近横須賀市立うわまち病院では、重症の呼吸不全に対して2例のV-V ECMOを実施した症例があり、いずれも救命できました。呼吸不全に早期の治療介入することで救命率を向上することが期待できます。
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学会での発信:日本胸部外科学会総会

2019-12-15 04:43:16 | 心臓病の治療


今年の日本胸部外科学会ではMICSについて2演題発表しましたが、国内に発信していくことが施設のモチベーションやアクティビティを維持するのに有用と思われます。
横須賀心不全パンデミック講演会でもこの写真をスライドにして提示し、横須賀の人たちにも当院の取り組みを全国に発信している、ということをアピールしました。
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両側内胸動脈の使用率(JACVSD集計より)

2019-12-15 04:33:15 | 心臓病の治療
 日本国内の単独冠動脈バイパス術における人工心肺非使用の心拍動下手術(Off Pump Coronary Artery Bypass Grafting =OPCAB)の割合は7割と言われていますが、昨日の冠疾患学会でのシンポジウムで発表していた日本のデータベースからの報告では、両側内胸動脈の使用率は約2割だそうです。自治医大さいたま医療センターでは6割以上の使用率で積極的な施設ほどその割合は多いと考えられます。また高齢者が多い、重症を取り扱うことが多い施設では、その使用率は低下すると考えられます。横須賀市立うわまち病院では両側内胸動脈の使用率は約5割ですが、80歳以上が1/3以上を占め、平均年齢が70代後半と、おそらく平均より高い年齢を対象に手術していると考えられるため、やや低めと思っていました。しかし今回の学会の発表を聞いて、意外に他の施設では両側内胸動脈の使用率は低いんだと知りました。
 両側内胸動脈の使用は胸骨正中切開の場合は有意差はないとする報告が多いのですが、やはり実際には胸骨骨髄炎や縦隔炎の頻度が増えると考えられますので、そうした合併症が発生しない左小開胸の冠動脈バイパスで実施するのが理想的です。
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日本冠疾患学会学術集会ランチョンセミナー:左小開胸の心拍動下冠動脈バイパス術の経験

2019-12-15 04:16:58 | 虚血性心疾患
 日本冠疾患学会学術集会に参加させていただきました。今回は岡山が会場で、倉敷中央病院の小宮先生が会長でした。

 14日のランチョンセミナーの講演を依頼され、左小開胸の冠動脈バイパス術の経験についてお話しさせていただきました。この日は同時に4つのランチョンセミナーが企画されていましたが、他の3つは主に内科系の演題であったためか、著名な先生方もたくさん来ていただき、100名分用意されていた会場はほぼ満席でした。最終日で聴講者が少なかったらどうしようかとの不安がありましたが、それだけで今回のランチョンセミナーは成功だったと思います。
 視野が確保できないときのレスキュー方法などについてもお話しさせていただき、まだ実施していない施設のドクターからも、そうした方法もあるならやってみたい、とコメントいただくなど、反響がありました。循環器内科のドクターで聴講された方からは、県内で左開胸でやってくれる医師がいないので困っている、との話もお聞きしました。
 また下壁への吻合位置がかなり末梢ではないか?との質問も頂きましたが、実際に見える位置、吻合可能な位置は狭いワーキングスペースでは限られており、選んでこの位置に吻合するというよりは、ここしか吻合できないという位置に吻合しているので、血行再建する対象は、それでも十分長期開存可能なCTO病変など症例を選ぶべきであろうと思われます。
 TERUMO社製のスタビライザーの最新型のものはシャフトが細いのが特徴ですが、これも狭いワーキングスペースに使用するのに役立ちます。こちらのスタビライザーは先端部分のみがDisposableなので、発売されているスタビライザーの中で最も安価で、しかも性能が良いのが特徴です。横須賀市立うわまち病院は、このスタビライザーの国内でも最も多く使用している施設の一つのようですが、特に医療費の増大が指摘されている現代においては外科医もコスト意識をもって、性能のみならずコストも重視していく必要があります。

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