横須賀うわまち病院心臓血管外科

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MICSによる側方開胸の手術痕は時間がたつと小さくなります

2019-12-21 23:49:06 | 心臓病の治療
 横須賀市立うわまち病院では約半数の心臓胸部大血管手術の患者さんで、側方小開胸によるアプローチで手術しています。この側方開胸のアプローチによって胸の前面正中部を20cm近く切開する胸骨正中切開の手術に比べて合併症が少なく回復が速いことから低侵襲心臓手術(MICS=Minimally Invasive Cardiac Surgery)と言われています。
 現在は主に内視鏡補助下ですが直視で術者の手がある程度届いて操作可能な安全性を重視したMICSを実施しています。この方法では平均の手術創は8cmほどですが、術後一年以上経過した患者さんを最近は診察することが多くなり、共通していえることは術直後よりも創が綺麗になり、縮小してることです。女性の場合は乳房の下縁のラインで皮膚切開しているため乳房の変形がきにくく、また乳房に隠れて傷がほとんど見えない患者さんもいます。また前腋窩線を中心に切開しているためキヲツケの姿勢をすると大部分が上腕に隠れて見えません。
 側方開胸とは言っても乳房の内側で傍胸骨で皮膚切開して大動脈弁置換や冠動脈バイパス術をしている施設もあるようですが、やはり前腋窩線を中心にした側方開胸の方が明らかに術後の創はきれいです。また、側方の皮膚切開の方が皮膚に緊張がかからないのでケロイドにもなりません。

 横須賀市立うわまち病院には28ある診療科のうち、形成外科もあるので、例えば若い女性の側方開胸の手術の場合、患者さんによっては最大限創を綺麗にするための最後の皮膚の縫合は形成外科にお願いした症例もあります。もちろん、若い患者さんでなくとも、誰でも創は綺麗に縫ってほしいものと思いますので、基本的には自科で通常縫合するときも形成外科と同じ方法で、吸収糸で埋没縫合としていますし、希望があれば形成外科の協力を仰ぐことはいつでも可能です。
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