横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

ビジネスモデルの変化:グルーポン日本撤退!

2020-10-05 12:57:01 | 日記


新しい生活様式のためか、グルーポン、日本から撤退するそうです。
新型コロナウィルスの蔓延のため、グループでの食事などが激減し、お安く食事をしたりするクーポンを販売するサイトの需要が減ったものと思われます。新しい生活様式に合致した産業は生き残り、そうでない産業は消えていく・・・そうしたことの現れのひとつではないでしょうか。
 長くお世話になったグルーポン、無くなってしまうのは残念なことです。
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小児科医に行例

2020-10-05 12:50:29 | 日記


 先日の10月初日、小児科医に行列が出来ていました。普段みない小児科の行例、びっくりしました。どうもインフルエンザワクチンのために、と並んでいるようでした。今年は新型コロナウィルスとインフルエンザの同時流行が懸念されています。小さいお子さんをお持ちの方は特に心配されていると思います。その現れでしょうか。より必要度の高い、老人に関しては行列はまだ出来ていないようでしたが、新しい生活様式のためかインフルエンザの発生自体が少なくなっているようです。
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ドラマ ドクターY:腹部大動脈瘤手術後に発生する対麻痺

2020-10-05 11:54:38 | 大動脈疾患
 昨日、ドクターXのスピンオフドラマ、ドクターYが放映されたまたま視聴しておりました。
 バスケットボールの選手に腹部大動脈瘤が見つかり、人工血管置換術を受ける際に、出血部位を止血するために縫合糸をかけたところが、ちょうどAdamkiewicz動脈(アダムキービッツ動脈、と読み、日本語では、大根動脈;arteria radicularis magna)があり、それを閉鎖したために脊髄虚血が起こったというストーリーでした。このシナリオ、筆者の友人が監修しているもので、最後のテロップで名前が搭乗しておりましたが、このストーリーのほうが分かりやすい、ということで採用されたのかもしれませんが、実際の臨床ではちょっと違います。
 それは、一般にはアダムキービッツ動脈は第8胸椎から第1腰椎のレベルにあり、今回の腎動脈下動脈瘤の場合はほとんどタッチせずに手術可能であるということ、それから最近はネットワーク血流理論で、1本の動脈だけで脊髄は血流支配されているわけではなく、複数の血流支配を受けているので1本だけ閉塞しても完全な脊髄梗塞は起きないということから、腹部大動脈瘤術後の対麻痺の原因としてはアダムキービッツ動脈の閉塞よりは、今回の症例においては、突然の破裂、出血による血圧低下が脊髄血流を低下させて虚血に陥ったと考えるのが妥当です。長時間の大動脈遮断が下半身の血流障害を脊髄の一部とともに起こして発生した可能性もあります。特にこの症例の場合は突然の大量出血で止血に時間を要した可能性もあります。一般に腹部大動脈瘤の手術の際に脊髄虚血が発生する頻度は500例に1例と言われており、起こりうる合併症として必ず事前の説明項目の中に入っています。それと腹部大動脈瘤の手術で発生する対麻痺は、大動脈遮断の位置が脊髄の末端部近くを血流支配するエリアと関係しているため、主に仙随レベルのみ虚血になる可能性が高く、この場合は脊髄虚血とはいっても、下半身の完全麻痺ではなく、膀胱直腸障害とつま先立ちが出来ないなどの部分的な症状で発生することが多いと思われます。もしアダムキービッツ動脈の閉塞を疑わせる脊髄虚血が起きるとしたら、左側方開胸でアプローチして腎動脈上、特に腹腔動脈の上で遮断した場合は可能性があります。今回の手術では腹部正中切開の体位で入っていますので、もしあり得るとしたら瘤が破裂して出血した際に腹腔動脈の上で遮断して出血をコントロールしたことが関係する下半身全体の虚血だと思います。
 それから手術当日の術後から症状が出始め、翌朝には完全に対麻痺になっている経過は遅発性の対麻痺と考えられます。この時点で、輸血や輸液、カテコラミンを投与するなどの脊髄血流を改善する治療を開始したり、場合によっては脊椎ドレナージを実施すれば症状が改善していた可能性があります。夜に麻酔の研修医が執刀医に電話したのに対応せず、朝まで放置された、まさに外科医にとってあるあるなストーリーは外科医が監修しないとなかなか出てこない内容かも知れません。
 また麻酔科医の硬膜外麻酔が脊柱管内に血腫を作って麻痺が発生する可能性は、いくら上手な麻酔科医が行ってもあり得る話です。この場合は発症後8時間以内に脊柱管開放の緊急手術が必要です。
 いずれ、発症後の対応が不十分であったことがストーリーの中に暗に含まれている、というのもドラマの内容を膨らませていると思います。

 一件、コメディなドラマですが、専門医をも楽しませる内容をしっかりと中に込められている、上出来なドラマだと思います。

 しかしながら、桐の箱の中に札束が入っている、これだけは実際には、少なくとも筆者の周囲ではありませんので、誤解の無いようにしてもらいたいものです。

 あとで監修した友人に詳細を聞いて忌みたいと思います。
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