横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

悪性高熱・悪性症候群

2020-10-30 20:56:40 | その他
 悪性高熱は術後の麻酔薬の影響で高熱が出て致命的になる原因不明の病態、悪性症候群は主に鎮静薬など精神科領域の内服薬を使用中に起こる高熱、神経所見を伴って致命的になる病態。おそらくそのメカニズムはほぼ同じもので、筋小胞体から過剰なカルシウム放出が起きて、異常な筋収縮の為に筋固縮などの椎体街路症状という神経症状が出るような病態です。ダントロレンという特効薬もありますが早期に投与しないと効果は期待できず致命的になります。
 心臓血管外科の手術も稀に原因不明の発熱、多臓器不全から致命的になる症例を経験しますが、悪性高熱と確定診断できた症例はありません。CK(クレアチンキナーゼ)の上昇など検査所見の特徴所見はありますが、確定診断は難しいのは現状です。ダントロレン自体は副作用がほとんどないので、疑った時点と投与するのが理想と思います。しかしながらなかなか使用されないのは、敗血症などの他の病態を否定してからでないと使用できないことにあります。他の検査を進める間に重症化が進んで、その後に投与しても救命できる段階を逸している可能性があります。
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心臓の聴診についての教育

2020-10-30 20:47:44 | 弁膜症
 大動脈弁逆流は一般診療において見逃される可能性が高く、拡張期の雑音で気づいて診断する医師はまさに現代では名医と言える、と聞きました。心臓の聴診の教育なんて昔からありません。なので、そういした教育を受けた医師は貴重な体験をしたと言えると思います。筆者は異形狭心症を発見した循環器内科医の和田敬先生から聴診を手とり足取り教えを受けましたが、弟子中で循環器診療を実践しているのは自分だけになっていることに寂しさを感じます。和田敬先生は、心臓の聴診を教えるために、心雑音をどうしたら口で表現できるかということを、江戸谷猫八に弟子入りして学んだそうです。その直伝の聴診口真似を誰にも伝授することなく、心臓血管外科医として診療していることに、若干罪悪感を覚えます。
 同時期に和田敬先生のご自宅や病院に出入りして学んだ自分は故・和田敬先生の最後の弟子といえるかもしれません。
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