横須賀うわまち病院心臓血管外科

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心臓手術後の患者さんは新型コロナウィルスワクチンを打っていいの? 答えはYES!

2021-03-18 06:11:36 | 心臓病の治療
 心臓手術後の患者さんは新型コロナウィルスワクチンを打っていいの?
 こんな質問をこの一か月以上、外来のたびに多くの患者さんにされます。テレビでは連日新型コロナウィルスのニュースが番組の最初、しかもおそらくニュース部分の半分近くを占めています。その中でも、最近はワクチンの副作用の話題ばかりを取り上げて、日本人のワクチン恐怖をあおっています。その一方で、ワクチンの効果に関しては報道している比率はその10分の1以下でしょうか。ワクチンは有効である、ということは海外で開始されている事実、日本政府が承認していることから当然みんな知っているでしょう、しかし、こんな危険性もある、ということを言いたいのでしょうが、視聴者からは、ワクチンは危険性ばかりで有効性がない、という印象を持たせる内容ばっかりです。同時に出演する感染症専門家が言い訳のように、「大丈夫だ」のようなことを開設しますが、番組の趣旨が視聴者に強いインパクトを与えるために危険性をあおることを目的にしているとしか見えません。
 心臓手術後の患者さんの多くは65才以上の高齢者で、特に新型コロナウィルスに罹患した場合に重症化し、死亡するリスクの高い人たちです。手術によって心不全が完治している人は、心臓の病気を持っていない人と同じリスクということになると思いますが、それでも高齢者は罹患した場合の死亡率は約2%あります。これは命がけで手術を受ける大動脈弁置換術などの手術死亡率と同じ、とも言えます。その手術リスクを大きく下げる効果がある、という薬があるならだれでも手術前にその薬を使いたいと思うように、新型コロナウィルスのワクチンもかかった場合は死亡率を下げる、ということがわかっているので、打つべき、と結論していいと思います。
 不安な情報がたくさん氾濫しているのは事実ですし、筋肉注射したあと、その夜から2-3日腕が上がらなくなるくらい痛いので手術の執刀前には打たないほうがいい、というようなことも実際に打った知り合いにも聞きましたが、それでも罹患し場合の恐怖を考えるとみな、一日も早くワクチンを打つべきでしょう。
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