横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

CTのフォローアップの期間

2019-12-17 16:18:46 | その他
 大動脈疾患の定期的なフォローアップ中に肺癌や膵臓癌など他疾患を発見することは少なくなく、筆者も年間数例の肺癌などの悪性疾患を見つけます。しかしながら、残念なことに今年発見した肺癌のうち、3例は既にステージ3以上でした。一例は2年前のCTでは全く異常が無いのに今回かあり進行したステージで発見された患者さんもいます。
 最近は被曝量の低減、医療費の削減、そして医師の仕事軽減を目的に二年に一回のフォローアップCTとしている事例もすくなくありませんが、こうした発見時に既に進行癌である悲劇をなくすためには毎年のCTチェックが必要なんでしょうか?



イタリアからの論文では毎年のCTと一年おきのCTとでは発見される肺癌の治療結果は変わらないとの報告があります。よって二年おきでもいいと思います。

横須賀市立うわまち病院では全てのCT画像を外来担当医だけでなく、放射線科医が専門家としての視点で見直しをしてくれており、異常所見を発見した場合にそのまま放置されないように担当医に報告するシステムを構築しています。

そうしたチェック体制がある施設であれば隔年のCTチェックでも十分ではないかと思います。
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上行大動脈の拡大

2019-12-17 16:12:32 | 大動脈疾患
 上行大動脈の拡大で心臓血管外科に紹介される患者さん、少なくありません。
 横須賀市立うわまち病院心臓血管外科では上行大動脈が4cmを超えている場合は定期的なフォローアップの対象としています。主にCTでサイズのフォローアップをしていますが、他に心エコーで大動脈弁逆流がないかも同時にチェックしています。

 上行大動脈の拡大している人ではさらに拡大して手術が必要な胸部大動脈瘤にまで進展する可能性や、大動脈解離発症のリスクがあると考えられます。特に喫煙している人や高血圧、高脂血症を合併している人、大動脈疾患や突然死の家族歴のある患者さんは要注意と考えます。

 フォローアップの期間は、最初は年一回程度のCTでフォローアップですが数年変化がない患者さんは二年に一回程度としています。
 フォローアップと同時に禁煙や、他の生活習慣病のチェック・指導もしているため実際はフォローアップ中に大動脈解離を起こした患者さんは経験していませんが、拡大が進行して人工血管置換+大動脈弁置換術を実施した患者さんは少なからずいます。

 大動脈解離や大動脈瘤の家族歴のある患者さんにもスクリーニング的にCTを撮影し、大動脈の拡大がないかをチェックしています。親子や兄弟で手術した患者さんも少なくなく、一家で三人手術した家族もあります。また、三人兄弟で三人とも大動脈瘤破裂を起こしており、三人目でようやく救命された患者さんという事例も複数経験しています。
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PCPS = ECMO

2019-12-15 05:08:16 | 心臓病の治療
 日本冠疾患学会で勉強した事の一つは、PCPSという呼び方はほとんど日本でしか使われていないという事です。PCPS=Percutaneous Cardio-Pulmonary Supportは経皮的心肺補助と日本語でも呼ばれますが、海外ではエクモ=ECMO Extra-Corporeal Membrane Oxgenationと呼ぶのが一般的で日本国内でも最近はエクモと呼ぶ人が増えていて一般化してきたようです。このPCPSは人口当たりの使用率は世界で一番だそうです。日本人がPCPS好き、ということを証明しているようです。
 最近はImpellaとの組み合わせでEcpella?エクペラという言葉も使われ始めているようです。

 最近横須賀市立うわまち病院では、重症の呼吸不全に対して2例のV-V ECMOを実施した症例があり、いずれも救命できました。呼吸不全に早期の治療介入することで救命率を向上することが期待できます。
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学会での発信:日本胸部外科学会総会

2019-12-15 04:43:16 | 心臓病の治療


今年の日本胸部外科学会ではMICSについて2演題発表しましたが、国内に発信していくことが施設のモチベーションやアクティビティを維持するのに有用と思われます。
横須賀心不全パンデミック講演会でもこの写真をスライドにして提示し、横須賀の人たちにも当院の取り組みを全国に発信している、ということをアピールしました。
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両側内胸動脈の使用率(JACVSD集計より)

2019-12-15 04:33:15 | 心臓病の治療
 日本国内の単独冠動脈バイパス術における人工心肺非使用の心拍動下手術(Off Pump Coronary Artery Bypass Grafting =OPCAB)の割合は7割と言われていますが、昨日の冠疾患学会でのシンポジウムで発表していた日本のデータベースからの報告では、両側内胸動脈の使用率は約2割だそうです。自治医大さいたま医療センターでは6割以上の使用率で積極的な施設ほどその割合は多いと考えられます。また高齢者が多い、重症を取り扱うことが多い施設では、その使用率は低下すると考えられます。横須賀市立うわまち病院では両側内胸動脈の使用率は約5割ですが、80歳以上が1/3以上を占め、平均年齢が70代後半と、おそらく平均より高い年齢を対象に手術していると考えられるため、やや低めと思っていました。しかし今回の学会の発表を聞いて、意外に他の施設では両側内胸動脈の使用率は低いんだと知りました。
 両側内胸動脈の使用は胸骨正中切開の場合は有意差はないとする報告が多いのですが、やはり実際には胸骨骨髄炎や縦隔炎の頻度が増えると考えられますので、そうした合併症が発生しない左小開胸の冠動脈バイパスで実施するのが理想的です。
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日本冠疾患学会学術集会ランチョンセミナー:左小開胸の心拍動下冠動脈バイパス術の経験

2019-12-15 04:16:58 | 虚血性心疾患
 日本冠疾患学会学術集会に参加させていただきました。今回は岡山が会場で、倉敷中央病院の小宮先生が会長でした。

 14日のランチョンセミナーの講演を依頼され、左小開胸の冠動脈バイパス術の経験についてお話しさせていただきました。この日は同時に4つのランチョンセミナーが企画されていましたが、他の3つは主に内科系の演題であったためか、著名な先生方もたくさん来ていただき、100名分用意されていた会場はほぼ満席でした。最終日で聴講者が少なかったらどうしようかとの不安がありましたが、それだけで今回のランチョンセミナーは成功だったと思います。
 視野が確保できないときのレスキュー方法などについてもお話しさせていただき、まだ実施していない施設のドクターからも、そうした方法もあるならやってみたい、とコメントいただくなど、反響がありました。循環器内科のドクターで聴講された方からは、県内で左開胸でやってくれる医師がいないので困っている、との話もお聞きしました。
 また下壁への吻合位置がかなり末梢ではないか?との質問も頂きましたが、実際に見える位置、吻合可能な位置は狭いワーキングスペースでは限られており、選んでこの位置に吻合するというよりは、ここしか吻合できないという位置に吻合しているので、血行再建する対象は、それでも十分長期開存可能なCTO病変など症例を選ぶべきであろうと思われます。
 TERUMO社製のスタビライザーの最新型のものはシャフトが細いのが特徴ですが、これも狭いワーキングスペースに使用するのに役立ちます。こちらのスタビライザーは先端部分のみがDisposableなので、発売されているスタビライザーの中で最も安価で、しかも性能が良いのが特徴です。横須賀市立うわまち病院は、このスタビライザーの国内でも最も多く使用している施設の一つのようですが、特に医療費の増大が指摘されている現代においては外科医もコスト意識をもって、性能のみならずコストも重視していく必要があります。

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左開胸の冠動脈バイパス術

2019-12-09 21:43:16 | 虚血性心疾患
https://blog.goo.ne.jp/admin/newentry/#

左小開胸の冠動脈バイパス術は低侵襲で合併症の少ない術式として、今後広まっていく可能性があります。特にカテーテル治療との組み合わせで完全血行再建を完成するのであれば十分な意味があります。海外のデータでは、ハイブリッド治療だと輸血率やICU滞在時間が有意に短くなる一方、医療費が増加するとの報告があります。

しかしながら左小開胸では視野不良で吻合が困難または無理、という症例もあります。この時のレスキュー手段としては皮膚切開を上腹部に延長して肋骨弓を離断して創を拡大するとすべての冠血行再建を容易に行うことができるようになります。創部は大きくなりますが、胸骨を離断するわけではないので、左小開胸と同等の手術侵襲での手術が可能です。縦隔炎や胸骨隨縁が起こることもありません。創の大きさにこだわるのでなければ、低侵襲冠動脈バイパス術の一形態として有効な治療法といえます。
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冠疾患学会:左小開胸のOPCAB

2019-12-08 23:09:09 | 心臓病の治療


今週、岡山で開催される第33回日本冠疾患学会学術集会において、ランチョンセミナーでの講演を依頼されています。横須賀市立うわまち病院では冠動脈バイパス術においては全例Off Pumpで行っていますが、そのうち、三分の一の症例は左開胸でアプローチしています。症例によっては循環器内科のPCIと併用したハイブリッド治療にしています。その経験について発表予定で現在鋭意スライド作成中です。

海外の論文では、ハイブリッド手術にすることによって、輸血や抜管までの時間、ICU滞在時間などが減少するという報告がありますが、PCIでの再治療が増えたり、医療費が増加するというデメリットもあるようです。
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ツキノワグマのカレー

2019-12-08 23:03:33 | 日記


秋田のマタギの人から頂いたツキノワグマ、ブルギニオン(ブルゴーニュ風赤ワインの煮込み)、🐻鍋、の後は、カレーです。今日のテレビで、ボクサーを目指す一家がジビエ肉を食べて筋肉をつけるために鹿やイノシシを猟師からもらって食べていると言っていましたが、シカやイノシシに比べて🐻の方が圧倒的に「ザ・肉」っている感じの強さがあります。

お店でクマを食べれる場所としては、春日部のアレコレーノがあります。他に、倉敷に脈管学会に行ったときに、その会場の近くのフレンチのお店で、北海道のヒグマのソテーを食べたことがあります。これもまた格別で滞在中にリピートしました。
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抗凝固療法中のステントグラフト内挿術

2019-12-07 22:06:48 | 大動脈疾患
 ステントグラフト内挿術においては、ステントグラフトと瘤壁の間のスペースは通常、血栓化してしまうことが多いのですが、抗凝固療法中は血栓ができにくくなるので、その分、Type IIのエンドリークのリスクが上がると考えられます。ステントグラフト自体が約10%に何らかの追加処置が必要になりますが、その頻度が上昇すると考えられます。
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町内で殺人事件発生 :命がけの夜警

2019-12-04 09:37:41 | 日記
https://brandnew-s.com/2019/12/03/yokosukawakamatsu-tr000/

横須賀は意外にというか、イメージ通りというか、夜は物騒です。時々殺人事件やいろんな事件で全国ニュースに登場します。
なんと、筆者の住む町内で殺人事件発生で驚きました。自宅から歩いて3分ほどの地点で、自宅の窓から見えるところでまさかの殺人事件発生です。
今夜は講演会で講演した後、町内会の一員として町内の夜警をする予定にしていますが、命がけの拍子木打ちになりそうです。

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ツキノワグマのブルギニオン

2019-12-02 17:00:27 | 日記


 毎年秋田のマタギをしている人の関係者から頂く、ツキノワグマが今年も届きました。今回は、前回に引き続きブルギニオンにしてみました。以前は煮込みすぎて水分、油分が抜けてしまい、煮込みすぎたと思われましたので、今回は少し短めの時間としました。ブルギニオン、とは、ブルゴーニュ風の、という意味だそうで、ブルゴーニュ風に、赤ワインの煮込みを意味します。通常は牛ほほ肉の赤ワイン煮込みなので、これはフランスの家庭料理として、ビストロなどで日本でも食す機会があると思いますが、ツキノワグマで同じような料理を目指しました。

レシピ:
ツキノワグマの肉(どの部分かは不明、腸腰筋みたいなところ)を脂身だけを除いて、肉は一口大にやや小さめに切っておき、特に、熊の毛が混じっているのは丁寧に除去。これをニンニク、マジックペッパー、オリーブオイルで下焼き。その後、肉を他に移した後に、にんじん、ジャガイモ、ニンニク、タマネギを同じ鍋に入れてオリーブオイルで炒めたところに、トマト缶一つ、ブルゴーニュワイン風のワインを一本入れ、これに先ほど加熱調理したツキノワグマの肉を入れて煮込みながら、パリで購入したブルギニオンのもと(粉末)を水に溶いたものを入れて、更に2時間ほど煮込んで完成です。隠し味は大宮産の大さじ3杯の蜂蜜。

盛り付け次第で写真のように、一流レストランのような一品になります。
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