体はそれほど強くなく、冷え傾向のある人で頭痛持ちという人に出すのは呉茱萸湯。疲れやすく、食欲が低下傾向で腹部膨満やめまい感を伴うこともある。保険適応ではないがしゃっくりに対する第一選択薬でもあったりする。ただ苦くて飲めないという人には芍薬甘草湯と一緒に出したりするが、それでも飲めないのはその人に合わないのだろうと思う。良薬は口に苦しなどとも言われるが、漢方薬の場合どうしても服用できないような処方は、合わないし効かないような印象がある。
保険適応病名
手足の冷えやすい中等度以下の体力のものの次の諸症
:習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐、脚気、衝心。
ここに衝心などという言葉が出てくるのでびっくりする。おそらく脚気衝心のことで、脚気が重症化して心臓の機能が弱り、呼吸が困難になることを指していると思われます。日清戦争や日露戦争のころは、戦闘ではなく戦場で脚気によってなくなる兵士が多かったという。脚気と聞いて頭に浮かぶのは、森鴎外と田山花袋。鴎外は軍医として従軍していたが、脚気の原因を見誤ってしまったことで、田山花袋は一人の兵士が脚気ゆえに命を落としていく様を描いた「一兵卒」という小説で私の頭に残っている。
《処方語呂合わせ》呉茱萸(ごしゅゆ)大棗(たいそう)人参(にんじん)生姜(しょうきょう)
★ 御酒 大人気
御酒(呉茱萸)がおいしくて大(大棗)人(人参)気(生姜)だ。
来年の初詣で、無事お神酒いただけることを願いつつ。