主人公を演じた佳山明(かやまめい)さんは演技未経験ながら、大胆なシーンもあって体当たりな演技で素晴らしかった。
あまりにも自然体なのでドキュメントを見てたかのようで、実際に佳山明さん自身が出生時に37秒息ができなかったために体に障害を負ったことから、このタイトルになったそうです。
「障がい者と性」という告知だったけど実際に観た印象は少し違う。
確かになかなか踏み込めなころを描いている部分はあるけれど、誰にも当てはまる成長のものがたりで、彼女のキャラクタのせいかポジティブで決して暗くて苦しい話ではない。
母親は娘を過保護に守ることで自分を保っているようなところがあったし、
仕事仲間の親友はゴーストライターであるユマの才能で漫画家として成立してた。
見方を変えると、障が者として弱い存在のように思われる彼女は、実は一番自立していたとも言えなくもない。
誰に反対されようとも、やりたいときにチャレンジすればいい。
監督のインタビューの言葉だけれど、主人公のユマ自身であり、演技初体験で主役を演じた佳山明さん自身の姿でもあるのね。
なので、障がいを描いた作品というとらえ方は違うんだと感じた。
前半はユマの冒険のものがたりみたいで、か細い声で優しく話す彼女をハラハラと見守ったけど、半ばからは出てくる人がみんな良い人ばかりで、彼女のチャレンジ精神だとしても、家出した状態でいきなりタイに飛んじゃう行動力にちょっと笑っちゃいました。
あれ、パスポートいつ取ったかな、、なんて無粋なこと考えちゃ駄目よね。
ロードムービーみたくなって世界が広がった。
そう、行きたいと思えば誰だって願いは叶うんです。
「私でよかった。」
障がいなんて関係なく、誰にとってもこの言葉を言えることが最高に力強く、そう言える人生が幸せなんだよなー。
37セカンズ 2019年
監督:HIKARI
出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子
23歳の貴田ユマ(佳山明)は、生まれたときに37秒間呼吸が止まったため、手足を自由に動かすことができない。親友で漫画家のゴーストライターをしているが、自分の作品を出せないことに複雑な気持ちを抱いていた。ユマは、過保護な母・恭子(神野三鈴)のもとで閉ざされた生活を送っている。