夫婦って結婚した時点で間違いなく惹かれあってたわけだし、親は子を何よりかけがえなく愛してるし、子は親を無条件に大好きなんですよ、絶対的に。
でも人って一筋縄ではいかない、綺麗ごとだけはない。
わかるんですよね、わかるから、そうじゃないっていう苛立ちと、否定できない感情が入り乱れて、凄い。本木雅弘さん演じる(衣笠)幸夫があまりに生々しく存在するので引き込まれました。
妻がバス事故で崖下に転落して亡くなる最中に自宅のベッドで浮気をしていた。
最後の会話も気まずいままで、携帯電話に残された妻からの最後のメッセージは「もう愛してない」
最悪だ。
そもそもこの人気作家の夫、ネガティブ思考で棘のある言葉を吐く独特なタイプなんだけど、あろうことか罪悪感からか、未知の領域である子供の面倒をみ始める。
「子育ては免罪符」って言葉がひっかかったのかな。
大体尋常じゃない事態の時って人は尋常じゃないこと起こしがちよね、それにしてもだけど(笑)
部屋が汚くなり、髪が伸び、感情が隠せなくて、もがいてる様が誰からもわかる、わかりやすい人。
実際に夫だったら超めんどくさいんだけど、まぁ可愛いっちゃぁ可愛い人かもしれない。
竹原ピストルさんもとってもいい味を醸し出してました。
奥さんを亡くしてあんなに泣いて悲しんでたのに、ちゃんと先に進んだの私はいいと思うよ。
今生きてるんだもん、それが現実。
そして、いつまでたっても泣けずにいる幸夫もね。
やっぱり人は一筋縄ではいかない。
電車のなかで真平に言ったのはそっくり自分に言い聞かせた言葉よね、私はそこではらはらと泣きました。
「人生は他者だ」
自分を支えて愛してくれた人に無自覚だった自分を悔いているのかな。
奥さん、どっかで見てたかな、見ててにやってしてるといいな。
永い言い訳 2016年 ☆☆☆☆☆
監督:西川美和
出演:本木雅弘、竹原ピストル、藤田健心、白鳥玉季、池松壮亮、黒木華
人気小説家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)の妻で美容院を経営している夏子(深津絵里)は、バスの事故によりこの世を去ってしまう。しかし夫婦には愛情はなく、幸夫は悲しむことができない。そんなある日、幸夫は夏子の親友で旅行中の事故で共に命を落としたゆき(堀内敬子)の夫・大宮陽一(竹原ピストル)に会う。その後幸夫は、大宮の家に通い、幼い子供たちの面倒を見ることになる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます