ケン・ローチ監督作品、続いて拝見しました、2016年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。
「家族を想うとき」は主人公がまだ若く、家族もいるので辛くても希望を感じられたけど、
今回は奥さんに先立たれた独り身の初老の男性(同年代なんですよねぇ)で、心臓が悪くて働けない状況で国からの支援も打ち切られる、さらに辛かった。
引退を表明していたケンローチ監督が弱者が切り捨てられる現状に怒って今作を作ったということが十分理解できる。
心臓病でドクターストップがかかったダニエルは決して福祉に頼って生きようとしているのではない。40年大工として働き、税金もきちんと納めてきた。
そんな彼がここまで苦しい立場になる福祉政策ってなんだろうと、怒りがこみ上げる、
他人事ではないですからね。
理不尽な役所のやり方に、途中でわーーって叫びたい気持ちになりました。
もうすぐ年金生活者になろとしている我が身としては、そこが切り捨てられたら生きていけないもんなぁ。
閉塞感半端ないなか、彼がとった行動にはちょっとカタルシス感じました。
まあでも、結果として何も良くなることはないんだけど。
ラストもね、あぁそうならないで欲しいって思った通りに終わったなぁ、、
すごくストレートな、伝いたいことを伝えるという作品でした。
でも、ただ辛いだけで終わらなかったのは、ダニエルが正しく真っ当な人で、幼い子供を必死で育てるケイティに救いの手を差し伸べる優しい人だから。
ほんと、こういう人が普通に幸せに暮らせないなんて許せない。
ちなみに、寝室税とはなにかと思ったら、援助を受けている場合のみだそうですが、カップルに一部屋以上の寝室がある場合は残りの部屋に税金が課せられるだそうな。
わたしは、ダニエル・ブレイク(原作:I, DANIEL BLAKE ) 2016年 ☆☆☆☆☆
監督:ケン・ローチ
出演:デイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ
59歳のダニエル(デイヴ・ジョーンズ)は、イギリス・ニューカッスルで大工の仕事に就いていたが、心臓の病でドクターストップがかかる。失職した彼は国の援助の手続きを進めようとするが、あまりにもややこしい制度を前に途方に暮れる。そんな中、ダニエルは二人の子供を持つシングルマザーのケイティと出会う。
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