自然学校発 黒松内だより

北海道の道南の小さな町、黒松内にある「ぶなの森自然学校」の毎日と周辺のできごとを自然学校のスタッフ達が紹介します。

黒松内No.2のブナを目指せ!角十地区ブナツアー

2022年03月28日 14時55分46秒 | あべまり日記

 

黒松内といえば天然記念物にも指定されている歌才ブナ林が有名ですが、本数は少なくとも、歌才以外にもブナは点在しています。

 

ニシン漁や戦争の影響でたくさんのブナが伐採されてしまいましたが、その危機から逃れ、今もなお力強く生きているブナの中で、No.1の大きさを誇るものが添別にあり、そしてNo.3が丸山地区に。

 

そしてNo.2が今回私たちが見てきた角十地区にあるブナの木なのです。

 

このブナを見つけたときにはとても感動的なドラマがあったそう。

これは今から約10年近く前のはなし。

 

角十地区に住む、あるおじちゃんが「あそこの山には巨大なブナがあるんだ」

 

そのような話をしていたそうです。

そしてその話を聞いた前教育長のUさんが立ち上がり、ブナセンターの学芸員Sさんと一緒に巨大ブナを探しに行きました。

もしかしたらそのおじいちゃんの話は「あるわけないよ」と受け流された可能性もあるわけです。しかしUさんはその話を信じてブナを探しに行きました!

 

おじいちゃんが言っていたヒントは

 

「そのブナの近くには大きな岩が見える」

といったものでした。

 

これだけを頼りに山を歩いたそうです。

そして、歩き回った結果、やっとの思いで巨大ブナを見つけることだできたのです!

「本当に巨大なブナの木はあったぞ!」とおじいちゃんに報告できました。

 

こんなように、とても簡単に文章にまとめてしまいましたが、このような感動的な実話がありました。

 

 

話は戻り、、、

今回はそのようなブナを、角十地区の地域の方にも見てもらいたいとUさんが企画し、ツアーを行うことになりました。

 

当日は地域から6名参加しました。

 

まずは山歩きには欠かせないかんじきを装着。

 

もちろん使用するのは渋谷式かんじきです。

渋谷式かんじきとは、故 渋谷吉尾さんという方が作ったものです。この方は「生まれ故郷である黒松内町のために何か恩返しをしたい」と、かんじきを作って町の人たちに配ることを始め、それを生涯やり続けました。亡くなるまでに作ったかんじきは約4000個といわれています。

 

→公益社団法人 社会貢献支援財団

https://www.fesco.or.jp/winner/h12/09.php

 

かんじきは装着するとこのようになります。

今やたくさんのアウトドアメーカーからスノーシューが発売されていますが、渋谷式かんじきは軽くて後ずさりもしやすいなど、スノーシューに劣らない使い勝手の良さがあります!

 

皆さんこれを装着し、さっそくNo.2のブナに向かって歩き始めます。

 

ツアーガイドをしてくださったのはブナセンターのSさんで、歩きながら植物の話をしてくださいました。

 

 

シカの食痕を観察したり、

これはニワトコの冬芽だそうで、参加者の方から

「体に良いからうちのおばちゃんがよくお茶にして飲んでいたんだよ」

という話がありました。

 

地域の方からこのような話が聞けるのはとても興味深いです!

現代ではこういった昔の暮らしに触れる機会はなかなかないので、私もとてもわくわくしながら聞いていました。

 

行きはなだらかな登りが続きます。

冬の山登りに慣れていない方もいたので、休憩を取りつつ、少しづつブナに向かって歩いていきます。

 

そして2時間ほど登り進めたころでしょうか、

 

木と木の間から、枝の密度の濃い木が見えてきました

 

「もしや・・・?」

 

そう、やっとたどり着きました巨木ブナ!

 

枯れている枝はほとんどなく、とても生命力を感じる枝ぶりでした!

女性3人で手をつないで幹を囲んでもまだ囲み切れないくらいの太さです!

樹齢何年なのかがとても気になりますね。

 

 

「角十地区をこれからも見守っていてください」

そのような願いを込めながら全員でブナの木とご挨拶を交わしました。

 

なんだか目には見えない不思議な力で気持ちが引き締まるような感じがします!

 

普段なかなか見に行くことのできないブナなので、その場でゆっくり時間を過ごしました。

 

そして帰路につきます。帰りは尻滑りができるところを探しながら歩き、

全員で尻滑りをしながら歩きました!

「みんな子どもにかえったみたいだったね」

と、言いながら、その表情はとってもとっても楽しそうでした!

 

こうして今回のブナツアーは終了。

 

改めて、地元の方たちが、地元にあるブナに誇りを持ち、会いに行くということはとても素晴らしいことだなと思います。

 

Uさん曰く、角十のブナを一目見たいという地域の方はもっといるのだけれど、「自分は体力に自信がないので迷惑はかけられない」と遠慮している方もいるのだそう。

 

なので、何度もこの取り組みをして、「私も行けたんだから〇〇さんも行けるよ」という会話が地域中に広まればいいなと考えて、これからも定期的にブナに会いにいくイベントを続けていくそうです。

 

 

自分たちの住む地域を歩いていると、「昔はよく○○したものだよ」「家にこんな機械があったんだよ、今も倉庫に眠ってるけどね」といった話題が自然と挙がってきます。

 

こういう会話は暮らしが変容してきている今となってはとても貴重で、このようなことを話せる機会、聞く機会を協力隊の私としても増やしていきたいと思いました。

 

 

地域おこし協力隊 まりっぺ こと 阿部真理

 


協力隊まりっぺと愉快な仲間たちの街中雪像プロジェクト⛄

2022年03月28日 14時47分31秒 | あべまり日記

 

夕方の黒松内の街中で、何やら若者たちが雪山を削ったり掘ったりワイワイしています。

車で横を通過する人たちは、スピードを緩めながらこちらを見つめ、

 

これは何の集まりだろうか・・・??

 

というような顔をして通り過ぎていきます。

 

確かに皆さん気になりますよね!

 

そう!この集団は何なのかというと、街中に雪像を作ろうという企画に賛同してくれた町内の若者たちなのです!

 

前回は野球場にかまくらを作りました。しかし、野球場はその後イベントで使ったきりで、せっかく作ったのに町民の目に留まることがありません。。。

 

かまくら作りの様子はこちら・・・

https://blog.goo.ne.jp/haruneos3/e/bf6ff6a934b05ed6d404ce6b0c1b7abf

 

 

せっかくなら若者が楽しく活動している姿を、より多くの人が見れる場所で見てもらいたい。

 

さらに、目を引くような巨大な雪像がドドドーンとあることで街中に少しでも華やかさ、賑やかさを添えたい。

さらにさらに、せっかくなら通りかかった人、声をかけてくれた人と交流が生まれればなお良し、というようにいろいろな目的をもって雪像づくりを行うことにしました!

 

 

協力してくださる全員が雪像づくり初心者で、そもそも何から始めていいものやら…

 

という状況だったので、ネットに載っている雪像づくり動画をひたすら見漁って、イメージを膨らませます。

 

 

まずは全員でイメージを共有できるように図を用意してみました。

 

実はこれが一番大事だったりします。

 

1週間前に練習として何も図を用意せずに作ってみたときには、「ん、、、これはト何?」という残念な出来栄えになってしまいました(笑)

 →それがこちら



んんんんんん?ナニコレェ!?

 

なのでその反省点を踏まえて準備は綿密におこないました!

 

そして作業開始。

 

元々ある除雪の山を利用して、完成図と雪山を見比べながら粗削りをしていきます。

 

スプレーで印をつけながらやると良いという噂!その方法で進めていきます。

 

土台から削り始めればいいのでは?という意見で下から削り始めたのが正解で、初日の2時間の作業である程度の形になりました。

 

初日のゴールがこちら

 

分かりずらいですが横長の物体は見えてきています。

 

作業2日目。

なんといきなり、近所で旅館を営んでいる小間さんからおにぎりの差し入れが・・・!

初日に様子を来てくださって、翌日も作業をするという話を覚えててくださっていました。

「こんなことしかできないけど頑張って」と…

 

「いやいやこんなことなんてとんでもない!!!」

しかも小間旅館で焼く鮭は格別なおいしさなのです。

さらにこの日はひな祭り。木村屋さんの桜餅も差し入れいただきました。

 

みんなで頂いた差し入れを食べてエネルギーを充電し、作業に取り掛かります!!

 

初日に作業が進んだ分、2日目は腕やおなかの丸みを出すなど、細かい作業に移り、

 

顔を立体にさせるにはどうしたらいいか考えた結果、とりあえず雪を盛ってみようということになり、やってみます。

 

そうすると…「おっ!なんかそれっぽくなってきた!」とみんなで手ごたえを感じたところで2日目は終了しました。

 

雪像は削るだけでなく盛る作業も大事で、やり直しがきくから大胆にやるというのが作る際の心構えなのです。

 

 

いつも放課後子ども教室でお世話になっているご家族が雪像づくりを手伝いに駆けつけてくださり、とっても賑やかな二日目でした!

 

こんな様子で、1日2時間ほどで耳を作ったり、鼻を高くしたりなど、少しづつ少しづつ完成に向けて作業を進めていきます。

 

しかし、ある日は雪像が吹雪に見舞われて大変なことに、

前日にかぶせたブルーシートが強風で飛ばされかけていました💦

 

私は用事があり、直しの作業できなかったので不安になっていたところを、いつも作業を手伝ってくれていた仲間がブルーシートを直してくれていました!

 

 

そのおかげで、雪像は雨にも風にも雪にも負けず!

雪像づくりは本当に皆さんの協力があってこそだなと、心の底から思いました。

 

Day4

この日に完成を目指して、おなかのほりを描くなど、ラストスパートをかけます。

二時間ほど作業すると、天気が悪化したため終了。

きりもいいので、これで全作業を終了することにしました。

 

少しでも早く地域の皆さんに完成した〇〇〇を見てほしいと思い、翌日に点灯式を行うことにしました。

 

何を作ったかお分かりの方もいると思います!

そう!私たちの作った雪像はトト〇です!

あの有名なとなりのトト〇です!

 

じゃーん

寝ているトト〇のおなかの上にメイちゃんが見えますね!

 

試作で作った時のことを思い出してみると、飛躍がすごい!

これは皆さんの協力があってこそですね!

 

点灯式は予想をはるかに超える方々が見に来てくださりました!

作業を一緒にした仲間や、ご家族で見に来てくださった方も!

 

最後は皆さんでライトアップの準備をして、

記念写真をパシャリ!

んんん良い写真!!!

 

作業には参加できないからせめてと差し入れをくださったり、応援してくださったり、この写真には写っていない皆さんも含めた沢山の皆さんのご協力があってこそのこの盛大な点灯式までたどり着けたのだと思います!

 

自分たちが楽しみながらやっていることが結果的に、地域の皆さんのためにもなっている

私はそういう活動ができたらいいなと思っていました。

 

雪像づくりの作業自体はとても楽しかったです。

さらに、予想をはるかに超える出来栄えの雪像も作ることができました。ちなみに滑り台もついていて遊ぶこともできます。

 

これを見て、地域の方に少しでも明るい気持ちになっていただければ幸いです。

 

今回はそんな私の想いを形にすることができました。

 

「来年も作りたい」そんなお声もいただき、本当にやってよかったです。このような活動をさらに形を変えて継続していきます!

 

協力してくださった皆さん、本当にありがとうございました!

またよろしくお願いします!

 

 

地域おこし協力隊 まりっぺ こと 阿部真理