まだ、みんなが医学生であった頃の話ですが、ある年の勤労感謝の日の翌朝にHから電話がかかってきました。
浄行寺のガソリンスタンドまで、すぐに来て欲しいと、切羽詰まったような口調でした。
何事かと車で駆けつけると、Hが女子大生と二人して待っているではありませんか。
Hは私の車に乗り込むなり、”薬学部まで急いで!”と言います。
薬学部で彼女を降ろした後、何事かとHに問いただしました。
Hの答えは、”彼女が遅刻しそうだったから。”というものでした。
私は、”なんだー、俺はタクシー代わりかっ!タクシー代も持たんのかっ!”と怒りましたが、Hは、
”マアマア、長谷川さん、ドライブでも行きましょうよ。”と言います。
”おまえと二人でドライブだとー!”と私は声を荒げました。
しかし、Hが免許取りたてだったのを思い出し、車の運転がしたいんだなと推測して、仕方なくRX-7を発進させました。
俵山を越えて阿蘇に上り、山脈ハイウェイまで行き、夕暮れに俵山にもどってきました。
Hは夕焼けの中、RX-7を運転しながらこう切り出しました、”長谷川さん、実は昨日、初めてしちゃったんだよね。”
その日の朝からの出来事が、パズルの正解が一瞬にして分かる時のように完璧に整理されました。
”お前は、それが言いたくて、俺を一日中連れ回したのか!”
”分かった。これを勤労感謝事件と名付けて、5年間は秘密を守ることを約束しよう。”と私は言い、それを実行しました。
Hにはその年の春に教育学部を卒業して郷里に帰って行った彼女がいました。
私も初心者水泳教室でのアルバイト中に、偶然二人を目撃したことがありました。
紺のスクール水着を着て、河合奈保子をスマートにしたような清楚な美人でした。
Hは彼女の卒業後、酔う度に、”あの時手を握る勇気があったならば展開が変わっていたかも知れない。”とこぼしていました。
初体験は、その彼女の友人に引っ越しの手伝いを頼まれたのがきっかけだったようですが、その女性とはそれっきりだったようです。
その後毎年、勤労感謝の日が近づくと、私はHに、”あれほど働いた勤労感謝の日は無かったろう。よく頑張ったな。”と言いながら乾杯を迫るのが常となりました。
Hは、”何がですかっ!”と怒りますが、私は、”いや、引っ越しの手伝いのことだよ。”と受け流します。
浄行寺のガソリンスタンドまで、すぐに来て欲しいと、切羽詰まったような口調でした。
何事かと車で駆けつけると、Hが女子大生と二人して待っているではありませんか。
Hは私の車に乗り込むなり、”薬学部まで急いで!”と言います。
薬学部で彼女を降ろした後、何事かとHに問いただしました。
Hの答えは、”彼女が遅刻しそうだったから。”というものでした。
私は、”なんだー、俺はタクシー代わりかっ!タクシー代も持たんのかっ!”と怒りましたが、Hは、
”マアマア、長谷川さん、ドライブでも行きましょうよ。”と言います。
”おまえと二人でドライブだとー!”と私は声を荒げました。
しかし、Hが免許取りたてだったのを思い出し、車の運転がしたいんだなと推測して、仕方なくRX-7を発進させました。
俵山を越えて阿蘇に上り、山脈ハイウェイまで行き、夕暮れに俵山にもどってきました。
Hは夕焼けの中、RX-7を運転しながらこう切り出しました、”長谷川さん、実は昨日、初めてしちゃったんだよね。”
その日の朝からの出来事が、パズルの正解が一瞬にして分かる時のように完璧に整理されました。
”お前は、それが言いたくて、俺を一日中連れ回したのか!”
”分かった。これを勤労感謝事件と名付けて、5年間は秘密を守ることを約束しよう。”と私は言い、それを実行しました。
Hにはその年の春に教育学部を卒業して郷里に帰って行った彼女がいました。
私も初心者水泳教室でのアルバイト中に、偶然二人を目撃したことがありました。
紺のスクール水着を着て、河合奈保子をスマートにしたような清楚な美人でした。
Hは彼女の卒業後、酔う度に、”あの時手を握る勇気があったならば展開が変わっていたかも知れない。”とこぼしていました。
初体験は、その彼女の友人に引っ越しの手伝いを頼まれたのがきっかけだったようですが、その女性とはそれっきりだったようです。
その後毎年、勤労感謝の日が近づくと、私はHに、”あれほど働いた勤労感謝の日は無かったろう。よく頑張ったな。”と言いながら乾杯を迫るのが常となりました。
Hは、”何がですかっ!”と怒りますが、私は、”いや、引っ越しの手伝いのことだよ。”と受け流します。