
数年前に出版された本のリニューアル改訂版です。
それほど期待することも無く購入したのですが、最終章は、脂肪代謝こそが人類本来のシステムであるということを、
新しい切り口で記述されており、楽しく読ませてもらえました。
一部をアップしてみます。
デイビッド・ホロビン著の「天才と分裂病の進化論」からの引用です。
今の人類が生き残れたということにも、脂肪は重要な役割を果たしたようです。
チンパンジーなど他の猿の仲間と比較して、現在の人類に特徴的なのは、女性の乳房とおしりが大きいことです。
これは、突然変異で人が皮下脂肪を蓄える能力を獲得したからなのですが、生存競争を考えると、このことの意味は大きいといえます。
例えば、普通の女性は水さえあれば何も食べなくとも、皮下脂肪に蓄えたエネルギーだけで、母子ともに二か月は生きられます。
ところが、チンパンジーや人間の男性の場合、蓄えた脂肪が少ないですから、一か月ほどで死にます。
人間の女性は皮下脂肪が多い分だけ生き残るのに有利であり、このことは同時に、子供を死なさずにすむことをも意味しています。
つまり、現生人類という種族が他の猿人や原人との生存競争に打ち勝ってこられたのは、女性が皮下脂肪を多く蓄える能力を持っていたからだということなのです。
また、人体にとっていかに脂肪が重要であるかは、人がエネルギーとして用いる物質の順番を見てもわかります。
人が一番にエネルギーとして使うのはアルコールです。
そして、二番目が糖質、三番目が脂質、最後がたんぱく質という順になります。
これは人体にとって重要度の低いほど先になっており、大事なものほど後に使っていると考えられるのです。
少しづつ、少しづつ、糖質制限の知識が増えていきます。
そして、角砂糖換算表をお渡しした患者さんは、この一か月で60名を越えました。
スーパー糖質制限に誘導するのはなかなか難しいのですが、根気強く、あきらめずに続けていきます。
たがしゅう先生がおっしゃられるとおりで、その良さを最も熟知しているのは、それを実行中の私自身なのですから。