シルバーの反逆

「Ｓさんって、何歳です～か？」「え？」
　目の前に、アルバイトの女性がいた。マグロの刺身をひくのに懸命だった。気がつかなかったのだ。
　時計を見る。もう深夜の１２時だ。アルバイトの彼女らの仕事終わりの時間だ。
「何歳？」「どうして？」「どうしても」からんでくる彼女の声。信じられなかった。可愛いー！それに、いい匂い。彼女の化粧のものだった。
　大体、こんな真夜中に、寒くて暗くて、眠い時間に、弁当製造工場でアルバイトしてる連中といったら。まず若いのはいない。俺なんか、もうあと２年で、定年だ！そして嘱託に、そしてそして、シルバーだよ、もう！くそったれ！まあ、男はどうでもいいんだ。女性っていえるような、まともなのはいやしない。俺より年上のババアばっかり！「ん？」彼女を思わず見直した。（わ、若い！）
「２９だよ、俺」「うそーっ！」そう、嘘だよ、うそ！しかし、ほんまのことが言える状況じゃないじゃんかよー！
　こうして、シルバーを目前にした俺の、反逆の時間は始まったのだ！