こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

記憶の竹箸

2020年02月02日 00時41分56秒 | エッセ
 父と祖父は私をからかうのが楽しくてたまらない様子だった。
「あれ?」
大事な箸が入っていないのに、まず気付いた。弁当の中身を確認するどころではない。手づかみする選択肢は当時の私にはなかった。
「どないしたんや」
「箸が入っとらん」
「そら大変や。母さん、よう忘れよるからのう。こらお昼はお預けや」
「ちょっと待っとれ」
 祖父はなたを手に立ち上がると、藪の中へ。すぐ出てきた祖父の手に、竹の切れっぱしがあった。二つに割ると「ほれ」と父に一つを抛ってよこした。父も心得ていて、鎌を使い竹をそぎ始めた。祖父も器用になたを使って作業を始めた。そいだ竹をせっせと削り上げていく職人芸に見とれてしまった。
「ほれ、これで弁当を食えるやろが」
 瞬く間に出来上がった竹箸は、見事な出来栄えだった。いい香りもあった。
「竹の箸で食うたら飯はうまいぞ」
 祖父がいい、父は笑顔で頷いた。
「どないな時でも、山や畑で困ることはあらへん。ちょっと頭使ったら、間に合いよる。わしらの暮らしは自然の恵みとの二人三脚や」
 父のどや顔をまぶしく感じた。
 食事のたびに重宝している竹の箸。塗り箸にはない愛着がある。越前で塗り箸と一緒に買ったものだが、祖父と父の思い出とともに大事に使っている。
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当日消印勝負

2020年02月01日 01時44分28秒 | エッセ
31日は
公募の消印当日の締め切り日。
私の場合、
応募原稿の仕上げは
締め切りぎりぎりが大半。
要するに
天性のなまけものなんだろうな。(苦笑)
毎月月末は
前夜から消印当日の夕方5時まで
ワードのモニター画面と睨めっこ。
早く書いておけばいいのにと
妻も娘も、
いや知人の多くが忠告してくれる。
でもカイゼンは一向にならず。
今回は400字10枚の原稿との闘い。
30日の深夜1時から
キーボードをたたき始めた。
原稿の下書きなど
いままで書いたことはない。
ぶっつけ本番だから、
中身のない頭を悩ませながらとなる。
何行か書いては
削除!削除!
時間がかかって当然だ。
31日午前11時、
やっと仕上がった。
要綱を見直して、
別紙に必須データーを書き出す。
そしてホッチキス止め、
気を付けないと
ホッチキスは不可の場合があったりする。
A4の原稿が入る封筒を用意してあて名書き。
サイズがあう封筒がないときは、
慌てて前に郵送されてきたものを裏返して間に合わせる。
今回はアセアセで即席の角封筒を作った。

近くの郵便局の窓口に急ぐ。
ポストだと、
当日消印でいけるかどうか不安なので、
窓口を利用する。
土曜日曜だと
ゆうゆう窓口へ走る。
本局にしかないから大変なのである。

出し終わると
体中の力が抜ける。
そして余計な心配を始める。
阿蘇の文章おかしくなかったか?
変な文字がはいっちゃんたんじゃないか?
そうだとしても
もはや手遅れだというのに。(苦笑)

とにもかくにも、
10枚の原稿は間に合ったのです!
もしかしたら、
この臨場感が応えられないのかもしれないぞ。
いや~お疲れさまでした。

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兄ちゃん

2020年01月31日 00時12分05秒 | エッセ
二人っきりの兄弟だったことを不意に思い起こすことが多くなった。年を取った証しなんだろうな。でもおかしいことに、兄ちゃんの顔がよく分からない。いつも笑顔だった記憶はあるが、その笑顔がぼやーっとしたままで、焦れったくてたまらないんだ、兄ちゃん。
 仕方ないよな。兄ちゃんが天国に旅立ってから、三十年以上も経つ。俺はもう七十代。まだ認知症とはいかないけど、少しづつ物覚えが悪くなっている。それでも一番忘れてはいけない兄ちゃんの顔が不確かなんて、駄目な弟だな、俺。悔しいし、寂しいよ。
 いや!先立った兄ちゃんが恨めしい。おかげで三十年一人っ子、母さんを見送り、今は脳梗塞に倒れた父さんは寝たきり状態。でも、逃げるわけにはいかない一人っ子だ。本当は甘やかされ育った。頼りない末っ子なのにさ。
 頼りになる兄ちゃんの背中に隠れていればよかった時代に戻りたくなる。ひどい人見知りで、引きこもり状態だったころに。何かにつけて外へ引っ張り出してくれた兄ちゃんが煩わしくてたまらなかったけれど、その気遣いと行動性が、俺に世の中との接点を与えてくれたんだ。人並みに就職し、結婚、こどももを四人育て上げられたのは、兄ちゃんのお節介があったからこそだ。
 定年退職と子供の巣立ちが、俺を田舎の家でまた独りぼっちにしてしまった。世間とのつながりが切れ、高齢にして引きこもりの仲間入りさ。憂さを晴らせる友達は元よりいないし、俺を外へ引っ張り出してくれる兄ちゃんみたいなお節介野郎は当然いない。
 兄弟仲良く白髪頭になっている隣人を見るたびに、兄ちゃんが憎らしくなる。(なんで一人にしちまったんだ!)腹ん中じゃ悪態をついてばかりだ。どうにもならないのに。
 物置に古いアルバムを見つけた。でも開けなかった。天国の兄ちゃんが「俺の笑顔思い出してどうなるんや!いつまでも甘えるな!」と忠告してくれてる声が聞こえたからだ。
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成人式

2020年01月30日 00時55分42秒 | エッセ
「お父さん、成人式って
何を着て出席したの?」
ぼやッとしていた時に
いきなり娘が聞いた。
答えに詰まっていると、
「やっぱり羽織袴の時代だよね」
と勝手に決めつけられた。
「まあな、そんなとこや」
曖昧に済ませた。
「やっぱり、そうなんだ。
お父さん、
前世紀の遺物の一人だもんね」
失礼な娘の言葉にも
「ウムウム」と頷くしかなかった。
実は成人式なるもの
行かず仕舞いだったのだ。
当時は姫路の街で
アパート住まい(真実は曲がり生活)しながら
仕事に無我夢中の時代だった。
「成人式の案内が来てるぞ」
実家から連絡はあったが、
仕事を抜ける勇気はなかった。
結局仕事に追いまくられてしまった。
「お上が、生涯たった一度だけ祝ってくれるのに、
勿体ないこっちゃ」
職場の上司に言われて、
(ああ、そうなんや)
事実
それ以降今日に至るも、
お上に祝福を受けたためしはない。(苦笑)
そんなこんなで
損ばかりの人生を送ってきている。
あと少し残っているけど、
少しはお得感を味合わせて貰えるかなあ?
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ガラケー人種

2020年01月29日 01時00分34秒 | エッセ
いつも自慢される
高齢者仲間のスマホ自慢。
タブレットとスマホ3台を持ち歩いている。
買い物の支払いは
スマホ決済ときたもんだ。
私といえばガラケーの古い機種1台。
それで十分事足りている。
しかし、
いまや携帯屋から
スマホに替えろ替えろと
矢の催促(?)
ガラケーが完全廃止になるまでは
変える気は毛頭ない。
大体、
今のガラケーの利用も、
市街の高校へ進学した娘との交信のためだけだった。
送り迎えには必須のアイテム。
通話もメールも
相手は大半が娘。
娘が大学を卒業するまでは
結構役に立ったが、
社会人になった今は、
無用の長物化。
それでも
思いついたように
娘のメールが入る。
「今夜は食事いらない」
「今夜は飲み会だから迎え頼むね」
なんてやつばかり。
しかし
このメールや通話が
私を幸せ気分にさせてくれている。
といって、
スマホはもういいいよ。(うん)
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ナマケモノ

2020年01月28日 01時03分34秒 | エッセ
暖冬だというが、
こたつに入ると
なかなか出られない。
今日はあれをやるぞ!と
いつも計画を立てるが、
その遂行は
なかなかままならない。
私の人生、
計画倒れの人生といっても過言ではない。
B型・いて座・ネズミ年・次男の末っ子……
これだけ揃えば
見事なナマケモノになるらしい。
したり顔の友人に
そう決めつけられた。
だからナマケモノなんだろうな。
今年なんか
計画はいっぱい立てたのに
この一月、
紙芝居公演だけしか
まだやっていないではないか。(ガクン!)
残された時間は僅かさというのに、
(また明日やればいい)
愚かな考えを先行している。(ああ~、死ななきゃあ治らない~♪)

こたつで丸くなっていると、
メールが入った。
友人から
この間の紙芝居の写真が送られてきたようだ。
20枚ばかりをプリントして、
一枚一枚目を通しながら、
とりとめのない妄想にふける私だった。(もうどうしようもないね。大苦笑)
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娘の演奏

2020年01月27日 01時25分32秒 | エッセ
娘がバイオリンケースを手に
家を出た。
職場で演奏するようだ。
退職の同僚を送別する会があるという。
職場仲間がチェロを弾くので
合奏ということだろう。
いまは保育士の娘、
二年前まで
A市のTフィルで
バイオリンを弾いていた。
三歳から初めて
二十年近いキャリアがある。
最近は仕事にかまけて
演奏の機会は少なくなってしまった。
数年前までは
娘が演奏する舞台は
必ず出向いて、
娘の演奏に
うっとりしていたものである。
それどころか、
娘が練習するバイオリンの音色を
しょっちゅう耳にして
幸せな父親気分を味わっていた。
今思えば、
あの時間は至福の時だった。
いまや家で練習する姿を
見ることはなくなった。
父親としては
寂しくわびしい思いを抱えている。
ユーチューブに
乗せている娘の
演奏姿を(娘は知らないでいる)
再生しては
当時の幸せだった記憶の中に浸っている。
もう娘のライブ演奏姿を
見ることは叶わないかも知れないなあ。(しんみり)

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畑にて

2020年01月26日 01時53分48秒 | エッセ
夕食のために
必要な野菜を
収穫に畑へ。
畑は大根や白菜などの
冬野菜が
元気な顔を見せている。
「うんとこしょ」と
引き抜いた大根、
かなり太い!
昨年は貧相な出来だったのに、
白菜もちゃんとまいている。
(今日は鍋にするか)
大根は
いつも通りに
常備菜に仕上げる予定。
しかしまあ
吾ながらびっくりの上出来のものばかり。
ただ喜んでばかりはいかないよなあ。
ニュースでやっていたが、
冬野菜は暖冬のおかげで
どこも大きく育ちすぎらしい。
そして
春野菜への不安を伝えていたっけ。(う~ん)
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ふるさと加西むかし話

2020年01月25日 01時38分06秒 | エッセ
ことしから
毎月1回上演の
紙芝居に新しいプログラムを加えました。
ふるさと加西の昔話です。
第一回目は
繫昌町に伝わる昔話を
二枚の紙芝居にかきあげてみました。

野のキツネというお話です。
野は市境に広がる
広大な野原のことです。
うっそうとしていて
一度入り込むと
昼日中でも迷い込み
さまようのは間違いない
恐ろしいところです。

青野ヶ原と言います。
昔は松やススキに
覆われた原野で、
キジや野ウサギ、キツネなど
獣がたくさん住んでいました。
そのキツネに
繫昌の村に住んでいる孫兵衛さんが
ばかされるというお話です。
加西の方言
ごっと(ご馳走のこと)
よめどり(婚礼のこと)など
が出てきます。
次回は地蔵さんを取り上げる予定です。
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ちょっと脱線

2020年01月24日 01時09分18秒 | エッセ
23日夜は
市ふるさと創造課のワークショップに参加。
市の未来に提言、
街づくりの実行に
つなげていこうという趣旨の会議。
夜19時からということで、
それまで久しぶりのウォーキング。
北条鉄道の沿線を歩き、
ローカル線の風情を堪能しました。
高校時代、
通学に利用していた時は国鉄。
今は第三セクターで
細々と行き永らえいる鉄道です。
社会人になってKらも数年通勤で使っている
青春まるごとを記憶する駅舎。
いろんな人の出会い、
恋人との語らい、そして別れ……
ちょっとしんみりと
市の有形文化財になっている年代物の
木造無人駅舎で佇んでしまいました。
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