こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

春ららら♪

2016年03月31日 01時16分59秒 | 文芸
春が来れば思い出す。

子供の幼稚園送迎で

味わった自然の

あったかさと豊かさを。

 幼稚園まで歩いて、

およそ四十五分。

夏は暑く、

冬場は寒さに

震えながらだが、

それが

春は打って変わって

心地よい通園となる。

 時間のゆとりがある

帰り道は、

農道や畔に咲き誇る

タンポポやレンゲが、

子供の足を

何度も止めさせた。

一緒になって

花を摘んだり、

草花のじゅうたんに

寝転がった。

生活で積み重なった

煩わしさを

忘れさせてくれた。

 黄や白の蝶々が

ひらひらと舞うのに、

子供が歓声を挙げる。

「おとうさん、

チョウチョ、

チョウチョだよ」

むきになって

父親に伝えようとする

子供の無垢な顔。

その愛くるしさに、

私のこころは

自然に和んだ。

 今年も

春はやって来た。

でも、

ともに春を喜び

遊んだ子供らは

巣立って

身近にいない。

妻も

忙しくしている。

それでも、

陽気に誘われ、

農道を歩いた。

ふと気づいた。

草花やチョウチョの舞う

光景が

昔話に

なっているのを。
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加西よいとこ・地蔵と古墳

2016年03月30日 01時10分41秒 | 文芸
加西ロマンの里ウォーキングの

続きだよ。

最初のポイントは

両月町の地蔵尊だ。

あっと、加西って、

地元に長く住んでいるのに、

いまだに読み方の分からない

地名が多いのだ。

両月はわちむらと読む。

両月町になるとわちちょうと

なるんだってさ。

そこにあるのが、

享保18年(1733年)、

念仏講中により建立された

石室に納められた地蔵尊だ。

屋根と柱が長石、

側面と前面の梁が木製という

興味ある構造になっている。

右手に地蔵立像と座像

中央に地蔵立像の配置も

ちょっとアンバランスかな。

地蔵の手が持つのは

開花蓮華らしきもの。

あたりの雑然とした中に

歴史の風情を醸し出している。

スタートから15分、

田園風景の中に

むき出しになった巨石が

バランスよく組み重ねられている。

古墳時代後期の

横穴式古墳で全長約9M。

巨大な天井石」など

保存状態はいいが、

墳丘土が取り除けられて

石室のほとんどが露呈している。

別名加西の石舞台のゆえんである。

オオサンショウオにも見える

古墳がかなり多くある加西でも

貴重な古墳である。

なんか

きょうは超マジメになっているなあ。

自分でも驚いてしまう。

歴史に向き合うと、

こうなるもんなんでしょうかね?
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30年目

2016年03月29日 00時38分16秒 | 文芸
新婚生活は

妻との二人三脚で

スタートするはずだった。

それまで何をするのも、

すべて一人。

自分の思い通りに

生きてきたが、

二人一緒になれば

そうは問屋が卸さなくなる。

 相手を思いやり、

相手から思いやられる生活は、

夢に描き続けたものなのに、

やはり戸惑いが先行した。

好きなように生きて来た

甘えん坊が

迎えるべくして

迎えた試練だった。

 スタートで

つまずかないように、

下準備は万全を期した。

新居の確保は最優先で、

物件の下見を重ねた。

決める時は妻と一緒に。

二人の納得は

絶対条件だった。

 新婚旅行から帰ったのは、

その新居。

二人の

新たな人生の始まりだった。

「これから、

ここが我が家になるんだ」

 妻の思いがこもった言葉は、

わたしの思いを共有していた。

(家族のために頑張るぞ!)

 妻のお腹に

新しい命が宿っていた。

二人三脚以上の覚悟を

新たにしたのだ。

 幸せな三十年目。

ゴールはまだ先にある
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イクジィのハッピータイム

2016年03月28日 01時20分58秒 | 文芸
初孫をイクジィに託して

娘は母親と久しぶりに買い物に。

責任重大と気を張って

イクジィは

赤ん坊に添い寝からスタート!

目を覚ましたら、

まず哺乳瓶で授乳かな

いやいやおしめ替えだな

てな感じで

妙にワクワクしている自分が

おかしくてたまらない。

いつもなら

目がパッチリで

なんやかやとぐずるのに

きょうはいい子ちゃんだ。

優しい子だ

さすが娘の子。

そう思ったとたん、

「アア、アア、アー……」

慌てて最初にやったのは

抱っこである。

「どうちゅたの?〇〇ちゃん。

おじいちゃんでちゅよ」

娘や妻の目があるときは

口にしない赤ちゃん対応言葉を連発。

心中まるまる幸せに支配されてしまう。

「ちゅっと待っちぇちぇてね」と

寝かして

「アバババ」と

あやしておいて

赤ちゃんを唖然とさせておいて

粉ミルクの用意に立ち上がる。

専用さじで摺り切り4杯、

ポットから湯を80CC加える。

ぬるめるのに

ペットボトルの水を足す。

(赤ちゃん専用の水って、高いんだろうな……)

昔人間は

余計な心配をしてしまう。

娘から見れば

笑止千万だろうな。

赤ちゃんのところに取って返すと

手足をもぞもぞと動かしている

可愛いゴキブリだな

まるで。

赤ちゃんの一挙手一投足に

顔は綻びっぱなしのイクjィだ。

抱き上げると

思い出したようにぐずり出した。

「はい。お待たちぇちゅまちゅた」

哺乳瓶の乳首(?)をふくませると

がぜん赤ちゃんは勢いを増した。

チュチュチュ、チュチュ!

またまた幸せがイクジィを包む。



時計をチラッと見ると、

もう昼が過ぎて1時半。

いくらなんでも

3時までには娘らも帰ってくるだろう。

残る1時間ちょっと

赤ちゃんとの

ハッピーコミニュケーションと行こう!



げっぷをさせるのも

もう手慣れたものだ。

おしめも確かめ

まだ大丈夫。

さあ

また一緒に

「おねんねちゅまちょうね」



ところが、

このあと一大事が待っていたのだ!


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ゴクリ

2016年03月27日 01時47分39秒 | 文芸
スーパーの

食品売り場を歩いていると、

「いかがですか?

無調整の……!」

牛乳の試飲コーナーが出ていた。

若い女性スタッフが、

少しづつ小分けしたのを

通りかかる客に勧めている。

愛そう笑いにしては

魅力的な笑顔だ。

「ひとつもらいます」

「はい。どうぞ試してください。

北海道の……!」

彼女のセルフトークは

耳障りが良くて

逆によくわからない。

ひと口、ゴクリっと。

{ん?」

よく違いが判らない。

無調整も調整も無脂肪も

値段の違いは歴然だが、

その違いは全く分からない。

「いかがですか?」

「うん。おいしいね」

優しいとこう受け答えしてしまう。

さらに言わずでもがなな

「でも値段高いよね」

「はい」

「ぼく、年金生活だから、

やっぱり安いので我慢するわ」

彼女は噴出した。

嫌みのない

素敵な笑顔だった。

「またお願いします」

「ああ。頑張ってね」




つかの間の交流だ。

それが

最近は楽しい。

癒されるってこういうことなんだ




人間ひとりじゃ生きられないっていうけど

本当は一人の方が生きやすいんだよな。




でも

用もないのに

スーパーに足が向いてしまうのは

笑っちゃうけど

人恋しいんだろうな。
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娘の場合

2016年03月26日 00時04分18秒 | 文芸
「保育園落ちた、

日本死ね」

 仕事を持った母親の、

この切実な叫び、

なんと

他人ごとではなかった。

 今年に入って

出産した娘が

同じ立場だった。

 孫を連れての里帰りの日、

娘に頼まれたのは、

保育園の情報集め。

住まい地はもちろん、

仕事場がある町の

保育園事情も、

詳しく知りたいという。

保育園待機児童問題が、

娘に

焦燥感を与えているのは

確かだ。

 十年以上も

頑張って来た仕事を

継続するためには、

保育園を頼るしかない。

娘は現在産休中だが、

仕事に復帰するためには

不可欠だ。

 私が住む田舎と違い、

娘が嫁いだ町は、

多くの母親が

保育園入園待機を

余儀なくされているらしい。

赤ん坊を授かったばかりで

焦って行動するのも

無理からぬ話だ。

 選挙を控え、

与野党とも

待機児童問題を声高に

取り上げ始めたが、

根本的な解決には

至りそうもない。

先送り出来ない問題だと

しっかり見据え、

施策の迅速な実行を

望みたい。
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加西よいとこ

2016年03月25日 00時41分26秒 | 文芸
20日(日)。

なんと!

35キロ近く歩いてしまった。

あと8キロ程度で

マラソンの距離なのだ。

かかった時間5時間40分。

消費カロリー1980キロカロリー!

脂肪燃焼142g。

歩数が45836歩!

すべてが、

生まれて初めての

快挙(?)をクリアしたのだ。




第13回加西ロマンの里ウォーキング

がスタートするのは朝9時半。

朝少し寝坊してしまった。

これも珍しい。

子供と同じで、

明日に遠足やイベントが控えていると、

何時間も前に目が

覚めてしまっていたのに。

とにもかくにも

焦りに焦った。

最寄りの北条町駅まで

妻の車で送ってもらった。

「もう!わたしも忙しいのよ!」

おかんむりの妻だが、

遅れては無駄足を踏んでしまう。




集合場所はぜんぼうグリーンパーク。

北条鉄道を使えば楽だが、

歩くことにした。

1時間かけて北条鉄道沿線を歩いた。

北条町駅から播磨横田駅。

続いて長駅へ。

さらに播磨下里駅目指して、

歩け歩けと

自分を鼓舞しながらの道中となった。

受付の時間になんとか間に合った!

かなりの人出だ。

駐車場は満杯に近い。

主催の加西市体育協会のスタッフが

さばいている。

近頃では珍しい参加者の数だ。

後で聞いたら、

300人!

田舎町加西市の

ウォーキングイベントでは

破格だ。

これだけいりゃ楽しめるぞ!

俄然、

気分が高揚する。

かなりの飲み物と

おにぎりを詰めて重くなった

リュックが

天使の羽のように軽い!




少彦名命(スクナヒコノミコト)コース18キロに

エントリー済みだ。

寺あり城跡あり古墳に神社、

お稲荷さん、地蔵尊……

歴史に彩られた道行だ。

期待で胸が膨らみ、

ワクワクドキドキしっぱなし。

さあ、出発だ!
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こんにちわ赤ちゃん・完結

2016年03月24日 00時18分25秒 | 文芸
「どないした?」

「泣いて

寝やへんねん」

「夜泣きか。

よっしゃ、

おとうさんが抱っこして相手しとるさかい、

少し寝んかいな。

いつも、

こんな調子やろ。

そら眠たいわ」

「うん、

そやで。

ほなら、

お願いできる?」

 よほど眠いのだ。

娘は赤ん坊を託して

そそくさと寝室へ去った。

信頼してくれている。

父親冥利に尽きる瞬間だった。

「……か~ら~す~、

なぜなくの~~♪

からすは、

や~ま~に~♪」

 揺りかごの代わりを

務めながら、

童謡を歌う。

十八番にしている子守歌だ。

というより、

ほかに歌える子守歌は

レパートリにない。

「七つの子」は、

二十年以上前に育てた

四人のわが子らに歌ってやった

子守歌なのだ。

 深夜に

子守歌は流れ続けた。

「ほな帰るね。

また来るよって」

「ああ。

待ってる」

「無理せんでええからな。

向こうの家の方を

大事にせなあかんやろ」

 また余計な口出しだ。

せっかく、

いい雰囲気で

父と娘の間に、

いいコミニュケーションが

図れてるというのに。

「ねえ、

あなた、

そやろ?」

 いきなり

こっちに振ってくる。

「ああ。

そらそうや」

 違うといえるはずはない。

しかも表情は、

娘が

変だと悟らぬように、

柔和さで繕う。

「それじゃ、

お世話になりました」

婿が生真面目に

頭を下げた。

慌てて

こちらも頭を下げる。

妻と娘が笑った。

明るく、

楽しくはしゃいでいる。

つられて

気持ちが和らいだ。

「また来いや。

うまいもん食わしたるさかい」

「うん!」

 娘の家族を乗せた車が

家を離れた。

 見送りながら、

赤ん坊を抱えて

幸せに包まれた、

あの日が

またしても

頭の中を駆け巡る。
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こんにちわ赤ちゃん・その4

2016年03月23日 00時20分14秒 | 文芸
茶碗蒸しと、

鮭のムニエル、

ほうれん草のお浸し……

少し太めの娘には

脂っこい洋食よりも

和食がおすすめだ。

それに和食の惣菜を

好んで食べる、

いい子だった。

 夜九時。

帰宅した妻と

二十年ぶりの

コンビを結成し、

赤ん坊を風呂に入れる。

湯船につかり

湯加減をみるのは、

昔も今も

私の役目だ。

「もう

用意はいいのん?」

 妻はせっかちだ。

こちらの都合を訊きながら、

もう裸にした赤ちゃんを

タオルにくるんで、

「さあ、

どうだ!」

と迫る。

「ああ、

ええで」

 やはり逆らえない。

三十数年、

そうやって

結婚生活はうまくいった。

婦唱夫随は健在だ。

 赤ん坊の後頭部を

親指と小指で

はさんで支える。

右手に持った

ガーゼのタオルで洗う。

忘れたようで

体はちゃんと

覚えているものだ。

顔、

頭と来て、

首筋に脇、

股間から

お尻を丁寧に洗う。

 思わず笑った。

思い出したのだ。

お尻を洗ったら、

ドバーっと

ウンチをやられた

記憶は鮮明だ。

娘が二回、

息子も数回、

風呂にウンチを

ぷかぷかと

浮かべたものだ。

洗い終わると、

指で頭を支えたまま、

湯面を泳がせる。

赤ん坊は目を閉じて

気持ちよく

湯に身をまかせている。

安らかな表情に

しばし見惚れた。

やはり天使だ。

(……初孫だ、

俺の。

そやけど、

おじいちゃん、

うまくやれるやろか……?)

 ゆとりがもたらす悩みだ。

しかし

昔の経験がものをいう。

慣れるのは

初心者より早い。

 ガラッと

浴室の引き戸が開いた。

「いつまで、

何しとんのん?

程らいのとこで、

呼んでくれなあかんわ。

こっちは忙しいんやで。

すること

なんぼでもあるんやさかい」

 妻の毒舌と、に

やけた表情が一致しない。

さほど怒っていない証拠だ。

とにかく赤ん坊を、

風呂から

取り上げて貰えればいい。。

 深夜。

リビングで

テレビを楽しんでいると、

娘が顔を覗かせた。

胸に赤ん坊を抱えている
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こんにちわ赤ちゃん・その3

2016年03月22日 00時12分09秒 | 文芸
「おとうさん」

「うん?」

 思いに耽って

いたらしい。

ハッと正気に戻ると、

娘の笑顔に気づいた。

娘の視線を追うと、

ベビーベッドで

スヤスタ眠る赤ん坊に

たどり着いた。

「よう寝とるのう」

「いまのところ、

順調に育ってるよ」

「そうかそうか」

 母性を隠せない娘に、

自然と顔が緩む。

 長女である。

妻と

結婚に踏み切れたのは、

彼女の存在が

あったからに他ならない。

短大卒業の後、

保母の仕事に

無我夢中だった妻と、

自分の喫茶店をオープンで、

てんてこ舞いの私。

十三も年の差があり、

すぐ結婚する気もなく、

ずるずると

交際を続けていた。

「できちゃった」

 妻に告白されたとき、

私の心は決まった。

(父親になるんだ!)

 三か月で

結婚式を実現させた。

娘を授からなければ、

結婚に至らなかったかも知れない。

 急遽出かけた新婚旅行も、

妻のお腹に娘はいた。

記念すべき

親子三人の初旅となった。

「おなか空いちゃった」

「そうか。

すぐ何か作っちゃる」

 赤ん坊が眠っていれば、

目の前にいるのは愛娘だ。

ちいさいころから、

よくお腹を空かせては、

食べるものを

作れとせがんだ。

その希望を

叶えてやるために、

次々と

レシピをひねり出した。

さて、

今日は何を作ってやろうか。

楽しい作業になる。

 振り返ると、

娘は寝入る赤ん坊を

優しく見つめたままだ。

やはり

母親を懸命にこなしている。

その姿がいじらしい。

 娘は

多難の幼少期を送っている。

生後間もなく発症した難病で

長期の入院を余儀なくされた。

ハイハイをし始めたころは、

仕事の邪魔になるので、

実家のおばあちゃんに預けた。

夫婦揃って

喫茶店を

切り盛りしていては、

とても身動きは取れない。

その犠牲を

娘に強いてしまった。
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