日本の魂もつアヤコに共感
プロゴルファーの岡本綾子選手のインタビューをテレビで拝見した。明確な会話が、実績に似合ったたくましさを感じさせる。30代で頭の半分が既に白髪だとの秘話。メジャーゲームの初優勝を逃した瞬間に覚えた動揺。腰痛に苦しみ抜いた時期の苦悩。ちょっぴり照れ臭そうにしゃべる姿はとても身近に感じた。
「米国籍に変えられたほうが、もっと飛躍出来るのでは?」の問いに、さして恰好をつけるでもなくサラリと、「親がいる間は一緒にいたい。でも、日本には大半いない現状だから、せめて名前だけでも、戸籍の中で親の隣に置いときたいんですよ」。
ほほえみながら語る彼女に、思わず膝を正した。米国を本拠地にする彼女に、最近忘れられつつある日本人の大事なものを教えられた気がしたのである。
親と別居が前提の結婚。親がボケたり、寝たきりになると専門施設にまかせて知らぬ顔。そんな風潮の昨今を見るにつけ、「よくぞ言ってくれた!」である。
翌夕、「岡本さん、総理大臣顕彰」の記事を見つけ、快哉(かいさい)を叫ぶ。あれだけの実績を積み上げ、その上、より日本的な心を持ち続ける彼女に、絶大なる賛辞を送りたい。
(朝日・1987・12・6掲載)
プロゴルファーの岡本綾子選手のインタビューをテレビで拝見した。明確な会話が、実績に似合ったたくましさを感じさせる。30代で頭の半分が既に白髪だとの秘話。メジャーゲームの初優勝を逃した瞬間に覚えた動揺。腰痛に苦しみ抜いた時期の苦悩。ちょっぴり照れ臭そうにしゃべる姿はとても身近に感じた。
「米国籍に変えられたほうが、もっと飛躍出来るのでは?」の問いに、さして恰好をつけるでもなくサラリと、「親がいる間は一緒にいたい。でも、日本には大半いない現状だから、せめて名前だけでも、戸籍の中で親の隣に置いときたいんですよ」。
ほほえみながら語る彼女に、思わず膝を正した。米国を本拠地にする彼女に、最近忘れられつつある日本人の大事なものを教えられた気がしたのである。
親と別居が前提の結婚。親がボケたり、寝たきりになると専門施設にまかせて知らぬ顔。そんな風潮の昨今を見るにつけ、「よくぞ言ってくれた!」である。
翌夕、「岡本さん、総理大臣顕彰」の記事を見つけ、快哉(かいさい)を叫ぶ。あれだけの実績を積み上げ、その上、より日本的な心を持ち続ける彼女に、絶大なる賛辞を送りたい。
(朝日・1987・12・6掲載)