常念が見える部屋から

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三城牧場の思い出

2011年07月27日 | 季節の便り

 ホタルブクロ

 

山小屋に続く雑木林には数本の白樺が樹皮を光らせていた、青草の上に白樺の丸太を使った手作りのベンチがあって腰を下ろすと木陰を渡る風が何とも心地よかった。

美ヶ原高原の麓に広がる三城牧場キャンプは、小中学校の夏の楽しい行事であった。

牧場には牛や馬が遊び、ある時は農耕馬が地響きを立てて群れて走った。

牧場の丘の上に立つ瀟洒な二階建てをホテルと呼んだ。

その頃松本の街にもホテルと呼ばれる宿舎はなかったように思う。

そのホテルから谷を隔てた林の中に山小屋風な「アランの家」があった。

この家は、アランこと赤羽さんの全て手作りと聞いていた。

洒落たチョッキと派手な幅広ベルト、粋なカウボーイハットを格好良く頭に乗せた伊達男はこの牧場の管理人だったように思う。

悪童たちは宿舎のホテルを抜けだしてアランの庭に忍び込んだ、アランはドラム缶の風呂に入っていた。

見つかって、頭から湯をかけられて、逃げる帰る野道に、うす紫のホタルブクロが咲いていた。

 

コメント
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