夏の日没
田植えしてから2ヵ月の間に雑草を除去する「田の草取り」を4回行う。
水田に四這いになって稲の株間の雑草を取り除く。
炎天下の過酷な農作業である、夏休みになると当たり前のように田の草取りに駆り出された。
1番草取りに始まって、8月初旬の4番草が最後となる
生温かい泥土を、手の爪がすり減るまでかき混ぜて1日が終わる。
大人は2時間の昼休みを、茅葺屋根の風通しの良い大部屋で午睡し、子供達は大川で水遊びに興じた。
4番草のころになると稲の丈が伸びて、鋭い葉先が四つ這いの顔面を襲う。
帽子のひさしに網を下げて目を護った。
腰の痛みに耐えかねて途中で背を伸ばすと、後ろの親父がいう「まだ案山子は、いらないぞ」
日暮れが待ち遠しかった。