早起きして栗を拾いに出かけた
台風接近の影響なのだろう、暖かい風が吹いて、常念はいつもの表情と違う。
年齢不詳の大きな栗の木があって、雑木や真竹の林の上にぬきんでた梢に、緑の毬栗がたわわについていた。
里の秋が進むと、緑のイガが少しずつ黄ばんでくる。
やがてくす玉のようにポックリと割れて、つやつやした栗色の実を落とす。
栗色のマルーンは栗(マロン)栃(マロニエ)を語源とするようだ、
梢のイガを離れた栗は、サラサラと葉を鳴らしてボトンと落ちる。
「お背戸に木の実の落ちる夜は」童謡里の秋に歌われる木の実は栗の実だろうと思う。
拾い集めた栗
栗は硬い外皮をき、渋皮をきれいに除かないと食べられない。
それが料理人に嫌われる。だから余りたくさん持ち帰るのは考えものだ。
2合の米に、10個の栗を二つに割って入れ、軽い塩味だけで炊き上げる。
これが秋の里で食べる本当の栗ご飯である。
しかし 「懐かしさ」という味を知らない人たちにまで、好まれるわけでもない。