HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

暗譜、時々楽譜を確認してね。

2020年09月18日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

Mちゃん(高1):

「悲愴」ソナタの第3楽章、「なんとか最後まで行けました」とレッスンに来ました。学校も忙しいのに感心です。

ここ何回かは 一番最後のエピソードから後をレッスンすることが多かったので、今日は久しぶりに初めから弾いてもらうことにしました。

「えっとー」Mちゃんは譜面台に楽譜を広げていきます。

「ここは…いい…こことここも…いいかな…」とページをめくっていき、

「ここから。」と、最後の2ページだけが見えるようにして楽譜を広げました。

「へ〜、もうこっちの方は覚えたんだ!?」

「あ、はい…一応…」

すごいね。よく練習してるんだ

さっそく弾いてもらいます。

テーマの部分、なるほど良くこなれてきて、手の動きもなめらかになってる。

最初の頃すっごく苦労したコラール風の部分、そしてその後に続く右手・左手の素早い掛け合いの部分も、ためらわず堂々と弾いていて、よく練習したんだなあ、と思いました。

さすがに、終盤部分は譜面を確かめながらゆっくり、となりましたが、この調子なら、本番までには余裕で仕上がりそうです。

だがしかし… ん?まてよ?

暗譜で弾いている前半部分に、ちらほらと違う音が混じってたんだよ。

「もう一度、最初から弾いてみてね。所々に『アレ?』の所があったよ」

じゃ、もう一度初めからね。

「待って!ここ、違うよ」「ここ!」「ここも!」

今度はその都度止めて、間違った所にチェック。最初のうちは赤エンピツで、そのうちポストイットで。

「初めはちゃんと弾けてたはずだけど、暗譜して何度も弾いてるうちに、独自のアレンジが加わってきたね?ww」

「私、全部独自かも(^_^;)」

いい演奏するために、暗譜は欠かせません。

暗譜すると、ピアノの音色がガラッと変わってきます。

誰かが書いた楽譜を読みながら弾いている音ではなく、まるで自分の心の底から湧き出てきた音のようになるのです。

でも、繰り返し弾いているうちに手が慣れて、楽譜を見なくていい状態になったのは、本当の暗譜ではありません。

楽譜をよーく見て、その奥底に息づいているメッセージを読み取り、自分の言葉(音)で表現してこその暗譜なのです。

曲を弾いていて「暗譜した」と思っても、時々楽譜を見直して「独自のアレンジ」をしていないか、確かめるようにしましょう。

「アレンジ」が固定してしまうと、なかなか直らなくなって後で大変なのでね…

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ドクターは練習が上手♪

2020年09月13日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス
ドクター(大人):
発表会のために練習している「悲愴・第二楽章」がほぼ出来上がってきて余裕ができたので、発表会とは別にもう1曲、同じベートーヴェンの「月光」第一楽章も並行して練習を楽しんでいます。
発表会前3ヶ月でこの余裕。
毎年、ドクターは余裕をもって曲を仕上げてる。
このゆとりの秘訣は何でしょう。
ドクターに「毎日、かかさず練習してるんですか?」と聞いてみました。
毎日弾くそうです。
「毎日弾くんだけど、うまくいかないとやめちゃう」
とドクターは笑っていました。
深刻にならず、軽い気持ちで、少しだけでも毎日弾いてみる、というのが良いスタンスを保っているんだと思います。
私もドクターの姿勢に同感です。
それともう一つ、ドクターが実践しているコツを、私は知ってます。
それは「難しい所から克服していく」ということです。
去年の発表会でドクターが弾いたショパンの「ノクターン8番・変ニ長調」には、途中でものすごく難しい、だけど夢のように美しい連符の連なりが出てきて、そこが「ノクターン8番」の見せ場とも言えるのですが、ドクターはその部分をほかに先駆けて練習していました。
また、ヒバリ教室のメンバーになる前には、独習でショパンのノクターン20番(映画「戦場のピアニスト」で有名になった曲)を完成して弾いてくれたこともありました。
その時も「一番最後の連符の所が弾けそうかどうかまず練習してみて、それが出来そうな見通しがついてから曲全体をやることにしました」と言ってた記憶があります。
「一番最後の連符」って、三連符や5連符どころじゃない、なんと35連符です。
この難関が、曲の一番終わりに出てくるのです。
真っ正直に初めから順々に練習していたら、どうでしょう。
一番難しくて、一番たくさんの練習が必要な所が、一番練習時間が少ない、ということになりますよね。
先日も書きましたが、曲の中で難しい部分や、絶対キメ!としたい部分は、特別枠として早いうちから、しかもたっぷり練習するのが賢いやり方です。
まずフィニッシュをマスターしよう
ドクターの余裕の秘密は、上手な練習の仕方もその大きな一因だったんですね!

ラプソディ・イン・ブルー 和音はまず外枠から

2020年09月12日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

Sちゃん(高2)

Nちゃん(高1)に合流して「シング・シング・シング」を練習した後、自分の持ち曲「ラプソディ・イン・ブルー」のレッスンをしました。

クラシカルでダイナミックなオーケストラサウンドが好きなSちゃんにぴったりな曲だと思って選びました。

「ラプソディ・イン・ブルー」のオリジナル曲は、ピアノとオーケストラが一体となって弾く協奏曲スタイルの曲で、全部演奏すると20分ぐらいかかる大曲です。

今回は、ヒバリ先生がダイジェストアレンジして短くしたものを使っていますが、それでも重厚なオーケストラのイメージを損ねないように、分厚い和音満載となっています。

これを弾きこなすのはかなりキツい。

だけどSちゃんならやれるよ。

そう思って、アレンジも手加減せず、和音たっぷり投入しています。

先日、Mちゃん(高1)のベートーヴェンレッスンでも言った「複雑な和音は、まず外枠から」のアドバイスをSちゃんにもしておいたので、新しい部分に入る時などは「最初はオクターブだけでメロディー弾いてきました」と上手に練習していました。

最初は、画像の青のラインの音だけで弾いていきます。

オクターブでメロディーの動きに慣れ、そのあと 間の音を埋めながら和音を完成していきます。

そうすると、ひとつひとつ音を探して和音を掴むより、早く楽に楽譜を再現することができるのです。

こうして、着実に楽譜をクリアしながら少しずつ練習してきた「ラプソディ・イン・ブルー」。

この間ついに最後のページまで楽譜を渡し、登頂()が見えてきました。

楽しみだ。

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まずフィニッシュをマスターしよう

2020年09月11日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

Mちゃん(高1)

9月になって、大分日没も早まり、日が暮れて来てからのレッスンです。

先ほど、Rちゃん(小4)の伴奏(WAになって踊ろう)のキーボード伴奏を頼んだので、楽譜を渡しました。

「来週まで、見ておいて?」

「はぁーい、りょーかいでーす」

頼りになる先輩だ。

さて、Mちゃん本人の持ち曲は、ベートーヴェン作曲のソナタ「悲愴」の第三楽章です。

春に曲が決まってから、ロンドのテーマ(A)、エピソード1、エピソード2、と少しずつやってきました。

まだ、エピソード部分が少しだけありますが、今日は、楽曲の中で最も強い印象を残す(であろう)フィニッシュ部分を集中してレッスンしてみました。

「最初っから順々にやってくとさ、フィニッシュの所が、一番遅く着手することになるでしょ?練習時間も一番短いってことになって、一番自信ないとこってことになって、そしたら、本番でフィニッシュが近づくにつれて不安が増すってことになるじゃない?」

「た、確かに」

「だから、先にフィニッシュを練習しちゃうの。途中、危ないとこがあっても、『後は最後の自信ある所を残すだけだ!』と思ったら安心できるでしょ?」

「そっかー」

ということで、最後のフォルテシモ幕切れ部分その前のピアニシモその前のピアノ、の順に、フィニッシュが自信持って弾けるように練習しました。

学校や部活で時間がなくても、こうやってピンポイントでの練習なら、短時間集中でマスター目指すこともできます。

それともうひとつ、Mちゃんが「なかなか音が素早くつかめない」と苦労していた、フル和音の連続(画像参照)は、無理して一つ一つ音を探して掴むのではなく、とりあえずオクターブ音だけで弾いておいて、とアドバイスしました。

まずは外枠。この部分だったらド、ド、シ、ド〜 (左手はラ♭、ソ、ソ、)とオクターブだけで弾いておく。

そうすればメロディー的に覚えられるし、手のポジションも簡単に身につけられます。

そこまで出来たら、あとは中身の音を埋めるだけです。

時間の少ない学生や社会人の皆さん、知恵を絞って、憧れの大曲を攻略していきましょう。

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上手だから、何度も練習するよ

2020年09月09日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

上の、タイトルの言葉。

「なんか変じゃないの?」と思われますでしょうか。

「下手だから」練習するんじゃないの? 「上手だから」練習って、タイプミスじゃない?

いいえ、間違いじゃありません。

上手に弾ける曲( 部分 )は、楽しいから何度でも弾く。

結果、もっと上手になる。

逆に、まだ下手な曲( 部分 )は、弾きたくない。(弾き方がわからない。)

だから、いつまでもうまくならない。

年齢が低ければ低いほど、こういう傾向があります。

私のブログにも、何度となく そのエピソードが登場しています。

例)

ドレミの歌 ぜんぶ一人で

私自身、「ピアノのおけいこ」に通っていた子どもの頃は、先生の課題はほとんどやらず、勝手に自分の好きな曲ばっかり弾いて遊んでいたので、「練習しない子ども」の気持ちはよく覚えています。…っていうか、大人になった今だって、新曲を地道に練習してる最中に ふと気晴らしに(1曲だけ…)と他の曲や即興とか弾いたら、すっかり楽しくなって次から次へと弾き続け、あっという間に1時間ぐらい経ってしまって「ハッ!また遊んでしまった…」と気がつく、なんてことはよくあります。

そう、みんな、上手なのは楽しいのよ!

上手な楽しい曲を弾くのはいいことだ。

どんどん弾きましょう。

そしたら、ますます上手になりますよ。

ママやパパも、「上手になったのはもういいから、下手なのを練習しなさい」なんてヤボなことを言わず、「上手だねー」と、楽しい気持ちを分かち合ってください。

楽しい気持ちは連鎖して、みんなが楽しいです。

小さいお子さんや入門レベルくらいなら、こんな感じでも充分上達していけると思います。

弾けない曲や難しい所を、練習したり努力したりして克服していくというのは、また別の、大変知的で大人な作業で、これはこれでまた大きな楽しみですし、そこまで行けば、ピアノの本当の楽しさがわかってきます。

しかし、一人でこういう練習ができるようになるまでには、個人差があります。

それまでは、レッスンで8割方弾けるくらいまでに指導し、残りの2割、具体的には「仕上げの反復練習の部分」をおうちでやってくる、という感じで進めています。

なので、お家では

1. 子どもが弾く。(80パーセントの出来)

2. →「上手だね〜」と褒める。

3. →子どもが自信を持って何度も弾く。

4. →   2.と3.を何度もくりかえす。

5. →100パーセントの出来になる。 

以上が正しい対応となりますので、よろしくお願いします。

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練習は、小さな達成感の積み重ね

2020年09月05日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

練習熱心なTさんに「あんまりいっぱい練習しないでね」と言ったことを、先のブログに書きました。

それは「無理な動作や姿勢を長時間繰り返すと弊害が起こる恐れがあるよ」という意味なので、真面目で努力家の生徒さんだからこその忠告です。

一生懸命努力したために、かえって手や身体を損なってしまったら残念すぎます。くれぐれも気をつけてください。

「長時間、無理に繰り返さないでね」ということと、もう一つ、努力家さんへの忠告。

それは「毎回、最初から最後まで弾かないでね」ということです。

もちろん、完成したレパートリーや、本番前の仕上げ練習の時は、最初から最後まで通しで弾くんですが、まだ練習し始めて譜読み段階とか、最後まで一通りたどり着いた、ぐらいの段階の時のこととして聞いてください。

今の時代、子どもも大人も忙しい。

なかなかまとまった練習時間が取れない人がほとんどだと思います。

例えば、ピアノの練習に充てる時間が30分間あったとします。

今やっている曲を初めからつっかえつっかえ弾き始め…音符を数えたり、拍を数えたりしながら…ようやく最後までたどり着いたら、大曲ならそれだけで30 分近くかかってしまうかもしれません。

しかも、どっこも上手にはなっていないんです。

翌日もまた、始めから終わりまでたどたどしく弾いて、時間が経ってしまいました。

出来ばえは相変わらず昨日と同じです。

このように弾いていては、毎日「今日も下手だった」と思うだけです。

「30分しか練習しなかったから、1回しか弾けなかった」という罪悪感まで感じてしまうかもしれません。

そうじゃなく、練習する分量をしぼって。

30分なら30分で上手になれる!というだけの分量を決めて、そこだけを集中して練習するのです。

どのくらいの分量なら可能か、というのは、あなたのレベルや、今やっている曲の難しさなどによって違うので、適切な箇所、適切な分量を見きわめましょう。

弾くのは、必ずしも始めから区切っていく必要はありません。

今この時間でやれる所、とか、一番苦手な所だけ、でもいいし、逆に一番好きな所をまず弾けるようにしたい、とかでもいいんですよ。

さて、30分間練習して、目標の分量が…2小節でも1小節でも…完成出来ました。

やったー。上手になった。

今日の目標が達成できた。

…となりますよね?!

翌日は、15分しか時間がありませんでした。

だから、一番ラストの、ジャン!と決める和音だけを、確実に弾けるように練習しました。

やったー。上手になった。

今日の目標が達成できた。

ね? これなら、毎日「上手になった」という達成感でピアノの蓋を閉めることができるんですよ。

しかも着実に、「完成した部分」が増えていくのです。

つまずきながら全体を弾いて「今日も下手だった。練習出来なかった」という敗北感と罪悪感で練習を終えるのと、どっちがいいですか。

毎日、毎回、小さな達成感を積み重ねて、小さな完成部分が増えていって、そうやって、長い大曲だって出来上がっていくのです。

千里の道も一歩から。

そうして地道な練習を続けつつ、たまには曲全体を弾いて、曲の雰囲気や流れを楽しみましょう。

その時は、ちょっぴりずつ完成させたパーツパーツが、なめらかに&心地よく歌ってくれますよ!

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「悲愴」のトレモロの弾き方は

2020年09月05日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

Tさん(大人・男性)

ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」の第一楽章を練習しています。

ドラマチックで悲壮感あふれる冒頭、それはロマン派好みのTさんにぴったり♪

そこはなんの問題もなく、ヒバリ先生も安心してお任せしていられるのですが、それに続く本篇部分、特に左手のトレモロ連続で苦労しています。

この「悲愴のトレモロ」は、ピアノレッスンでも「苦労するトレモロ」として必ずと言っていいほど例に挙げられる、代表的な「難関トレモロ」なのです。

トレモロの弾き方のコツは

1. 脱力して

2. 回転運動を続ける

これに尽きます。

そのイメージを身近な物に例えると、「電球をキュッキュッと回してソケットにはめ込む」とか、「広口ビンの蓋を高速でねじって閉める(開ける)」の感じです。

それをイメージしながら手首を高速回転させると、それにつれて前腕〜上腕も回転してるのが分かるかと思います。そして、イメージ上の電球やビンのフタサイズをだんだん大きくし、もっと手を広げて鍵盤に置き換えたのが、オクターブのトレモロの感覚に近いかと思います。やってみて。とTさんにお伝えしました。

みなさんも試してみてね。

あと、Tさんにもう一つ言いたいことは、

「あまりいっぱい練習しないでね」ということ!

ヒバリ先生が生徒だった頃には、間違っても言われたことのない言葉ですが、Tさんは怠け者のヒバリとは違って、とっても真面目な優等生の生徒なのです。

放っておくと何時間でもトレモロを練習してしまって、かえって手を傷めてしまったり、時間をかけた割には効果が上がらなかったり、の恐れも出てくるのです。

みんなも、根を詰めて同じ動作を繰り返し練習しないこと、そして違和感や痛みを感じた時は一旦休止して、再度フォームや動きを見直すようにしましょう。

その方が効果も上がり、手のためにも安心だから。

 


つまずく部分は 取り出して。

2020年02月25日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

K子さん(大人)

ブルクミュラーの「アヴェ・マリア」暗譜で仕上げです。

以前から「苦手」と言っている「アヴェ・マリア」、慎重に音を選んでいき、ほとんど暗譜できているんですが、途中あいまいな箇所があり、そのため演奏が滞ってしまいます。

ここさえ迷わず弾ければ完成なのに惜しい。

そこで、その部分を他の場所と同じように弾けるように強化することに。

まず、その部分だけ取り出します。カチャッ

そう、ちょうど機械とか道具とかを修理するのと同じように。

本体はちょっと待っててもらい、悪い部品だけ取り出してテーブルの上に持ってきます。(って、比喩だからね。)

取り出した部分を修理します。(くり返し反復練習し、流れや手の動きを叩き込むってこと)

よしっ、これでOK、直った、となったら、もとの場所に戻します。カチャッ

さあ、本体のスイッチ入れたら、なめらかにつながるでしょうか。

曲を練習していて、いつも同じところに来るとつまずくこんなときには、その部分だけ取り出して集中練習するのが効果的です。

ポイントは、

  1. 最初から通してばかり弾かない。それだと、弾ける所はどんどん上手くなるけど、弾けない所はいつまでたっても上手くならず、差が開くばかりです。
  2. 曲を通している途中で、できない所を練習しない。それをやると、自信ない所でしょっちゅう止まるクセがついてしまいます。また、曲を通して弾くというメンタルの強さも養われません。

「弾けない部分は取り出して」これが、曲を完成させる早道です。

やってみてね。


お休み(休符)は大事♪

2019年08月11日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

Tさん(大人):

発表会で「革命のエチュード」を弾こうと決め、練習を始めています。

「エチュード」とは「練習曲」のこと。

その名の通り、「革命」は、ハイスピードでのアルペジオ満載。たくさん練習しないといけません。

最初のうちは「右手・左手、別々によく練習しておいて」と言っていたのですが、今日は、ゆっくりでも 一度 両手合わせてのタイミングを見てみようということにしました。

主にアルペジオで大奮闘するのは左手です。右手は動きもゆったりだし、和音さえ正確につかめれば、そう難しくはありません。

だけど、そこに思わぬ落とし穴が。

1つのフレーズを弾き終わり、次のフレーズに入るまでの間に 楽譜に書かれている「休符」。これがあいまいになってしまう。

ともすると、左手の難しいパッセージに集中している間、半小節休符とかも構わず右手がじゃ~ん・・・と押さえっぱになってしまうことも。

今まで左右別々に練習していたので、双方の駆け引き(?)みたいな譜面の妙味にまで気を配る余裕がなかったかもしれませんね。。。

よかったー、今日 両手合わせてみて・・・

楽譜を見て「どのタイミングで打鍵(アタック)するか」は、誰もが気をつけると思いますが、「どのタイミングで離鍵(リリース)するか」ということも、打鍵に劣らずとても大事。

休符は、単に「弾いていない時」というのではありません。

休符によって作られた音のない空間が、その前に弾かれた音、次に発せられる音の両方を引き立て、演奏を引き締めます。

休符については、前にも書きましたので、こちらの記事も参考にしていただけると幸いです。

空白部分、滞空時間をたっぷり♪

Tさん、お仕事がいつもいつも忙しく、ピアノを練習する時間もなかなか取れないとのこと。

楽譜の休符をたっぷり取るように気をつけて。

お仕事の方も、これくらい休符がとれるといいのにね・・・

 

 


アルペジオを 早くきれいに弾くコツ ♪

2019年06月23日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

Tさん(大人):

今週は少しだけ練習時間が捻出できたか、久しぶりに「チェルニー30番」を持参しました。

練習曲は15番、両手の三連符によるアルペジオの課題です。

ちなみに、チェルニーに限らず、Tさんがレッスンに曲を持ってくるということは、ほぼ暗譜してるということなんですよ。

すごいですね!生徒の鑑(かがみ)!

熱心によく練習してるだけあって、音は大体取れています。

ただ、1つ気になったのは、アルペジオで和音を分散させながら弾いて行く時、微妙に前の音が残ってしまうこと。

そうすると、音が重なって濁(にご)ってしまうし、手の重心移動にも影響が出てしまいます。

アルペジオをきれいに、しかも速く弾くコツは、弾き終わった音を速やかに離し、ただちに手の重心を次の音へと移動していくこと!

さっきの音に重心が残ってしまうと手に重りがついたように動きが制限されて、クリアなアルペジオが弾けません。

「ちょっと、この辺を弾いてみてね」と、両手ユニゾンでのアルペジオ部分を弾いてもらい、その手の様子をiPhoneで動画撮影し、Tさんにも見てもらいました。

すると、音が少しずつダブっている、特に、真ん中の3の指が離れずに残っていることが見て取れます。

この点に注意して、音の移動と重心の移動をすばやく行うように心がけると、音を残していた時とは比べ物にならないくらい手が軽く感じられるようになります。同時に、弾くスピードも驚くほどアップできることがわかると思います。

Tさんが並行してレッスンしている「革命のエチュード」も、アルペジオをきれいに弾く練習曲ですので、このチェルニーでの注意ポイントを生かして、同様に軽やかなアルペジオを弾くことに役立ててくださいね。

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暗譜を早くする方法:「ベースだけで弾いてみる」

2019年05月23日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

ドクター(大人):

月に2回のレッスンです。

ショパンのノクターン中、最難関のひとつと言われてる「8番」を練習していて、もう最後まで、音を取り終わっています。

楽譜を見ないで弾ける箇所もいくつもあり・・・っていうか、楽譜を見てると細かいところや大きなジャンプは弾けない・・・(^^;

そのようにして、楽譜をあまり見ないで弾いていると、ドクターは正直なので、「アレ?ここの音はどうだったかな」とか「つぎのベースはこれでよかったかな・・・試しにこの場所で弾いてみよう・・・」「ホッ、合ってた」「あ~、やっぱ違ってた」などの《心の声》が、みんなヒバリにも聞こえてきてしまう・・・

もちろん、実際に《声が聞こえる》わけじゃないんですが、弾いてる音にその気持ちが反映されてるのです。

「合ってるかな~の音」「心配の音」のように、はっきりと表情のある音色になって、手に取るように気持ちが伝わってくる(笑)

変ニ長調、♭♭♭♭♭と複雑なキー、その上しょっちゅう臨時記号で右往左往させられるので、音を覚える苦労は並大抵ではありません。

そんなとき、左手を「ベースだけ」にして、右手のメロディーと一緒に弾いてみると、ベースの流れがくっきりと浮かび上がって、かなり覚えやすくなります。

「ベース」というのは、和音の性質を代表した音なので、ベースを弾いただけで、その小節を支配してるコードも彷彿(ほうふつ)と浮かび上がってきます。

「ベースだけ」の弾き方をやっておくと、次に全部の音を楽譜通りに弾いたときも、ベースの音が自分の耳にはっきりと聞こえるようになっていて(不思議だけど)伴奏もおぼえやすくなるし、メリハリのあるいい音になってるのがわかると思います。

暗譜に苦労してる人、「ベースだけ弾き」ぜひお試しください。

 


時間がない人の練習は「弾けないところ穴埋め作業」で。

2019年05月18日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

Tさん(大人):

お仕事がずーっと忙しく「練習できてません...」と言いながらも、ちゃんと1週おきに、遠くから通ってきています。

なんと神奈川県からですよ。

引っ越す前は、ヒバリ先生んちまで数十歩で来れる「一番近い生徒」だったのにね。。。

「毎日帰りが遅いし休日出勤も多くて、ほんっとにピアノが弾けません。たまに1時間ぐらい空き時間ができても、1時間じゃしょうがないなって気がして」

えええ~・・それじゃ暇があったら何時間弾くの?

「やり出したらどんどん・・・4、5時間とかやっちゃいますね」

そりゃ無理でしょー 社会人の人が4、5時間ピアノって・・・

そんな時間が許されてるのは音大生くらいしかいないんじゃないの?

ヒバリ教室にも 大人の生徒は昔から何人もいるけど、主婦の人なんかも、ほんとに練習時間がないんですよね。

みんなほんの少しの「すき間時間」を見つけて練習していて、その涙ぐましい苦労話をいろいろ聞いたものです。

「洗濯機が止まるまでピアノを弾く」とか「お風呂が沸くまで」とかね。

今、大人の人だけじゃなく子どもたちも とっても忙しい毎日を送っていると思います。

「まとまった練習時間がとれません」と言ってると、あっという間に次のレッスン日が来てしまいます。

ここはひとつ、視点を変えて 今の自分に合った、自分にできる練習方法を工夫しましょう。

「まとまった練習」はできないから、曲全体を練習するのはムリ。

だったら、今 自分が持ってる15分なら15分間で、「今マスターできる分量」の練習をするのです。

1フレーズだけスラスラ弾けるようにする、とか、1小節だけ完成させる、とか、それは人によって色々だけど。

そうして、「できないところ」をひとつひとつ探し出しては、短時間集中してそこを「弾けるところ」にする。

それをすき間時間・すき間時間でやっていけば、「弾けないところ」が次々クリアされて「弾けるところ」が増えていく。

曲の中に あちこちボコボコあいてた穴が、ひとつひとつ埋められ、平らにならされていく。

これが「弾けないところ穴埋め作業」です。

そして、この作業のポイント。

それは、端から順番にやっていく必要はない、ということです。

曲の中のどこでもいいので、自分が「ここが弱い」とか「いつもここでつっかえるんだよな~」と思ったところ、どこでも見つけて取り組んでください。

曲のラストでも全然かまわないんですよ。「最後のキメ和音だけは最高にかっこよく弾ける!」だっていいじゃないか。

いちばん好きなクライマックスのとこだけ先に練習して、あとから、地味な平坦部分をシブシブ練習するんだって、一つのやり方だ。

たとえば、ケーキのイチゴとクリーム部分だけ先に食べて、あとから、残ったスポンジをシブシブ食べる、みたいな。

Tさんに聞いてみたら、性格通り、というか、ケーキでもお弁当でも、ちゃんと端からまんべんなくキチンと食べていくタイプだそうです。

決して好きなものだけ先に食べる、とか嫌いなものは人に食べさせる、とか、おなかいっぱいになったから残す、とかはしない、とか。

そうか・・・克己心があるんだね・・・

というか、ピアノ弾くときは、ポイントだけ!とかおいしいとこだけ!とかも、あっていいと思うよ。

 

 

 

 

 


ハノンで「アクセントずらし」

2019年02月24日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス
Tさん(大人):
月に2回、レッスンに来ています。
このところ、お仕事がとても忙しくて、家でピアノが練習できない状態が続いているそうです。
練習できないのは辛いですね…
Tさんは真面目な努力家なのにね。なおさら 練習できないのは残念です。
でも、まあ、嘆いていてもしょうがないので、今日もハノンを使ってエクササイズする時間を多く取ることにしました。
まずは 24番です(今日は24日だから)。
3、4、5の指を強化する練習ですね。
3、4、5は けっこう動きづらい指。
弱い指を鍛えるには、たとえば アクセントの位置を変えて弾く、などが有効です。
24番では
ミレミド、ミレミド、ミレミド、ラファソミ、というのが1小節目ですが、このアクセントをずらし、レから小節が始まる「弱起」のパターンにして弾いてみます。
すると
ミ、レミドミ、レミドミ、レミドラ、ファソミ となり、譜面通りだったら2拍目で目立たなかったレの音が、アクセントをずらすことによって拍のアタマとなり、それを弾く指が意識して打鍵されることになるのです。
ついでに 電子ドラム&伴奏もつけて、8ビートやスィングリズムに合わせて弾けば、なかなかリズミカルで練習効果も上がります。
「アクセントずらし」、みなさんもやってみてくださいねー

Tさんが今取り組んでいるのは、本当はショパンのコンチェルトなのです。
前半部分がほぼ出来て来た状態なので、この先へ少しずつでも、進められたらな…と願ってはいるんですが、無理は望めないので、ほんの1つだけのパッセージでも、心を込めてやってみてください、と申し上げておきます。

ショパン ワルツ64-2 空白部分、滞空時間をたっぷり♪

2017年06月08日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

Sさん(大人):
「大好きな曲」という ショパンの「嬰ハ短調のワルツNo.7」です。
印象的な冒頭、いきなり切なく湧き上がるようなフレーズの後、対照的に小刻みなフレーズが現われます。
「タラッ、タラ~、タラッ、タラ~」
という、16分休符を挟んだメロディーなのですが、前回のレッスンの時 この休符が充分とれていなくて、音が詰まった感じになっていたので、休符をたっぷりとりましょう、とアドバイスしていました。

今日弾いてもらったら、Sさんがとっても気をつけて、休符がしっかりとって弾いているのがわかりました!
よくなりましたね!
「お休み、ちゃんととれてますね。急いで次の音を弾かないようにって、すごいガマンしました?」
「大分ガマンしました(^^;」とのこと、お疲れさまです。
ガマンの甲斐あって、ふんわりしたフレーズができましたね。

Sさんのお話では、昔テレビで ピアニストのバレンボイムさんが公開レッスンをやっていて、その時 生徒さんが何度も「Silence! silence!」と言われていたそうです。
「それが、今教えてもらっている『間』のことかなと思いつきました」とのこと。

そう、「間」って大事なんですよね。
楽譜で言うと「休符」になるんですが、どうかするとみんな、音符のところは気をつけて弾くけど、休符は「音がないんだから」と おろそかになりがちです。
しかし、休符のとり方如何(いかん)で、演奏がすてきになったり なんだかしまりがなくなったりするのです。
絵画 とくに日本画、それとか書道の大きな額などを思い浮かべてみましょう。
墨で書かれた 黒々とした部分の間にある、白い空間。
これが充分に生かされていないと、伸びやかさやダイナミックさが死んでしまいます。
空白部分がたっぷりあってこそ、黒い墨の部分が引き立つのです。
この「空白部分」が、音楽でいえば「休符」に当たります。

また、バレエやフィギュアスケート、体操競技などでは、ジャンプしたときの「滞空時間」をいかに長くとるか(または長いと感じさせるか)、というのが 演技を大きく見せ 引き立てるコツなのです。

ピアノでも、ぜひ「空間を生かし」、「滞空時間を長く」して、演奏の出来栄えを1ランクアップしましょう! d(^^♪

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シンコペーション・飛行機とロケットのちがい。

2017年04月18日 | ヒバリ先生のワンポイント・アドバイス

S子ちゃん(小4):
先週「となりのトトロ」を完全独習で完成させてきたS子ちゃん、今週「これにした」と選んできたのは、「勇気りんりん」。
「アンパンマン」の歌ですね!
弾いてもらってびっくり。
今回も、一人で全部完成してきています。
「知ってる曲だから・・・」とS子ちゃんは言っていますが、それにしても、メロディーも伴奏も全部弾けるまでには、たくさん練習したんでしょうね。
こんなに上手に弾けているので、ここでひとつ、さらなるポイントを伝授することにしました。
それは、一般に「シンコペーション」と言われる このリズムです。

学校の音楽の時間や、合唱団の練習の時なんかに教わった人もいるかもしれませんね。
このリズム、クラシックの曲と ポップスやロック、ジャズなどの曲とでは、微妙に弾き方がちがうんです。
詳しいことは省きますが、比較のために歌詞をつけて見比べてみます。
クラシック

ポピュラー

こんな風に、ポピュラー音楽の時は真ん中の四分音符を 額面通りに伸ばさず、短く切って 弾むように弾くのです。
「クラシックの時は『ひこーき』って言いながら弾くと正しいリズムで弾けるけど、この『勇気りんりん』みたいな曲は、飛行機よりも もっとすごい『ロケット』のリズムでひいてほしいんだ。」
「ほんとだ!こうやって弾いた方が、曲の感じが出てる!」
とS子ちゃんも驚いたように言いました。
「でしょ?!それともう一つね、メロディーも左手の伴奏も、レガートじゃなく 音を全部切って弾くの」
「うわ、けっこう難しい…」
ヒバリ教室で、代々 生徒のみんなに伝授してきた、譜面に書いてないけどミュージシャンなら常識の「暗黙の了解」的約束事の数々。
今日、S子ちゃんにも少しだけ伝えました。
よしよし、こうやってS子ちゃんも着々と、ノリ感のいい「ヒバリ教室の子」になっていく…

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