HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

バッハ、ベートーヴェン メリハリと優雅さと♪

2014年01月01日 | クラシック曲
Hさん:
バッハのシンフォニア4番・ニ短調を 半分まで予習してありました。
三声部それぞれの独立は、さすがきちんと守られていて、ちゃんと勉強した格調が表れています。すばらしい。
今日は、フレーズ感とモチーフ感を出すため、スタッカートやスラーなどのアーティキュレーションを中心にレッスンしました。
バッハの音楽は、モチーフをつないだレース編みに似ています。
ひとつのモチーフを、連続してつないだり、モチーフの配列によって新しい図形を作ったり、モチーフを変形して別な模様にしたり。
ひとつずつのモチーフが くっきりと際立っていると、曲全体がキリッと引き締まり、複雑に入り組んだ図案のおもしろさも、より一層美しく浮き出てきます。
聴いている人にもその美しさや面白さが伝わるような、そんな演奏を目指してがんばりましょう。

もう1曲は、ベートーヴェンのソナタ25番(ト長調)の、第二楽章です。
冒頭は、悲しみに包まれたかのような暗いト短調で始まりますが、すぐに一転、この上なく優雅な変ホ長調のメロディーが流れ出します。
きらびやかな装飾音や連符なども現れて、ちょっと音符配分がややこしそうですが、過去にヒバリ先生から「二拍三連のチャンピオン」と呼ばれたこともあるHさんなのですから、必ずや克服してくれることでしょう。
Hさん自身も、この部分のメロディーを気に入ってくださってるようなので、完成したものを聴かせてもらえるのが楽しみです。

発表会前・練習UP -アルプスの夕ばえ、別れのワルツ

2014年01月01日 | クラシック曲
M3ちゃん(中1):
「アルプスの夕ばえ」、通して弾いてもらいました。
小学生だった昨年までと違い、中学生となった今年は、家での練習が大変だったと思います。
中間テスト、期末テスト、部活、コンクール、音楽祭、その合間には風邪を引いて休んだり、予防接種をして腕が上がらなくなったり・・・
そんな「自信ない」本音を反映してか、全体に音色も弱気な印象を受けました。
もう一度、曲のイメージを話し、「イントロは、アルプスの山々に、美しい夕映えが広がっていくように。湧き上がるようにクレッシェンドして」「メインテーマはフォルティシモで華やかな色彩をふりまくように」など、音色と音量を思い切り出すように伝えました。
また、この曲の特徴のひとつに、華々しく堂々としたフィニッシュがあります。
フィニッシュの弾き方はとても大事。
三連符和音の連打が4小節、しかもクレッシェンドで続くフィニッシュは とてもしんどくて辛いんだけど、そこを何度も練習しました。
「フィギュアスケートでも、最後いちばん疲れている、体力限界のときに、一番華やかなスピンとかやるでしょ。あれを思い出して。疲れてても力を振り絞って、最大のフォルティシモまで盛り上げて!」
と気合を入れました。
フォルテを思い切って出したら、見違えるように華やかな演奏になった
いいよ!その調子でね!

Mちゃん(中1):
中学生になって初めて、毎日の生活がどんなにやることいっぱいで大変なのか、Mちゃんも実感してると思います。
彼女はバスケット部に入っているので、毎日の部活のほか練習試合や遠征などで、休日もないようなものなのではと推測しています。
そんな中、一人でよく練習してきました。
ショパンの「別れのワルツ」、ちゃんと暗譜して完成させたのですから。がんばったね。
しかしMちゃんの演奏も、いまいち表現が希薄という感じがします。
そこで、テンポを早めにして、ワルツのリズムにのること。最初の1フレーズが肝心だから、そこで聴き手の心をつかむように、とアドバイスしました。
「最初の1フレーズ・・・これは、演技の開始を待ってポーズしていたバレエダンサーとか、フィギュアの選手が、このフレーズでゆるやかにポーズを解いて くるりと向きを変えるところ。次の1フレーズでさらに大きく円を描き、次々とフレーズが現れるたびに大きな円を描いていく。最初の区切りであるアルペジオに入るときには、もうリンクいっぱいにスピードを出して滑ってるよ」
そして、ひとつひとつのフレーズを、ふっくらと膨らむように表情をつけて弾くと、とても美しいショパンのメロディーに。
その感じを忘れないで。
そして、やはりフィニッシュ。
Mちゃんの曲は、M3ちゃんの「アルプスの夕ばえ」とは対照的に、甘くせつない余韻を残しながらふわりと終わります。
「そこをブッキラ棒に突っ放さないで! 徐々にゆっくり、速度を落として、最後の音は丁寧にそーっと・・・手の中のシャボン玉を、こわれないようにそーっとテーブルに置いて・・・そして、そっと、手を離す・・・って感じ」
「シャボン玉ねー。なるほど」

さあ、これでM&Mの、発表会前のレッスンは終わりました。
二人はあさってから三日間、富士山の移動教室に行くのだそうで、東京へ帰ってくるのは発表会の前日です。

ぜったい、風邪引いてこないでよ~ (;^^)/


「マシュケナダ」ラテン&ジャズは暗黙の了解🎵

2014年01月01日 | ジャズ曲・洋楽・ポピュラー曲
Mちゃん(中2):
ボサノヴァの定番「マシュ・ケ・ナダ」をやっています。
ジャズワルツを練習し始めたM3ちゃんと同じく、ラテン&ジャズというジャンルの曲は、クラシックとは違った弾き方をすることがたくさんあります。
ボサノヴァのノリやテイストをたっぷり表現するために、そのノリをみっちり飲み込んでもらわなければなりません。
1フレーズごとに、微妙な調整を伝えていきます。

「音は、どれも一瞬、切れているように弾くの。いちいちそういう指示が書き込まれたりはしてないけどね。これは、ジャズ譜面の『暗黙の了解』だから。レガートに弾いたらダサくなっちゃうよ」
「『暗黙の了解』! は~、なるほど」

「ここの所のシンコペーションみたいに見える譜割り。これは、最初の音にアクセントつけて、真ん中の音は軽く切る。ほら、ここも、ここも、ここも。こういう譜割りを、ただちに見抜いて、歯切れよく弾くこと。暗黙の了解だから」
「暗黙の了解・・・多いな~ (^_^;)」

その通り、ジャズ譜面には、いちいち細かなアーティキュレーションなど書き込んでなく、それどころか付点音符なども書かないことがほとんどで、それらを見た演奏者は、直ちに曲のテイストを見抜いて、スマートなタッチで弾かなければいけません。
正直に譜面の音の長さやスラーなどを守って弾いていたら「だっさ~」と言われてしまいます。
でも、まあ、初めから譜面を正確に守ったりせず、ヤマカンで弾く才能にあふれているMちゃんには、ぴったり
の演奏ジャンルと言えるかもしれません。

「暗黙の了解」・・・それはかっこいいジャズのキーワード。

ジプシーダンス・好きな曲の力

2014年01月01日 | 音楽のツボ
Sちゃん(小3):
先週、「ドラクエ」の中の「ジプシーダンス」が宿題になり、Sちゃんの大好きな曲だから、きっと上手に弾いてくるだろうと思っていましたが。
出来栄えは、予想以上でした。
「私ね、前の曲と、次の曲と、ジプシーダンスと、つなげてメドレーみたいにしてみたの」
と言うではありませんか。
「うわあ、すごいね。どれどれ、弾いてみて!」
「間違えるかも、しれないよ?」
などと言いながらSちゃんは、これまでに練習した「おてんば姫の冒険」、「武器商人トルネコ」、そして新しい「ジプシーダンス」と、3曲を次々に弾いたのです。
しかも「おてんば姫」と「トルネコ」は、レッスンで○がついた時点よりも もっと上手になってる!
好きな曲というのは、ほんとに無限のパワーを引き出してくれるものだなあと、改めて思いました。
そのためにも、私たち指導者は、生徒一人一人の、「好きな曲」や「好きなスタイル」を見極め、レッスンに生かしていけるように、日夜アンテナを張り、努力を続けなければいけないと思うのです。

昔、ヒバリがピアノを習っていたころは、ピアノの教材も教え方も、先生も、みんな一律&画一的で、子どもがその曲を好きだろうときらいだろうと、それどころか体が成長していようと未熟だろうと、一切おかまいなしでした。
というか「練習はつまらなくて当たり前。つまらないことでも素直に勤勉に練習するのがいい子」という考えが当たり前だったので、何も考えず それに甘んじていける生徒だけが レッスンを続けていける、というような風潮でした。

いつもこのブログに書いていることですが、ヒバリは練習に全然熱心じゃない生徒でした。
だけど、もっと魅力的な、ヒバリの好きな曲でレッスンしてくれたら、絶対誰よりも熱心な生徒になり得たのになー、とは思う。
ピアノ自体は好きだったんだから。
ヒバリがなぜ、大人になるまでピアノを弾き続け、こうして人に教えよう、というまでになったかというと、レッスンはさぼっていた代わりに、好きな曲、好きな演奏部門は 自分でたっぷりおこなっていたからです。
子ども心に、それは邪道なんだと思っていたので、先生には一切秘密でした。
思えば悲しいピアノ歴でした。

子どものヒバリには、「ポピュラースタイルのピアノ」とか「ジャズピアノ」なんかを教えてくれる先生がいるなんて、思いもよりませんでした。
先生ってものは、みんな「ツェルニー」とか「ソナタ」だけ教えるものだと思っていたのです。
だから、先生に そんな曲のことを話すのは禁句だと思っていました。
なので、今、自分は先生として、そういう曲の世界も教えてあげるし、そういうスタイルの音楽も、みんなと共有して楽しく広げていきたいと思っています。
子どもだったヒバリが欲しかった、ポピュラー音楽やジャズ音楽の喜びや疑問を相談できる先生で、自分はあろうと思っています。