HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

月の光・ペダルが大事🎵

2024年09月17日 | クラシック曲

ドクター(メンズ):

ドビュッシーの「月の光」を練習中です。

コツコツと練習を重ねて数ヶ月、もう曲の最後まで、なんとか弾けるようになりました!

淡い色彩が溶け合った水彩画のようなドビュッシーのサウンドを美しく表現するためには、ペダルがとても重要です。

ピアノの一番右の「ダンパーペダル」は 踏むことによってピアノの音色(ねいろ)にいくつかの効果を与えることができますが、その一つに「音をつなぐ」役割があります。

例えば下の譜例:


左手はバスの付点二分音符音を弾いたあと、すぐさまジャンプして内声の連続和音を弾きに行かなければなりません。なので「付点二分音符」ぶんたっぷり音を伸ばしておくためには、ペダルを踏んだままにしておかなければならないんですが、ドクターは長年の経験上、メロディーや伴奏がにごらないように、弾きながら無意識のうちに小刻みにペダルを踏み換え、クリアなサウンドを作っていくことが身についていて…

どうしても、右手メロディーの起伏に合わせて 素早くペダルを踏み換えてしまう。それも無意識に。

「ペダル踏み換えないで。ガマンして踏んでてね… おおっと、離さない!」と声をかけるんだけど、どぉーしても長年の習慣で 反射的にペダルを踏み換えてしまう。結果バスの音が伸びず プツッと切れてしまう…

のが前回のレッスンでした。

そして今日。

ドクターが弾いた「月の光」は…

バスの音、聞こえるかな…

わーい、聞こえる聞こえる!

「すごく良くなってる!ペダル…、離さないように、すごくガマンした?」

「ガマンした。😅」とドクター。

その甲斐あって、ちゃんとバスの流れが聞こえて奥行きのあるサウンドができてきました。

そしてちょうど明日は「中秋の名月」の日です。

ドクター、月見酒でも一杯やりながら、「月の光」弾いてくださいな

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カッコーワルツ〜カッコウの驚くべき生態

2024年09月14日 | クラシック曲

ヨーロッパで「春を告げる鳥」として親しまれているカッコウですが、その長閑(のどか)な鳴き声からは想像つかないような、驚くべき生態をもっているのです。

それは「托卵(たくらん)」。

自分で卵を温めず、よその鳥にその役目を押しつけてしまうことです。

カッコウのメスは、他の鳥がまもなく卵を産む巣をリサーチし、その鳥のお母さんが卵を数個産んだ直後、スキをねらって自分の卵を1つ、ちゃっかり産み落とします。そして代わりにその鳥の卵を1つ持ち出して捨て、自分は育児放棄してどこかへ行ってしまいます。

そして何も気付かず卵たちを温める鳥の母親に、紛れ込ませた自分の卵も一緒に温めさせるのです。

ズルくな〜い?!

これだけでもひどいけど、さらにひどいのはこれからだ。

カッコウの卵はもともとそこにあった卵より少しだけ大きく、また少しだけ早く孵化(ふか)します。だってそのタイミングを見計らって産んでるんだから。

数個あった卵の中で一番に孵(かえ)ったカッコウのヒナは、あろうことか背中で他の卵を巣の縁へ押し出していき、高い木の上からみんなポイポイ落としてしまうのです!

そして自分だけ残って天下を手に入れたカッコウのヒナは、毎日大口を開けてよその鳥のお母さんから餌をもらい、親鳥よりもデカく育って(だってカッコウだから)、羽根が生え揃ったら、あばよ!とばかり巣から飛び立っておさらばしてしまうのです。

親が親なら子も子だ!

私はもう何年前だか忘れたけど、テレビで巣から卵を落っことすカッコウのヒナの映像を見て、その衝撃がいまだに忘れられません。

みなさん、もし興味が(勇気が)あれば、ネットやYouTubeで「カッコウ」「托卵」を検索してごらんなさい。

その恐るべき画像や映像、そしてカッコウについての解説を見ることができますよ。

昔のヨーロッパの人たち…カッコウを「春告鳥(はるつげどり)」と呼んで、たくさんの歌や音楽で親しんできた昔の人たち…こんなこと知ってたかのなあ?

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カッコーワルツ〜カッコウにちなんだクラシック曲いろいろ🎵

2024年09月12日 | クラシック曲

「カッコーワルツ」のタイトルになっている鳥 カッコウ。

ヨーロッパでは昔から身近に親しまれている鳥のようです。

「カッコー!カッコー!」という独特の鳴き声を模した楽曲が、民謡やクラシック音楽でたくさんあります。

ちょっと思い浮かべてみても、かっこうワルツ、小学校で習うかっこう、キャンプなどのレクリエーションでよく歌われるしずかなこはん、クラシック曲では、バロック時代のかっこう (クラブサン曲)がありますし、ベートーヴェンのピアノソナタ25番は、途中にカッコーの鳴き声に似た部分があるため 俗称「カッコーソナタ」と呼ばれています。

生活の中でも「カッコウが鳴くと春が来る」という「春告げ鳥」として親しまれ、時計からカッコウが飛び出して時刻を告げる「カッコー時計」なども作られています。

映画「サウンド・オブ・ミュージック」の「さようなら、ごきげんよう」という曲の中で、カッコウ時計の声や姿を模して子どもたちが歌ったり。

カッコウがこれだけ、西洋諸国で身近であるということを知れば、たくさんの曲があることも時計に取り入れられていることにも合点がいきます。

一方 わが日本でのカッコウの立ち位置といえば、その鳴き声も身近に感じてる人はそうはいなくて、高原やキャンプに行った時に聞かれたりする、むしろ「夏の鳥」…

「春を告げる鳥」なら、日本ではだんぜんウグイスでしょ。

昔からの日本では、カッコウは別名「閑古鳥(かんこどり)」と呼ばれていて、西洋では明るく春を呼ぶイメージの鳴き声も、日本ではなんか寂しい、とか閑散とした、というイメージでとらえられていたようです。

お店などがはやらなくて、お客が入らず閑散としてることを「閑古鳥が鳴く」といいますよね?アレですよ。

だから西洋から伝わってきた「クックー」と鳥が飛び出す「カッコウ時計」も、日本では「閑古鳥が鳴くなんて縁起でもない」ってことで「鳩時計」という名に変えられてしまったんだよね(笑)

西洋では「陽」、と日本では「陰」っぽい印象のカッコウ。

だけど、西洋人もびっくりの恐るべき習性を、カッコウは持ってるんですよ。

それでもいいのか、西洋?

その習性については、また明日…

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カッコーワルツは「懸垂」の連続🎵

2024年09月11日 | クラシック曲

ひまわりちゃん(中3):

中3の受験生真っ只中ですが、ピアノレッスンはゆとりを持って続けています。

12月の発表会曲はとっくに仕上げてキープしてあり、なおかつ3月の学校行事「合唱コンクール」のピアニストになるため 伴奏も一人で練習・完成して余裕。えらい。

そしてレッスンでは、受験まではあまり負担のかからない軽くて楽しめる曲を色々弾こう、ということで、今回は「カッコーワルツ(ヨナーソン)」です。

親しみやすいメロディーが軽やかなワルツのリズムに乗って流れ、その合間を縫って「カッコー!カッコー!」の囀(さえず)りが散りばめられています。


オーケストラ演奏では、メロディーと「カッコー!カッコー!」の合いの手は それぞれ別のパートが弾くんですが、ピアノアレンジでは(そう、この曲はもともと管弦楽曲として作曲されたもので、ピアノ楽譜は『アレンジ』なのよ)その両方のパートを一人で弾かないといけません。

しかも、左手は ぶんちゃっちゃ、の伴奏に専念してるので、残った右手だけでメロディーと「カッコー」2つのパートを弾かなきゃいけないのです。

下に中間部の楽譜を貼ったので見てくださいね。


緑の◯で囲んだ部分が「カッコー!カッコー!」ピンクのラインがメロディーです。

「ここは『懸垂(けんすい)』の連続だからね!メロディーの音が切れないようにしっかり残して。『カッコー』は軽やかに。」と先生。

「うわー 懸垂だ〜」とひまわりちゃん。

「懸垂」は テクニック教本「バーナム」の中の 音の保持のための課題です。

「カッコー」を軽やかに投入しつつ、メロディーをなめらかに、しかも音が途切れないように弾いていくためには、寄せ指、あけ指、替え指などのテクニックをフルに使って重心配分にも気をつけ、まさに「懸垂」連続で乗り切らないと。

さあ、やってみようね。

「あっ、切れた。もう一回」とまゆうちゃん。

「指替えの準備を忘れたよ!」と先生が指摘。

もう一回。

「あ〜切れた〜」

「重心を移してないから動けないんだよ」と先生。

今度こそ!

「あ”〜」 

こうして何度もトライアルを繰り返し、「メロディー」と「カッコー」2つのパートがきれいに出来てきました。

正直ここまでのきれいな弾き分けを要求しなくてもいいし、実際 YouTubeなどを見てもテキトーに弾いて平気でUPしてるひとはいっぱいいる。

だけどひまわりちゃんは実力もセンスもあるんだし、ヒバリ教室の重鎮でもあるし、妥協しない最上級の演奏をしてもらいたいです。

来週までにパーフェクトな演奏をしあげてきてください。

ところで、「カッコーワルツ」および「カッコー」については、いろんなトリビア満載なので(それでひまわりちゃんを驚ろかしたので)、つづきはまた明日書きます。

ではとりあえず今日はここまでで。

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ヒバリ教室伝家の宝刀「手首の抜き」!

2024年08月19日 | クラシック曲

久しぶりに、特待生のべっきー君(メンズ)のレッスンです。

いつもと変わらず 一人でコツコツと努力を積んでいるべっきー君(本人は『練習できてません😞と言ってますが』)、本日の曲はメンデルスゾーンの「プレストアジタート」です。

左手が終始 怒涛のようにうねるアルペジオを奏で、その上に右手の和音がメロディーを歌っていく…  12月の発表会には これを弾きたいとのことで、べっきー君の好きそうなタイプのドラマチックな曲です。

左手のアルペジオが複雑ですが、それに気を取られてしまわないように。常に、「柔らかな手首の抜き」を忘れずにね。

だってね、べっきー君がうっかり「音取り」に気を取られて音色が固くなっていても、「抜き」のことを思い出して弾いてもらったら、たちまち打って変わって、滑らかで美しい音色に激変するんだから。

「柔らかな抜き」は、ヒバリ教室の「伝家の宝刀」なので、10年選手で特待生のべっきー君には、ぜひともそれを忘れずに 美しい音色を自分の得意技としてほしいです。

もう1曲、ピアノに入門したその時から「いつかは弾きたい」と目標にしている ショパンの「バラード1番」。

少しずつ少しずつ、夢の実現に向かって練習を始めました。

さすが大好きな曲、丁寧に心を込めて弾いてるので 超難曲にもかかわらず、とても美しい音色で弾けています。

こちらは発表会で弾くなどの期限もないので、焦らずゆっくり、今のペースで積み重ねていってほしいです。

バラード1番… ピアノの最高峰だと思うけど、コツコツ積み重ねていけば、必ずや弾きおおせる日は来ると思います!

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チャイコフスキー「四季」より6月・舟歌 その2

2023年06月10日 | クラシック曲

前回の続き、ヒバリの脳内の「舟歌」ドラマです。

初夏の爽やかな気候の中、小さな手漕ぎボートで川下りデートのカップル。

まだ知り合って間もないので、ボートを漕ぐ彼氏も、向かい合って座る彼女も、緊張気味です。

話題もいまいちうまく出てこず、どうでもいいお天気の話などしていますが、ボートが進むにつれ 岸辺の景色は美しく移ろい、二人の緊張も次第に和らいできます。曲も、冒頭の短調から伸びやかな長調へと広がっていきます。

二人のおしゃべりも少しずつ日常や趣味の話などへと広がり、笑顔も出てきます。

さあ、ボートが木々の枝間をくぐり抜けたら、一気に川幅も広がり、美しい田舎の風景が開けました。

気持ちも高揚して、ここで一気に情熱的な言葉へ、と思ったその時、何かに引っかかり、大きく揺れるボート。

あわや転覆の大パニック!

オールも取り落とし、水しぶきがキラキラと飛び散り、大きな波紋がボートを中心に波立って広がります。

数秒ののち、無事転覆は免れ、オールも拾い上げ、波紋も静かに収まり、またボートを漕ぎ始める彼氏。

さっきの「事件」のおかげで緊張は一気に解け、二人の会話は がぜん はずみ始めます。

その証拠に、冒頭から何度となく登場するモチーフのメロディーに、低音のフレーズが、合いの手のように掛け合いで畳み掛けてきます。

これが生き生きとした恋人同士の会話でなくて何でしょう。

おしまいは、すっかり熱い恋人同士となった二人が、この楽しい川下りがもうすぐ終点に着いてしまうことを惜しみ、いつまでもこの時間が続きますように、と願いを込めて余韻を味わってる、その二人を乗せたボートが、だんだんだんだん遠ざかっていく…   FIN

こんな感じです。

チャイコフスキーさんの暗い夜のイメージとは全然違うけど、ま、イメージは 弾く人が好きに描けばいいんだから。

ちなみにヒバリのイメージは、ロシアじゃなくて多分 子どもの頃からいろんな本で読んだり映画で見たりした、「イギリスの田舎の川下り」の様子なんだと思います。

「たのしい川べ」とか、「不思議の国のアリス」の誕生現場とかね。


あなたも、自分のイメージで、曲を楽しんでね。

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チャイコフスキー「四季」より「6月・舟歌」その1

2023年06月10日 | クラシック曲

6月です。

ドクターの弾いてる「6月・舟歌」

今まさに、ぴったりの季節です。

この「舟歌」、「四季」の中では ダントツに人気があります。

「舟歌」=音楽用語(イタリア語)では バルカローレと言います。

そしてバルカローレといえば、ベニスのゴンドラの歌のこと。

そしてゴンドラといえば、カップル。

というのが大体の「お約束」なんですが、ちなみに、作曲したチャイコフスキーの曲の背景へのイメージは「夜」なんですってね。

曲の元になった「詩」があって、それは(原文はロシア語なので、英語にすれば)

Let us go to the shore

There the waves will kiss our feet

With mysterious sadness

the stars will shine down on us

(岸辺へ行こう

 さざ波が私たちの足に口づけする

  不思議な悲しさで

  星の光が私たちの上に降りそそぐ)

という内容らしい。

そうなのか。なるほどね… 

しかし、チャイコフスキーさんの国はロシアだし、この場合の舟遊びは、ベニスの水路やゴンドラじゃないんだよね?

そんな国での「夜の舟遊び」って、どんなんだろう

ロシアの6月は、深夜近くまで空は暗くならないらしいから、舟遊びも遅くまで可能なのか?

日本に住むヒバリには、そんな夜の舟遊びのイメージはピンと来ず、なんとなくずっと、曲から感じたイメージを脳内再生して弾いていました。

次回に、ヒバリの描いていた自由な(勝手な)イメージを言葉にしてみます。

以下、次回に続きます。

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バッハの曲は"ボイスメモ作戦"🎵

2023年03月01日 | クラシック曲

げじこさん(大人)

先月、「バッハのポリフォニー音楽(多声部の曲) どう練習したらいいか」と苦労している様子をブログに書きました。

イギリス組曲・ブーレ YouTubeに合わせてピアノ♪

その時は「YouTubeでその曲を探して、ゆっくり再生しながら それに合わせて練習すれば?」と提案し、げじこさんも「やってみるわ!」と意欲を燃やしていたのです。

そして今回。

YouTube作戦」はうまく行っているようで、「まだまだ『標準』速度までには行けないけど、がんばってる」ということだったのです。

ところが、ここに新たな問題が浮上。

練習してる曲がYouTubeにない問題」です。

そっかー。それは困った

私が弾いて録音する?と言ったんですが、げじこさんは「自分でやらなきゃ」との信念を表明しています。

そこで、次なる手段としてヒバリが考えたのは「iPhoneのボイスメモを利用する作戦」です。

まずはメロディーならメロディーのパートを録音する。うーんとゆっくり,絶対間違えないような超ノロノロで。

そして、できた音源のテンポを調節して、好みの早さにします。

これで練習用音源の完成です。

これに合わせて、第2パートなりその他のパートなりを弾けば、YouTubeに合わせて練習するのと同じように使えます。

げじこさんに、数小節ためしにやってみてもらったのですが、うまくできそうです。

多声部音楽は 複雑でややこしくて、迷路を解くみたいな難しさがあるけど,

「そこが面白いのよ!」とげじこさんは言っています。

その通り。そこが面白い。

がんばりましょう!

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イギリス組曲・ブーレ YouTubeに合わせて🎵

2023年02月08日 | クラシック曲

げじこさん(大人)

大好きなバロック音楽、中でも大好きなバッハの、今回は「イギリス組曲」にチャレンジしています。

今練習しているのは2番の「ブーレ」。

短い曲ですが、そこはバロックの巨匠バッハの作品ですから、たくさんの関所があり、そう簡単にはゴールへ到達させてくれません。

バッハの音楽のどこが難しいって、最大の難所は、「声部がいっぱいある」ということでしょう。

「声部」って、合唱で言えば「ソプラノ」とか「テノール」とかのパートのことなんですが、これら2つとか3つとかのパートを、全部一人で担当してるようなもの、というのがバッハの時代の音楽です。

今げじこさんが練習してる「ブーレ2」は、一応 上・中・下・3つのパートから成り、それぞれのパートががそれぞれのメロディーを歌っていくんだけど、ときおり「中」パートが2つに分かれて、部分的に4パートになったりもしている。複雑。

げじこさんは、楽譜のそれぞれのパートをピンク・青・緑のマーカーでなぞって色分けし、各パートを覚えられるように一生懸命練習しているんですが

「覚えられない〜 こんなにやってるのに〜」と苦戦中。

前回「パートごとに自分で録音して、それを聞きながら他のパートを合わせて弾いてみたら?」と提案し、「なるほど!」とそれを実行してみたげじこさんですが、「自分で弾くとつまずいたり、難しい所で遅くなったりして適当になってしまうので、後で合わせることができない」という問題が浮上しました。

そこで今日は、YouTubeで「ブーレ2」の演奏を探し、その中で比較的聞きやすい動画を選んで、テンポを落として再生しながら、それに合わせて練習する、という方法を提案しました。

これなら、しっかり正しいリズム&テンポで進んでいくので、これに合わせて弾けば、自分の遅い所や逆に走ってしまう所などが如実にわかり、改善にもつながる、というアイデアです。

「なるほど!やってみるわ!」とげじこさん。

がんばれ!

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ショパン「別れのワルツ」はロンド形式🎵

2022年09月09日 | クラシック曲

ひまわりちゃん(中1)

ショパンの「別れのワルツ」を、発表会のために練習しています。

この曲は「ロンド形式」で書かれています。

「ロンド形式」というのは、ひとつの主題メロディー(Aメロ)が、次々と現れるBメロ、Cメロなどの間を繋(つなぐ)ように投入されているスタイルの曲を言います。

構成図で書くと

A - B - A - C - A - D - A …

という感じ。

「エリーゼのために」などが、この「ロンド形式」です。

今、ひまわりちゃんはAB、部分がほぼ出来上がって、C部分に取り掛かっています。

C部分も、あと左手の伴奏が出来れば完成、となり、そうしたら曲も大体出来上がってきます。

「ねえ、早くない?まだ9月になったばっかりなのに!」と、ひまわりちゃんは自分の順調さに感心しています。

「もう出来ちゃって、あとどうするの?」

大丈夫大丈夫。

ショパンはね、ただ弾くだけじゃないから。

これから美しい音色、曲想の表現を追求していくんだから。

これからがレッスンも本番なんだからね。

結婚の約束を交わしながらもも結ばれなかった、ショパンとマリア・ヴォジンスカとの 愛と別れの物語。

12歳のひまわりちゃんに、その甘く切ない音色が表現できるのであろうか

ちょっと不安がなくはないけど

ちょっと前に、先生が「こんなふうに弾いて欲しいのよ」と冒頭だけお手本を弾き、次に比較として「ただ楽譜通りに弾いただけじゃこうなっちゃうよ」と、NG例を弾いたら、 

「赤ちゃんが弾いてるみたいー」と 大ウケだったひまわりちゃんだから、きっと、心を込めて、美しいショパンを弾いてくれることでしょう。

頼むよー

期待してるからね。

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「夜の海辺にて」カスキ(1885-1957)

2022年08月28日 | クラシック曲

カスキ(1885-1957)は、北欧フィンランドの作曲家です。

「夜の海辺にて」は彼の代表作で、母国フィンランドでは知らない人はないというほど有名ですが、日本ではまだそれほど知られていなくて残念です。

ザブーン

ザブーン

(はる)か沖から打ち寄せる波のような低音アルペジオ。

遠い記憶を呼び覚ますような、どこか懐かしく切ない旋律。

足元の水際にレースのように寄せては返すさざ波。

途中でキラキラときらめく高音は、つかの間雲の切れ目から姿を現した月の光のよう。

太古の昔から ずっと変わらない海。

今もまた、広々と見渡す暗い海に、波はいつまでも打ち寄せるのでした

ザブーン

ザブーン

こんな感じです。

ドクターに「これどうですか」とご紹介したらすごく気に入ってくれて、何ヶ月もかけて丁寧に練習してきました。

今回レッスンしてみたら、もうすごくいい。ドクターにぴったり似合ってる。

「もう言うことナシ!完成です」

と合格になったんだけど、そのあとヒバリはドクターに言いました。

「もう1回、弾くのってイヤ?」

先生としてレッスンで聞く時は、間違いがないかとか、音色は、リズムは、とか アラ探しみたいに聴き耳を立てる感じになってしまう。

「せっかくだからもう一度、『お客さん』として聴かせてほしいのでお願い」

ドクターはがんばってもう一度弾いてくれました。

8月の暑さも、陽が落ちた今は 少し鎮(しず)まって… 夏の終わりにぴったりの「夜の海辺にて」。

最高です。

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左手伴奏は 名脇役のように・ラフマニノフ交響曲第3楽章🎵

2022年08月24日 | クラシック曲
べっきー君(大人):
 普段は自分で練習し、時々 単発でレッスンに来ています。

今日は、ラフマニノフのピアノ交響曲2番の、夢のように美しい第3楽章をピアノアレンジにしたものを「クリスマス発表会で弾こうと思います」と持参しました。

べっきー君はこの曲を、長い間ずーっと大切に温めていたのだと思います。
前にもレッスンに持ってきたことがありますが、その時点で既に数年間、自分で練習してました、と言ってた。

オリジナルの交響曲では、一斉に湧き上がるようなストリングス群の甘美なメロディーで曲が始まります。
ロマンチストのべっきー君がお気に入りなのも当然ですね。

甘く優しく、聴いているとうっとり脱力してしまいそうなこの曲。ところがこれを弾くとなると、いきなり厳しい。

8分音符の刻みで流れるように歌われる右手メロディーに対し、支える左手伴奏は終始三連符…
そう、みんなが恐れる「二拍三連」満載なのです。
以前にべっきー君がこの曲を持ってきた時は「二拍三連の練習のために」ということだったんですから、そのニ拍三連詰め込みぶりはハンパない。
それを弾こうっていうんで、前回のレッスンの時は四苦八苦でした。

今日のレッスンでは、ニ拍三連も大分自然に演奏できていて、がんばったんだなあ、と思いました。
さすが努力家べっきー君。

ところがです。
あまりに左手の三連符を一生懸命やりすぎたので、時々、メインのメロディーよりも伴奏がガンガン目立って、主役みたいになっちゃってる部分が。
これでは本末転倒になってしまいます。

どんなに高度なテクニックでかっこよく弾いたとしても、主役を食ってしまってはいけない。
伴奏はあくまでも、主役のメロディーを引き立てることに徹しなければいけません。

伴奏は「名脇役」、アカデミー賞で言えば「助演男優賞」に匹敵する、抑えたシブい演奏をぜひお願いしたいです。
ベテランの名脇役により、主役のメロディーが さらなる輝きを得ることまちがいなし!

べっきー君が次にこの曲を聴かせにきてくれるのを 楽しみに待ってます。
主役と脇役が絶妙に絡み合った、夢のサウンドに期待。



「花の歌」の表現、カデンツァの弾き方

2021年05月07日 | クラシック曲

Mちゃん(高2):

この前にやった「花の歌」の仕上げです。

この曲の最大の見せ場は、2回出てくる「カデンツァ」です。

「カデンツァ」というのは、クラシック音楽用語で、その部分だけ伴奏がパタッとなくなり、ソロ楽器が数秒間、派手なテクニックを披露する音列をばばーんと奏でること。大方は華やかなアルペジオやスケールで飾り立てられています。

つまり、演奏者の「どや!」を見せびらかすところなので、カデンツァが上手に弾けたら、その曲の演奏はほとんど成功したといっても過言ではありません。

「カデンツァを制する者は曲を制する」なのです。

さて、そんなカデンツァが2か所も盛り込まれている「花の歌」、まず1回目のカデンツァは、Aのコードのアルペジオで駆け上がり、駆け降りるスタイルです。

特にテンポの細かい指定はありませんが、こういった長い上昇→下降のパッセージを弾くのにはコツがあります。

「坂道を上るように上り、下るように下る」コレです。

みなさん、自転車で坂道を上ったことはありますか?

上り始めはペダルが重いので、力いっぱいこいでモーションをつける。すぐに軌道に乗り、ぐんぐんと勢いがついて上っていく。坂のてっぺんにつき、一瞬平らになった、と思う間もなく、下りはどんどん加速度がついて一気に転がり落ちるように。坂の下まで降りたら、後はゆるやかな平地・・・

これを演奏で再現するのです。

最初は助走のようにゆっくりモーションをかけ、勢いとスピードを増しながら駆け上がり、最高音で一瞬止まるかのポーズを経て、一気に加速度を付けながら駆け降り、最後はゆったりと着地。

上りも下りもおんなじ速さじゃ、加速度も落下もないジェットコースターみたいで、おもしろくもなんともありません。

上り坂&下り坂、ジェットコースターののぼりと落下、などをイメージしながら、スリルあふれる演奏を研究してください。

「花の歌」2つ目のカデンツァは、1つ目のアルペジオよりもう少しメロディックなパッセージで、その分指使いもややこしくなっています。

こちらは、ちょっとひねくれた動きでくねくねと上り、てっぺんからまたくねくねと下り、地上に着いたかと思ったらまた一気に上昇、というパターンです。

今度は、山道よりもう少しイメージを膨らませてみましょう。

「花の歌」なので、一面の花びらが空中に舞い上がるイメージでどうでしょう。

木の梢まで舞っていった花びらが、またひらひらと舞い落ちてくる。

静かに地上へ舞い落ちたかと思ったとたん、一陣の風が吹いてきて、花びらたちは一気に巻き上げられ、花吹雪となる。。。

どうですか。ただ技巧を見せるのではなく、色鮮やかなビジュアルを思い浮かべながら弾けば、微妙なテンポの伸び縮みも自然についてくると思います。

「花の歌」はテクニックも易しい小品ですが、演奏者の豊かな表現力によって数倍もゴージャスな曲になるので、みんなもがんばって、想像力・表現力豊かに弾いてみてね。

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トルコ行進曲ってすごいね。モーツァルト天才。

2021年02月12日 | クラシック曲

Mちゃん(高1):

モーツァルトの「トルコ行進曲」仕上げの段階です。

「ここがうまくいかない・・・」とMちゃんが苦手という個所を見てみました。

Bメロの変形で、メロディーが16分音符のトレモロ風になっています。

これに左手の装飾音符をはめ込んでいくのが難しかったようでしたが、ゆっくりお手本を示し、右手と左手の合致する部分を確認することで、迷わず弾けるようになったと思います。

「トルコマーチは、①ターン、②オクターブ連続、③16分音符連続の速いパッセージ、④トレモロ、と、これだけのテクニックを一気に体験できる。なんて効率の良い、お得な練習曲だ!」

先生が言うと、Mちゃんも「ほんとほんと。すごい。トルコ行進曲」とはげしく同意です。

「おまけにね」

先生は言いました。

「ほら、最初のところ見て。Amの伴奏ついてるし調子記号ないし、Amの曲だよね?」

「うん、Am。」

「ところが、次のBメロでは、♯♯♯になって、Aにさり気に転調されてる。これは主音が同じの『同主調』ってこと」

「あ、ほんとだ・・・」

「そして見よ。次のCメロでは、なんとこれがF♯mに転調されてる!これは、ラ、ソ♯、ファ♯・・・と数えれば、Aの『平行調』じゃない?!」

「うわあ、すごい~」

「このように、『トルコ行進曲』は、これ1曲で、数々のテクニックばかりか曲の転調、近親調の関係まで学べる、すばらしい曲なのだ」

「すごい、すごすぎる『トルコ行進曲』!」

「モーツァルトさすがだね?!」

「え、これモーツァルトが作ったの?モーツァルト、天才?」

すみません、天才モーツァルト様。弟子が無学で・・・

でも、本日あなた様の偉大さを思い知ったようなので、お許しください。

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「トルコマーチ」はお得感満載。

2021年02月05日 | クラシック曲

Mちゃん(高1)

「さあ、今日は何番かな」とハノンを開きます。

いつも、カレンダーを見てその日の番号の練習課題を弾くことになっていて、今日は2月5日だから5番です。

先週は1月29日だったので、基礎練習のチャプターでは一番長くて込み入った課題でしたが、月が変わって今日は5番!

「よかったね、また易しいのになって」

「よかったー」

と言いながら弾き始めたけど、ちょい待ち。

それ、6番じゃん。5番の音符よく見てごらんよ。

「あっ、ほんとだ。えっ、5番ってえっ、こう? あ、わかった。でもこれ難しい。6番の方が簡単〜」

などと言いながら基礎パターン、アルペジオなどを練習し、本日の課題はモーツァルトの「トルコマーチ」です。

これは、単独で弾かれることが多いですが、モーツァルトのピアノソナタK(ケッヘル)331番の中の第3楽章です。

作曲された当時のヨーロッパの人々が「東洋」に対して漠然と抱いていたオリエンタルな雰囲気、が盛り込まれた曲で、賑やかな打楽器の音を模した伴奏形が特徴的です。

芸術的というより「楽しい描写音楽」という感じの曲ですが、ヒバリ先生としては、特にMちゃんたち「ソナタ」にかかったぐらいの生徒には是非経験してもらいたいと思っている曲のひとつです。

なぜなら、細かい装飾音符あり、ターンあり、オクターブの連続あり、急速な16分音符のパッセージありと、ソナタクラスの生徒に必要なテクニック満載で、この1曲で練習曲5曲分ぐらいのテクニックがコンパクトにまとまってる。先生としては大変お得な曲なのです。

また生徒から見ても、大ざっぱに分けてA------コーダ と同じパターンが繰り返し出てくるので、弾けるようになった部分を使い回しできる「お得」な曲。

みんなにとってお得な、大変いい練習曲といえる「トルコマーチ」です。

Mちゃん、もうほとんど練習できていて、来週は合格になりそうです。

仕上げがんばろう!

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