自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

小さな株に幼虫がどっさり

2014-09-18 | ベニシジミ

庭の草引きをしていて,一株のスイバが目に入りました。株といっても,葉が数枚付いたごく小さなものです。


おもしろいことに,どの葉も食痕が付いていました。それも激しいくらいに。「これは確かめてみる値打ちがあるなあ」と思って,葉を一枚裏返しました。すると,ベニシジミの幼虫が4匹もいました。もうびっくり。


その他の葉にももしかするといるかもしれないと思い,確かめました。すると,やっぱりいました。「いるわ,いるわ」って感じです。大きさは大小様々。


葉を一枚一枚確認していくと,どんどん見つかりました。結局,みんなで12匹もいたのです。こんな狭い範囲で,こんなにいる光景を見るのは初めてです。


このままでは,たぶん,ほとんどが生き残れないでしょう。そう判断して,植木鉢に植えたスイバにおいてやることにしました。もしかすると,今秋も羽化が見られるかもしれません。しかし,ベニシジミの越冬態は幼虫なのでこのまま冬支度に入る可能性もあります。

 


クロアナバチの産卵スタイル

2014-09-18 | ハチ

遊び場の地面に生えた草引きで,地表面の土を削るようにして取っていったためか,そこで巣作りに勤しんでいたクロツチバチには大迷惑だったようです。結局,新しくなった地面に再び穴をつくり始めました。

そのときは見ていなかったのではっきりしたことはいえませんが,巣作りの終わりははっきり見届けました。そして,生態的に非常におもしろいことがわかってきました。そのことを少しばかりご紹介します。

草引きの二日目。続きをしようと思って遊び場に行くと,ブランコ支柱の根元付近に穴を認めました。ふしぎにも,そのときちょうどクロアナバチが近くにいて,ツユムシを抱えていました。


わたしが近づくと,ハチは警戒心をはっきり見せ,そわそわしていました。軽く舞い上がってまた戻ってきたり,という動作も繰り返しました。動かずにじっとしていると,舞い降りて,そのうちにツユムシを抱え巣穴近くに運んできました。そしてそれを放して,自分だけで巣穴に入りました。間もなく出てくると,ツユムシを抱え,じつに素早く穴に持ち込みました。その早業にはもうびっくり!

様子をうかがっていると,しばらくして出てきました。そうして,なんと穴を埋め始めたのです。巣作りの最終段階です。「ははーん,産卵したのだな」と直感。丁寧な仕上げには,またまたびっくり。その後,ハチはどこかへ去っていきました。

もちろん,わたしは「巣の様子が知りたい!」「できたら,卵も確認しておきたい!」と思いました。それで,慎重に穴を掘り下げていくことにしました。穴は一本で,斜め下方向に15cmほど続いていました。いちばん奥に,ツユムシの脚が見えました。


結局,穴にはそのツユムシが一匹いただけでした。それは死なないだけの麻酔をされ仮死状態で,わずかな動きが見られました。からだを調べて見つけたのが卵一つ。前脚と中脚の間に突き刺さるように産み付けられていました。そのままでは砂粒が付着しているので,それをきれいに落としてから撮った写真が下のものです。


卵は黄色くて,細長く,やや曲がったかたちをしていて,長さは3mm。

これがどう変化するか,観察してみようと思っています。生態がすこし見えてくるはずです。

 


突然のイシガケチョウ(続々々)

2014-09-17 | 昆虫

 産付後,6日が経過(7日目)。内部に大きな変化はないようです。

 


観察用に持ち帰った上記の卵は,土台になっている葉が大きく萎れ始めて,観察しにくい状態になりつつあります。それで,果樹園に産み付けられている卵を併せて観察していくことにし,さっそく撮影しました。なお,撮影は早朝で,卵に朝露がわずかに付いています。


拡大してみましょう。頭部かなにかが形成されつつあるのか,黒っぽい部分が見え始めました。


もう一つ見ておきます。


同じように拡大してみると,からだの一部が見えます。いのちが順調に育っているのです。


孵化に向かう変化がはっきり現れてきました。観察のたのしみが増します。 

 


ルリタテハの幼虫

2014-09-17 | ルリタテハ

アゲハの庭園の一角にホトトギスを植えています。昨年はそこにルリタテハが産卵しました。しかし,今年はさっぱりです。ルリタテハの生態を探りたくてじっと待ち続けているのに,これでは当て外れです。

待っていてもダメだと思い,わたしがよく訪れる公園の山際に行ってみました。そこはルリタテハの棲息地で,その姿を何度も目撃してきたところです。

山際の斜面に,サルトリイバラがあちこちに生えています。その葉に産付卵がないか探していきました。卵殻ならあるのですが,孵化前の卵はなかなか見つかりません。そのうちに,ルリタテハの若齢幼虫が目にとまりました。

それは葉の裏側にいました。一匹に続いて,二匹めが見つかりました。2齢幼虫あたりでしょうか。この日の収穫としては上々です。


さらに,孵化間もないと思われる1齢幼虫も見つかりました。


こうして卵殻・幼虫が確認できたということは,卵が見つかる可能性があるということでもあります。それにわずかな期待を抱いて,さらに探していきました。

 


突然のイシガケチョウ(続々)

2014-09-16 | 昆虫

イチジクの葉に卵が何個産み付けられたのか,ザァーッと数えてみました。10個は数えられました。それらは,たぶん同一成虫が産付したものでしょう。それで,孵化までの変化はほとんど同じように進むとみて,観察してみることにしました。

産付後,1日が経過(2日目)。たしかな変化が現れています。写真では,右上から左下に向かって境ができてきました。色の変化は感じられません。 


拡大してみましょう。左側が濃く見えます。 


産付後,3日が経過(4日目)。内部の変化が透視できます。幼虫のからだが徐々に形成されつつあるのでしょう。 

 


産付後,4日が経過(5日目)。変化はあまり感じられませんが,確実にからだがつくれられているのでしょう。色は心もち薄くなったかなという感じがするものの,著しい変化とは思われません。

 


突然のイシガケチョウ(続)

2014-09-15 | 昆虫

さっそく果樹園に行って,産付卵がないか,葉を見ていきました。手がかりは新芽・新葉です。すると,どうでしょう,探し始めて間もなく見つかったのです。


それはごく小さくて,濃い黄色をしていました。山吹色といい表したほうがよいでしょうか。ルーペで見ると,縦方向に突起が走っているのがわかりました。アカタテハやルリタテハの卵のかたち・模様と似通っている感じです。

写真を撮ってから計算すると,卵の直径は0.7mm程度。


拡大してみましょう。こんなに見事な世界が観察できるとは! 

 
別の卵を撮った写真をもう一枚。葉の縁にちょこんと付いています。

 

 
幼虫は上部の円い部分から出てくるのはまちがいありません。卵内部,そして色の変化に注目しておきましょう。できれば,孵化場面も見届けたいのですが。

 


カエル釣り

2014-09-14 | 生物

畑で冬野菜を植える作業をしていると,ツチガエルがあちこちから飛び出してきました。

それで,ふと思ったのが,カエルはカエルを食べるかどうかという変な疑問。ところが,すぐにそれが氷解することとなりました。ツチガエルがトノサマガエルを食べているのを目撃したのです。後ろ足を口にくわえていました。それに対してトノサマガエルは必死に逃れようとしていました。それにしてもびっくりしました。

ついでに昔の懐かしいいたずら遊びを試みました。近くに生えたエノコログサを採集して,穂先を少しだけ残し,カエルの近くに持っていくのです。 うまくいけば,口にします。それをポイッと手元に引き寄せれば,カエル釣りになるというわけです。

 
穂先を静止させていてはうまくいきません。まるで餌であるかのように,微妙に振動させます。それを見て,餌と勘違いしてカエルがあちこちから集まってきます。このときは7匹もやってきました。


すぐに口にするカエルがいます。 

 
それが餌にならないとわかると,すぐ吐き出します。

 
そのあたりのタイミングをうまく取って引き寄せると,カエル釣りは大成功! 昔の自分を思い出しました。 

 


ヤマトシジミの孵化,一部始終

2014-09-13 | ヤマトシジミ

ヤマトシジミの孵化全容を見届けるチャンスに恵まれました。しごとが休みということに加え,昼間の出来事だったので,幸いしました。 

9月9日の記事で取り上げた果表面の卵が,そのチャンスをプレゼントしてくれました。やはり,表側に卵が産み付けられていたのが功を奏しました。

果は,そのときはもう萎びていました。茎に付いた状態で観察すると,卵の中に黒っぽい影が見えました。たぶん幼虫の頭部だろうと判断して,果を採集。そうして変化を見ていくことにしました。 

 


卵の直径は1mmよりずっと小さいのですが,部分拡大すると,確かに頭部らしい影が見えます。

 

 
しばらくすると,卵の円周に沿って蓋部分が切り開かれ始めました。その奥に,頭が見えます。ここを出発点にして時間をカウントしていきます。

 


10分後。切り開かれた溝は全体の半分になりました。頭が動いているということは,からだ全体が回転しているということです。 

 


18分後。ほぼ溝が切り開かれました。その作業は,まるで缶詰の蓋を切り開くのとそっくり。 

 

 
20分後。蓋を切り終わると,幼虫が卵から出始めました。休むことなく動作は続いていきました。

 

 
22分後。出終わると,ほんのしばし殻の縁に取り付いていました。

 

 
28分後。卵から離れていました。このときの体長は0.9mmです。これで観察はおしまいです。幼虫が果に付いたままカタバミの株に置いておきました。

 

 
ヤマトシジミの幼虫の誕生もまた,わたしには感動物語でした。 

 


オオフタスジドロバチの巣作り作法

2014-09-12 | ハチ

木棚に置いた竹筒でオオフタオビドロバチが盛んに巣作りをしています。これまでにも取り上げたハチなのですが,改めて「ほほーっ!」と合点のゆくことがありましたので書きます。

竹の口は,たまたま斜めの断面になっています。それで,脚の置き場がしっかりあって,ハチにすれば出入りしやすいかたちのように思われます。口付近には乾いた土の,小さな粒のようなものがたくさんあります。ハチが巣作りの材料として準備しているものなのでしょうか。よくわかりません。


ハチは15分に1回程度,幼虫を抱えて帰ってきます。 そのタイミングを辛抱強く待ち構え,三脚にセットしたカメラを遠隔操作するのです。帰巣能力は大したものに思えます。いったい,どれぐらい離れたところにまで飛んで行くのか,どんなふうに景色を見ているのか,知りたいところです。もっとも,竹筒を少し動かすと,ハチはたちまち困ってしまうらしいので,ハチがわたしたちの見え方と同じようにものを見ていると思うのは早計です。

筒穴の直径は小さいので,餌を置いたハチは当然のことながら中で方向転換するわけにはいきません。それで,後ずさりして出口に戻ってきます。

 
そうして向きを変え,飛び立っていきます。

 
竹筒を利用した巣作り,幼虫の生き餌として残すために死なない程度に獲物を全身麻痺させる技,なんともおもしろい生態の持ち主が生き延びてきたものよと,感じ入ります。 

 


突然のイシガケチョウ

2014-09-11 | 昆虫

我が家のミニ果樹園で,イチジクの手入れをしているときのこと。イチジクの葉の間から,白っぽいョウが一羽舞い上がり,すぐに同じイチジクの葉に降りました。まったく思いがけない出来事でした。

おもしろいことに,葉の裏に付くと翅をベタッと広げた格好をしたのです。写真を撮ろうと思って,近づくと再び舞い上がりました。そうして,やっぱり葉の裏に舞い降りてきて,同じように翅を広げました。

図鑑では見たことがありますが,実物を見るのは初めてのチョウでした。そんなわけで,名は浮かんできません。風が吹くなか,指で葉を支え,かろうじて一枚だけ写真に残すことができました。


なんだかくわしく調べたくなって,大急ぎで自動車からビニル袋を持ってきて,採集しました。それを持ち帰って調べた結果,イシガケチョウと判明。

せっかくなので,いろんな角度から接写撮影をしておきました。相当にいろんな目に遭ったのか,翅の縁がボロボロ状態です。

 


撮影後,図鑑(『原色日本昆虫生態図鑑(Ⅲ)チョウ編』保育社刊 ほか)を調べて,「ほほーっ!」と驚く事実が見えてきました。分布の北限は三重県だとか(別の図鑑には,「紀伊半島以西」の記述あり),幼虫の食餌植物の一つがイチジクだとか,産卵は新葉・新芽にしかしないとか,です。

分布からみると,わたしが住む地域は境界近くだと思われます。ということは,ありふれたチョウなのではなく,珍しいチョウといってよさそうです。

それが果樹園のイチジクにいただなんて。「そしたら,もしかすると産卵に来ていたのかもしれない。卵を探してみたら?」。わたしの脳裏をかすめたのがこの“?”でした。