こんにちは、へちま細太郎です
ひなまつりだね
ぼくは1人っ子で、おとうさんには弟しかいないので、うちにはおひなさまがありません。
おじさんは、まだ27さいで結こんしていないので、ぼくにはいとこもいません。
おかあさんがどうしているのか、どんな人なのか、教えてもらっていないので、いとこがいるのか、さいこんして子どもがいるのかもわかりません。
でも、おかあんがどんな人なのか、考えたことがないの。だって、さいしょからいないんだから、思い出してみるとか、そうぞうしてみるとか、考えたことがない。
いなくてもこまらない。
だって、ごはんはおばあちゃんが作ってくれるし、おとうさんはいつも一しょにいてくれるし、それにおとうさんの友だちはへんな人が多くて、ちっともたいくつしないんだよ。
そのうちおとうさんの友だちの話をするね。
今日は、歯医者にいって昨日抜いた歯のしょうどくをしてもらって、アパートにはいかず、ほんとのおうち
のぼくのへやにいました。
おとうさんとおじさんはめったに帰ってこないけれど、おとうさんとおじさんのにもつは、ちゃんとへやにしまってあります。
ぼくは、おとうさんのへやにこっそり入って、もの入れにしまってあるはこをあけてみました。
おとうさんの小さいころの本やおもちゃがたくさんしまってありました。アルバムもありました。
アルバムをあけてみると、あかちゃんのぼくがうつっているしゃしんがありました。でも、ずいぶん古いなあ。。。と、思ったら、ぼくじゃなくておとうさんでした。
なんだ、ぼく、おとうさん似なんだ・・・。
え・・・
気をとり直して、またアルバムをめくっていると、きものをきた女の子のしゃしんがはってありました。おとうさんとおじさんによくにていて・・・つまり、ぼくにもよくにていて
・・・おひなさまの前で、にっこりわらっていました。
だれだろう。おとうさんに、女の子のきょうだいがいたのかな。
ぼくは、1かいへおりて、おばあちゃんとおじいちゃんにアルバムを見せて、
「これ、だれ?」
とききました。
おばあちゃんはめがねをかけて、しゃしんを見ていましたが、きゅうにげらげらとわらいだしました。おじいちゃんもなんだなんだといって、めがねをかけてアルバムをのぞきこみました。と、やっぱりげらげらと大笑いです。
「ね、だれのしゃしん?おとうさんに、おねえさんかいもうとがいたの?それとも、ぼくにおねえさんがいるの?」
「細太郎、これ、おとうさんだよ」
と、おばあちゃんがおしえてくれました。
「え?おとうさん」
「これはね、おばあちゃんのおひなさまを飾ったのよ。おとうさんがね、どうしてもおひなさまが欲しいというから、おばあちゃんのうちから持ってきたのよ」
「じゃあ、おとうさん、なんでこんなかっこしてるの?」
ぼくは、泣くたくなってきました。おとうさんが、女の子のかっこをしているなんて
「おとうさんね、昔からスカートはいたり、ブラウスをきたり、お化粧したり女の子のかっこうをするのが大好きだったのよ」
「なんでえ」
おとうさんが、おとうさんが・・・
「おとうさん、リカちゃん人形が大好きだったのよ」
きゃああああああああああああ
「まだ、しまってあるんじゃないか、リカちゃん。確か、リカちゃんハウスも買ってやったなあ」
おじいちゃんが、アルバムをめくりながらなつかしそうにいいました。そして、
「ほれ、この写真、リカちゃん人形と同じかっこうで写っているよ。みてごらん」
と、ぼくにアルバムを向けて、1枚のしゃしんを見せました。
見たくない、見たくない、見たくないけど、こわいもの見たさだ。
しゃしんには、リカちゃん人形と同じかっこうをした、ぼくとよくにた顔をしたおとうさんがまちがいなくうつっている
ぼくは、2かいにもどって、もの入れのおくに入りこんで、さらになにかあるかさがしてみました。と、一番おくにがんじょうなはこがありました。
これか?これか?
ぼくは、うんうんいいながらはこを外にひっぱりだして、そしておとうさんのひみつのはこを、ついにあけてしまいました。。。
ああ、あったあ
りかちゃんだあ
りかちゃんハウスだあ
ああ、これはっ、ば、ば、ば、・・・
バービー人形だあ
お、おとうさん・・・
ぼく、おかあさんにあいたい