はあい、ベイビー、ぼくのキティちゃんたち
、藤川だよ~
。
なんか、元気ないって?勢いがない?
そりゃ、当たり前さあ。俺にとってのビタミン剤は女の子だからね。それが、今日はあの親子のおかげでヘロヘロ~。
え?リカちゃんになつかれたからよかったろって? 犬に頬を寄せられても嬉しくも何ともねえぜ、バカ野郎。。。
こ~いっちゃんの弟の剛は、SITだかSATだか知らないが、なんだかえらそうなことを言って突入を試みようとしている。
まぢ、大丈夫かあ?
「細太郎、君はすでに包囲されている」
は?
「速やかに投降しなさい」
何言ってんだこいつ。
「細太郎、このまま立てこもるつもりならば、強硬手段もやむをえない」
おい、おい。
「細太郎、おとうさんが泣いているぞ」
・・・。
「おばあさんも落ち込んでいるぞ」
確かに、天変地異がおこる前触れのようだ。
「おじいさんも心配しているぞ」
それは、うそだな。
中からは全く応答がない。
剛は振り向くと、
「それでは、ぜろぜろさんまるじ、突入です」
なんだ、それは・・・。
「おい、わかるように説明しろ」
「だからね、12時30分に部屋に乗り込むってことですよ」
「ガキ1人に、やけに大げさだな」
「何言ってんですか、基本が大事ですよ基本が」
「マニュアルってやつか・・・」
俺、こいつの対する評価改めよう・・・。こんなアホだとは思わなかった・・・。
「では、いきますよ~」
ドアに手をかけ思いっきり引っ張ろうとしたが開かない。
チェーンを引きちぎるつもりかい。。。
しばらく、うんうんうなっていたが、
「見てないで手伝ってくださいよ」
と、真っ赤な顔をしている。
「やだね」
俺は、首をふる。
「俺には体力勝負は似合わない」
すかさず剛は、
「婦警との合コン」
と言ってきた。
「やる」
俺は、飛びついた。
剛はドアの隙間に足を入れ、俺はノブを握った。
「せえので、いきま・・・いってえ」
剛は、足のすねを押さえて転がった。
「どした?」
俺は、悶絶している剛を顔をのぞきこむと、
「あついつ、すねを蹴りやがった」
そりゃ、痛いわ。。。
「おまえ、SITってほんとかあ~?」
俺は、剛の体を跨いでドアの隙間から中の様子を窺いながら、たずねた。
「先輩がSITで、個人的にレクチャー受けただけですよ」
「バカか、それじゃあ、何でもなかろうが」
と、俺は剛から視線を再び中に移した途端に、べちゃっと顔に何かがぶつかった。
「ひえっ、な、なんじゃあこりゃあ」
俺は、顔にぶつけられたものを手にとってみた。
豆腐に納豆が混ぜ込んだやつだ。
「細太郎、てめえこのクソガキ
」
俺は、確かに納豆と豆腐の混ぜたものは好きだが、ぶつけられるのは好きじゃねえ。俺は、これから合コンなんだ。
このクソッタレ親子
俺は、剛をふんずけ、
「いて、いて、藤川さん、痛い」
「やかましい黙ってろ
この役立たず
」
と、剛を怒鳴りつけると、
「細太郎、ここまでやるのなら、覚悟をしてんだろうな。俺を怒らせるのは、ガキの分際で100年はえんだ」
俺は、元ヤンキーなんだ。ガキでも容赦しねえ。。。
・・・。