姫先生のおめめ

25年間の養護教諭の経験と脳科学、波動理論から引き出すレジリエンス向上について書いています。

いじめの取材と報道 そして「やらせ」・・・・取材記者さんや番組ディレクターの思いに触れてきました。

2007年10月29日 | メディアリテラシー

 今日は 土曜授業参観の代休です。孫とのんびり~。

 昨日は、久々に、メディアリテラシーの研究会《東京》に行ってきました。


 今回は、以下のお二人。 


渡辺真由子さん  

元テレビ局記者として、「いじめ自殺事件」の現場を取材。記者を退職後、かなだへ。現在、メディアジャーナリスト 慶応大学メディア・コミュニケーション研究所非常勤講師
 メディア・リテラシーの研究や、メディアが犯罪やジェンダー意識に与える影響分析、いじめ問題へのコメントを専門に、雑誌やテレビ、講演で  活動。 『オトナのメディア・リテラシー』 を10月に出版。

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村井明日香さん  番組制作会社を経てフリーディレクター。現在は,フジテレビ「報道2001」のディレクター業務をしながら、番組制作者と視聴者を結ぶメディア・リテラシーの実践活動に力を注いでいる。

 先日の記事で紹介したように、私が所属する 日本メディアリテラシー教育研究機構の定例会にいってきました。
 さて、さて、久々のこの会への参加。愛知からは、この会の愛知系列 愛知県メディアリテラシー教育推進機構(AMEC)http://amec01.org メンバー 3人が参加しました。愛知の研究会の例会が最近、開店休業状態でもあり、愛知のメンバーも久々の再開となりました。
 参加者は、この会の理事長でもある 千葉大学助教授 藤川氏をはじめ、テレビ局ディレクター、プロデューサー、現場教員、大学研究者、藤川ゼミ学生、その他メディアリテラシー関係の研究者・・・という、めっちゃ濃いメンバー。講師の話も熱ければ、その後の質疑や協議、意見交換も鋭いわ、熱いわ、おもろいわ。。。。

 私も、現場養護教諭そして、メディアリテラシー教育実践者として、いろいろな意見や質問をしてきました。

(1)いじめ報道について
 渡辺真由子さんは、ある「いじめ自殺事件」を取材する現場記者として、直接被害者の保護者や学校・加害者への取材をされました。今回お話では、その取材を通して、記者としてあるいは一人の人間として、いろいろな人の「悲しみ」「苦悩」にふれてこられたその思いが伝わってきました。
 私は、一番前で渡辺さんがお話される様子をキャリブレーションしながらお話を伺っていました。(NLPerですねぇ) 渡辺さんが、お話をされながら、その当時の思いを感覚でよみがえらせながら、思いを込めて話される様子が印象的でした。
その姿から、この方の人間的な温かさと「いじめ」を絶対になくしたいという熱い思いが伝わってきました。
 そして、メディアにかかわる人間として、メディアが抱える問題、そしてメディアの力というものについて、真摯に取り組もうとしていらっしゃる姿がとても印象的でした。
 (より詳しい内容については、今後メディアリテラシー教育21のメルマガで紹介されると思いますので、ご購読ください)

 いじめ自殺についての質疑応答、意見交換では、いじめ報道にありがちな学校の隠蔽体質、加害者側の取材拒否、取材者のモラル、番組制作の立場でのモラルの育成、公正な報道、こうした問題を学校のメディアリテラシー教育としてどんなことができるかなど、熱い・・・熱すぎる議論が交わされました。

 私は、この議論の中で、いじめという問題が「いじめ」以外の多くの問題が絡んでいることを指摘しました。学校の事情とか体質というものの他に、他の子どもたちへの精神的な影響とともに、「いじめた」「いじめられた」の関係の裏にあるさまざまな事情が、学校現場でのいじめ対策の壁になっている現状をお話しました。

 また、学校への取材に関しては、学校側を単に「隠蔽体質」としてかたづけるのではなく、学校という場のさまざまな状況をメディア自身が積極的に理解する姿勢を求めてきました。同時に、メディアが持つ力というものを、「権力」として行使しするのではなく、本当にいい形で「教育」に貢献してほしいと意見を述べてきました。

 その他の参加者の方々からの意見を以下に列挙します。ひとつの立場に阻止栄としすぎると見えなくなるものがある。だからこそ、いろいろな立場のお話を聞くことで、自分の入り込みすぎから、ちょっとだけ、ディソシエイトできる戸感じました。

☆(Y大学 M先生)
学校だけに隠蔽体質があるのだろうか?政治の世界にも経済界にもまた、メディア自身にも隠蔽体質がある。メディアは自らの問題に関しては、報道であまり取り上げないという問題点に目を向ける必要がある。もっと言及するなら個人にだってだれにも隠蔽体質がある。


☆(テレビ局ディレクター)
社内においても、モラルの研修会を行っている。しかし、転属が早いこの世界では、研修を受けないまま記者として現場を取材するものもある。社内では、WHO《世界保健機構》が、いじめ自殺防止ということで、報道のあり方に勧告を出している内容 ※こちらのサイトがわかりやすいです)・・・以前このことは、このブログでも触れたことがあります)をもとに、社内研修を実施している。


☆こうした問題を子どもたちに考えさせる一つの教材として、WHOの勧告を活用するのはどうか?たとえば、「朝ズバ!」では、WHOの勧告とまったく逆の報道の仕方で、この問題を扱っていた。(被害者の顔写真のアップ・遺書を一字一句映し出す、そしてエモーショナルな語り口調)この比較などをしてみるなど


☆(T大学 F氏)
 再発防止というのは、何を「防止したいのか」それを明確にしたい
今の報道のあり方は本当に再発防止になっているのか


☆(N中 教師K氏)
 藤原和博氏といっしょに「世の中科」を作っている。こうした問題を学校、地域とともに考える授業にしていきたい。


☆(桑原)いじめそのものを取り上げる授業では「いじめをしないように」という消極的な目標になりがち。「一人一人がすばらしい存在」という深い視点でのいのちの授業をおこなってみたところ、いじめや自殺などのいうことに直接ふれなくても、生徒はそこにつなげてかんがえることができた。そうした取り組みが養護教諭によって行われていることも知ってほしい。

 などなど、ちょっと書ききれないくらいの「濃~い!」「熱~い!」「するどぉい!」&「マニアック??」な時間でした。とても刺激的で勉強になりました。


 あ~。メディアリテラシーの授業をやりたいよぉ。本校「生き方学習」にひとつとして。。。。授業開発に集中できた日々が懐かしいですわ・・・

 さて、もうひとつのテーマ「やらせ」についても、とても興味深いものでありましたが、この内容につきましては、メルマガ メディアリテラシー教育21で後日報告があると思います。そちらをご覧ください。


最後にとっておきのお知らせ!!

本校では、平成19年12月3日《月》 13時半より 学校保健委員会を開催します。
その中で「携帯電話 ネットと中学生」ということで、アンケート調査の報告、アンケート結果をもとにした寸劇、そして、さまざまな立場のかたがたをお招きしてのパネルディスかションを行います。
このパネラーの一人に、今回「いじめ報道」の講師をされた 渡辺さんにきていただけることになりました。
 会の中では、「ネットいじめ」についても触れていきます。

 たくさんの保護者の方、地域の方にご参加いただければと思います。
 
 詳細は、また、お子様を通じてお知らせいたします。



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