皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

飛び出せ!釣り仲間~北河原大池編~

2019-05-18 23:34:34 | 日記

 風薫る五月。皐月も半ばを過ぎ、早い所では田植えも終わり、新緑もその色を益々深くしているところ。皐月は耕作を意味する古語「さ」から稲作の月として「さつき」となったという。「皐」には「神にささげる稲」という意味合いもあるという。

一方、五月は月初に連休があり(今年は10連休)、また母の日は毎年第二日曜日であることから、半ばを過ぎると生活の面ではやや落ち着く傾向にある。私見だが、自動車税の納期も近く、経済的(私の働く食品流通業)には売り上げの伸びにくい時期だ。

 陽気も良く、かねてから約束していた釣りに出かけることにした。場所は行田市北河原の大池。昨年秋初めてニジマス釣りを経験し、今度は更に広い場所で釣りをしてみたいとの希望があった。先述した通り、大切なのは好奇心と行動力だと思い、釣り竿も用意し午前から出かけてみた。大池のことは以前たまたま近くの十二所神社を参拝した折、こうした自然の池が地元の有志によって釣り堀として整備されていることを知った次第。どことなく神の御導きを感じてしまう。

大池は古くに福川が決壊し、自然に沼となったところ、その底流が川とつながっていることから今日まで干上がることなくその姿を留めているという。福川の決壊地点には昔稲荷神社があり、「きりっと稲荷」(切所稲荷)と呼ばれている。現在は十二所神社に合祀されているようだ。

 水辺には鴨が遊び、福川の向こう利根川河川敷にはグライダーが飛び、とても静かで眺望も素晴らしい。こんな環境で半日釣りをして過ごせるとは以前では考えられなかった。始めて1時間、我慢の甲斐あって一度だけ針にかかった魚の感触を味わうことができた。但しその後は経験不足から一匹も吊り上げることなく終わってしまった。

 用意したたも網も活躍することなく終わってしまったが、水辺に座り浮きを見つめ、風の音を聞きながら過ごす時間は、日常とは別の記憶にのこるものになった。

非日常とは複雑で特別誰かが用意してくれるものではなく、身近にありながら、自分の思いで踏み出す一歩のことだと感じる。

「こうしたい、やってみたい、見てみたい」という気持ちをこれからも行動することで実現してほしいと思う。

 

 

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北河原 十二所神社

2019-05-18 21:17:27 | 神社と歴史 忍領行田

 行田市立北河原小学校の傍らに立つ村社十二所神社。其のすぐ北側には悪水の福川、並んで利根川が流れている。

これほど近くに大きな河川が流れていながら当地は水の取り入れ口がないため荒川の堰から農業用水を引いているという。(元荒川水利)

神社の創建は不明ながら口碑によれば村の開拓時熊野大社から勧請したという。御祭神は天神七代・地神五代命。

 天神七代とは国之常立神、豊雲野神、宇比地爾神(ういじにのかみ)、角杙神(つのぐいのかみ)、意富斗能地神(おほとのじのかみ)、於母陀流神(おもだるのかみ)、伊邪那岐神。そして地神五代とは天照大御神、天忍穂耳命、邇邇芸命、彦火火出見命(山幸彦)、鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)。総じて初代神武天皇の前12代の天神地祇を総じて十二所神社と称している。

朱塗りの春日造りの社殿は江戸期の建物で万延元年(1860)に再建していることが分かっている。地元では権現様と呼んで、婦人守護と安産の御利益があると信仰されている。古くは子を宿すと箒を神社に供えたという。これはお産が軽くなるというまじないであったという。神事に風祭があり、八月二八日に嵐除けとして行われる。これは皿尾の大雷神社にもあり、二百十日の風に稲が揉まれると実を付けなくなるといわれることから、台風を除ける祈願を行う。尚立春から数えて二百十日は九月一日に当たり、この前後は昔から台風が多かった。

本殿裏には稲荷様が祀られれている。これは元々土手の切所近くにあって「きりっと稲荷」と呼ばれたが、ある年大水で稲荷様が流されてこの名がついたという。その跡地は現在「大池」と称されて地元の人たちによって整備され釣り堀として多くの人が集まるようになっている。

小学校の脇には子育て地蔵が立っている。このお地蔵様は夜泣きの子供を諭してくれるといわれ縁日の八月二十三日には団子が供えられるという。

北河原は古くは源平の合戦「生田の森の戦い」で先陣の名乗りを上げた河原兄弟の弟河原次郎の領地であったことでも知られている。

 

 

 

 

 

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