富士と筑波の峰清く・・・
高校の校歌は美しい山の景色を唄いだしにしている。「西に富士、東に筑波」と称されるように関東において美しい峰として知られる筑波山。昨日の紅葉狩りも思い切って筑波まで足を延ばそうかと考えていたが、道のりの長さから断念し長瀞に出向いた。筑波周辺も今頃紅葉の見ごろを迎えているのだろう。筑波山の雅名を「紫峰」といい、山肌が夕日に照らされる様子が紫に見えることに由来する。別名ではなく、雅名というところがまた格別に趣がある。
昨日思いもよらず、近所の家から紫峰醤油を頂いた。先日旅行の際、バス乗り場まで送迎したことの御礼だと出向いてくれた。かえって高級醤油を頂くことになり、恐縮してしまったが昔の記憶もよみがえり、ことのほかうれしかった。以前食品卸に勤めていた際、この紫峰醤油を扱っていた。15年以上も前のことだ。直取りではなく、大手問屋の帳合であったが埼玉でも引き合いがあり、在庫も持っていた。老舗の醤油だけに、そのころからメディアにも取り上げられていた。製造は茨城県土浦市の柴沼醤油。関東の三大醤油醸造地は野田、銚子、土浦と言われている。野田といえばキッコーマン。銚子はヤマサとヒゲタが有名だ。
江戸時代に普及した醤油は上方中心であったが、江戸の人口が増え、大市場に成長すると、菱廻船や樽廻船が江戸と大坂を結び、「下り醤油」と珍重された。上方から下って来るものは「下りもの」として高級品扱い。反対に江戸周辺のものは「下らないもの」として下級品扱いであったという。諸説あるようだが、すし屋の用語で醤油を「むらさき」と呼ぶのは筑波山の雅名である「紫峰」に由来するそうだ。また醤油のことを上品にいう時は「おしたじ(御下地)」と呼ぶようだがこれも「お常陸」から転じたものだという。刺身のことを「御造り」漬物のことを「おこうこ」と呼んだりもする。醤油を表す印に亀甲が用いられているのは土浦城の別名「亀城」によるものだとも言われている。「キッコーマン醤油といえばすでに世界的食品メーカーだ。
寿司や醤油といった日本の食文化は世界に知られるようになった。その歴史について知ることで味もより理解できるようになるだろう。
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