「情けは人のためならず」を、人に情けをかけるとその人のためにならないのだと、誤解している人が多いことを、前に何かで知った。おいらは「情けは自分のためならず」だと思っている。
もう10年位前になる。クラス会で会った同級生と、その後、たまに飲むことがあった。仮にA君としよう。A君は、勤めを辞めて、新しく出来た彼女と東南アジアで宿屋を経営するつもりだという。オイラは止めた。なぜなら、A君の奥さんをよく知っていたからだ。
その後、どうやら離婚したらしい。ある日、電話がかかってきた。3万円貸して欲しいといってきた。本当に困っているらしい。貸してやったらすぐ返しにきた。
半年たった。今度は出張先からお金がなくなり帰れないとの電話があった。止めればよかったのだが、気の毒になって、言われるまま5万円振り込んだ。それっきりだった。
数年後、同僚の方にお会いする機会があった。たまたまA君の話が出たので、それとなくそのことを話すと、被害者はたくさんみえるとおっしゃる。思わず、5万円取られたんですよと話したら、それだけですかといったニュアンスが返ってきた。被害額はかなりに上るらしい。
あの後、風の便りでA君は、異国の地で変死を遂げたことを知らされた。まるでドラマだ。それ以後、人に情けをかけると、手痛い目にあうと信じている。気の毒がって“ええかっこ”など絶対してはいけないと思うようになった。
昨年の秋、別所温泉へ行く機会があり、前山寺を訪れたときのことだ。山門をくぐり、境内へ進むまでの参道脇に、小さな石塔が立っていた。そこに、こう文句が刻んであった。「かけた情けは水に流し、うけた恩は石に刻め」
今考えると、あの5万円は返してもらうつもりだったから、嫌な気分になったんだと思う。餞別のつもりなら後悔もしなかったろう。
それにしても、勿体なかった。今のオイラは、施しを受けたいくらいだから。
やっぱり返してくれ!声が小さいとあの世まで届きそうもない。
もう10年位前になる。クラス会で会った同級生と、その後、たまに飲むことがあった。仮にA君としよう。A君は、勤めを辞めて、新しく出来た彼女と東南アジアで宿屋を経営するつもりだという。オイラは止めた。なぜなら、A君の奥さんをよく知っていたからだ。
その後、どうやら離婚したらしい。ある日、電話がかかってきた。3万円貸して欲しいといってきた。本当に困っているらしい。貸してやったらすぐ返しにきた。
半年たった。今度は出張先からお金がなくなり帰れないとの電話があった。止めればよかったのだが、気の毒になって、言われるまま5万円振り込んだ。それっきりだった。
数年後、同僚の方にお会いする機会があった。たまたまA君の話が出たので、それとなくそのことを話すと、被害者はたくさんみえるとおっしゃる。思わず、5万円取られたんですよと話したら、それだけですかといったニュアンスが返ってきた。被害額はかなりに上るらしい。
あの後、風の便りでA君は、異国の地で変死を遂げたことを知らされた。まるでドラマだ。それ以後、人に情けをかけると、手痛い目にあうと信じている。気の毒がって“ええかっこ”など絶対してはいけないと思うようになった。
昨年の秋、別所温泉へ行く機会があり、前山寺を訪れたときのことだ。山門をくぐり、境内へ進むまでの参道脇に、小さな石塔が立っていた。そこに、こう文句が刻んであった。「かけた情けは水に流し、うけた恩は石に刻め」
今考えると、あの5万円は返してもらうつもりだったから、嫌な気分になったんだと思う。餞別のつもりなら後悔もしなかったろう。
それにしても、勿体なかった。今のオイラは、施しを受けたいくらいだから。
やっぱり返してくれ!声が小さいとあの世まで届きそうもない。
