昨年4月14日、第1回「復興構想会議」が開催された。五百旗真・議長は、冒頭の挨拶で、いきなり「増税」を口走った。裏に、会議を取り仕切る財務省がいたことは明らかだ。
政府のこの種の会議には、庶務担当が置かれる。庶務担当は、会議のスケジュールから議題まですべてを仕切る。仕切る庶務担当の意向によって、議論の内容や結論が如何ようにでも左右される(「庶務権」)。よって、誰が仕切るかがポイントになる。
復興構想会議は、復興構想会議運営条項第7条において、内閣官房が仕切ると定められた【注】。
具体的には、被災地復興に関する法案等準備室だ。室長は、佐々木豊成・内閣官房副長官補(財務省から出向)だ。
会議のメンバーの人選も、「庶務権」が行使された。つまり、財務省に都合のよい人たちが集められた。
まず、メンバーに身内を送り込んだ。復興税を集中的に議論するための検討部会の大武健一郎・大塚ホールディングス株式会社代表取締役副会長(税務畑の財務省OB)がそれだ。
他も、財務省の「御用知識人」が多い。しかも、大武副会長を除けば、税に関する専門家がいない。大武副会長に対抗できる人がいない。大武副会長のリードによって部会が進んでいく。財務省は、自分たちの代弁者として大武副会長を起用し、他は反対意見が出ないメンバー構成にしたのだ。
仮に財務省の意に沿わない意見の持ち主が間違って交じってしまったとしても、彼/彼女が税に詳しくなければ丸め込むのはさほど難しくない。「会議のスケジュール調整」や「会議の説明」と称して接触する際、庶務担当は「ご説明」する。経済に詳しくない有識者は、「ご説明」でコロリとやられてしまう。
五百旗議長以下、委員たちは決まって復興増税に言及した。しかも、その理由は判を押したように同じ、国民全員で負担しよう、だった。「ご説明」でメンバーの隅々まで洗脳されたことがよくわかる。洗脳されなかった人もいたが、多勢に無勢だった。
結局、財務省の考える復興構想会議の役割は、増税に世論を持っていくことだった。
そのため、報告書は6月末までずれこんだ。なぜ6月末なのか。7月はじめになると、前年度税収の係数がわかり、剰余金処理できる数字がわかる。その前に本格的な復興予算の話になると国債増発が避けられない。1,000年に1度の災害だからそれでもよいと国民が考えても、財務省としては国債を発行したくない。その次の三次補正で国債を発行しても、その償還財源で増税に結びつけたいから、二次補正では国債をどうしても発行したくなかったのだ。
7月までに二次補正できないようにするため、復興構想会議が使われた。会議メンバーの善意を財務省は利用し、二次補正の日程をずらしたのだ。
財務省は、民主党内にも手を回し、税制改正プロジェクトチ-ム(小沢鋭仁・座長/元環境相)で、復興連帯税の導入を検討させている。
国民の合意を得やすい復興連帯税を時限増税としてまず導入し、復興が一段落したところで、そのまま社会保障目的に更衣して消費増税になだれ込むのが、財務省の戦略だった。
更衣戦略は火事場泥棒のようなものだ、と反発と非難を呼び、一時鎮静化したが、昨年6月、復興構想会議が復興財源として法人税、所得税の臨時増税を総理に提言し、再浮上した。
【注】「東日本大震災復興構想会議の開催について」
以上、高橋洋一(元大蔵相理財局資金企画室長)『財務省が隠す650兆円の国民資産』(講談社、2011)に拠る。
【参考】「【官僚】政策立案の成功が続く最大のからくり ~審議会システム~」
「【政治】官僚が政治家をあやつるテクニック ~財務省による民主党支配~」
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政府のこの種の会議には、庶務担当が置かれる。庶務担当は、会議のスケジュールから議題まですべてを仕切る。仕切る庶務担当の意向によって、議論の内容や結論が如何ようにでも左右される(「庶務権」)。よって、誰が仕切るかがポイントになる。
復興構想会議は、復興構想会議運営条項第7条において、内閣官房が仕切ると定められた【注】。
具体的には、被災地復興に関する法案等準備室だ。室長は、佐々木豊成・内閣官房副長官補(財務省から出向)だ。
会議のメンバーの人選も、「庶務権」が行使された。つまり、財務省に都合のよい人たちが集められた。
まず、メンバーに身内を送り込んだ。復興税を集中的に議論するための検討部会の大武健一郎・大塚ホールディングス株式会社代表取締役副会長(税務畑の財務省OB)がそれだ。
他も、財務省の「御用知識人」が多い。しかも、大武副会長を除けば、税に関する専門家がいない。大武副会長に対抗できる人がいない。大武副会長のリードによって部会が進んでいく。財務省は、自分たちの代弁者として大武副会長を起用し、他は反対意見が出ないメンバー構成にしたのだ。
仮に財務省の意に沿わない意見の持ち主が間違って交じってしまったとしても、彼/彼女が税に詳しくなければ丸め込むのはさほど難しくない。「会議のスケジュール調整」や「会議の説明」と称して接触する際、庶務担当は「ご説明」する。経済に詳しくない有識者は、「ご説明」でコロリとやられてしまう。
五百旗議長以下、委員たちは決まって復興増税に言及した。しかも、その理由は判を押したように同じ、国民全員で負担しよう、だった。「ご説明」でメンバーの隅々まで洗脳されたことがよくわかる。洗脳されなかった人もいたが、多勢に無勢だった。
結局、財務省の考える復興構想会議の役割は、増税に世論を持っていくことだった。
そのため、報告書は6月末までずれこんだ。なぜ6月末なのか。7月はじめになると、前年度税収の係数がわかり、剰余金処理できる数字がわかる。その前に本格的な復興予算の話になると国債増発が避けられない。1,000年に1度の災害だからそれでもよいと国民が考えても、財務省としては国債を発行したくない。その次の三次補正で国債を発行しても、その償還財源で増税に結びつけたいから、二次補正では国債をどうしても発行したくなかったのだ。
7月までに二次補正できないようにするため、復興構想会議が使われた。会議メンバーの善意を財務省は利用し、二次補正の日程をずらしたのだ。
財務省は、民主党内にも手を回し、税制改正プロジェクトチ-ム(小沢鋭仁・座長/元環境相)で、復興連帯税の導入を検討させている。
国民の合意を得やすい復興連帯税を時限増税としてまず導入し、復興が一段落したところで、そのまま社会保障目的に更衣して消費増税になだれ込むのが、財務省の戦略だった。
更衣戦略は火事場泥棒のようなものだ、と反発と非難を呼び、一時鎮静化したが、昨年6月、復興構想会議が復興財源として法人税、所得税の臨時増税を総理に提言し、再浮上した。
【注】「東日本大震災復興構想会議の開催について」
以上、高橋洋一(元大蔵相理財局資金企画室長)『財務省が隠す650兆円の国民資産』(講談社、2011)に拠る。
【参考】「【官僚】政策立案の成功が続く最大のからくり ~審議会システム~」
「【政治】官僚が政治家をあやつるテクニック ~財務省による民主党支配~」
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