(1)8月19日付け読売新聞の一面は、東芝の「不適切会計」問題をとりあげている。
しかし、「不適切会計」は正確には「不正経理」だ。粉飾決算で株式の上場廃止になってもおかしくない問題だ。
それをなぜ「不適切」と表現するのか。
盗聴法が批判された時、政府が「通信傍受法」と表現してほしいと要望するや、大手紙は軒並みにそう書き改めた。
十五年戦争の敗戦を「終戦」と言い換えるようなものだ。
大手紙は、なぜ独自の表現を貫かないのか。
(2)むろん、東芝の経営陣がデタラメなのだが、何年もその粉飾を見抜けず、「適正意見」を出し続けた新日本監査法人の責任も問われなければならない。
カネボウの粉飾決算でつまづいた中央青山監査法人は解散に追い込まれた。
新日本も同じ道をたどるのか。
(3)米国の巨大企業エンロンの粉飾決算には、代表的な会計会社(アーサー・アンダーセン)が手を貸した。エンロンの倒産後、アーサー・アンダーセンも倒産に追い込まれた。
ケネス・レイ・エンロン会長兼CEOは、ジョージ・ブッシュ(ブッシュJr)の父親(パパ・ブッシュ)の後援者であり、ジョージ・ブッシュとも親しかった。チェイニー・副大統領(当時)との関係も深く、エンロンは多額の政治献金を行っていた。
それでもエンロンは潰れたのだ。
しかし、「読売」などが「不適切会計」と書き続けたら、東芝の闇は解明されないだろう。
(4)OBの西室泰三・日本郵政社長は、東芝に隠然たる影響力を持っている、と言われる。彼は、「安倍談話」に係る有識会議の座長だった。
だから、安倍晋三の応援紙である「読売」は騒ぎを大きくしたくないとして「不適切会計」と書くのかもしれない。
(5)これが粉飾でないなら、何が粉飾なのだ・・・・というほどのデタラメが発覚したのは、東芝の内紛が原因と言われる。
西田厚聰・相談役と佐々木則夫・副会長の確執が爆発したのだ。
6年前、西田は社長の座を佐々木に譲った。
西田は、東大大学院で政治学を学んでいる時、イランから丸山眞男研究室に官費留学していた女子留学生と恋に落ち、帰国した彼女を追ってイランで結婚した【『FACTA』7月号】。パソコン部門出身で、「ダイナブック」を世に送り出した。
「遣り手」だが、財界活動にも野心満々で、御手洗富士夫・キャノン会長の後の経団連会長をねらっていた。
しかし、岡村正・日本商工会議所会頭(当時)も東芝の出身で、経団連も日商も東芝というわけにはいかず、西田は涙を飲んだ。
(6)一方、佐々木は安倍に近づいて経済財政諮問会議委員となり、経団連副会長のポストも得た。
これが西田には気に入らない。2013年2月には社長交代の記者会見で、
「英語が話せないし、社内で会議ばかりやっている」
と非難する西田に、
「東芝を成長軌道に乗せた」
と佐々木が反論して言い合いになる醜態を見せた。
遂には、自分が引き上げた佐々木を西田が、
「なにしろ結婚もしたことのない男だから、子どもっぽくて言い出したらきかない。独善もあそこまでいくと害悪」
とまで決めつけたとか。
(7)西田は、佐々木を倒すために西田側の人間が証券取引等監視委員会に内部告発したのだ、と言われる。
凄まじい内部抗争だが、シャープを助けてやれ、と銀行に圧力をかけた安倍官邸の影もチラホラ見え隠れする。
□佐高信「「不正」に味方する「不適切」 ~佐高信の「新・政経外科 44~」(「週刊金曜日」2015年8月28日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【古賀茂明】東芝の粉飾問題 ~「報道の粉飾」~」
「【社会】大政翼賛社会の不気味さ ~東芝問題と「ゆう活」~」
「【東芝】「不正会計」の主役は安倍ブレーン ~産業競争力会議の犯罪者~」
しかし、「不適切会計」は正確には「不正経理」だ。粉飾決算で株式の上場廃止になってもおかしくない問題だ。
それをなぜ「不適切」と表現するのか。
盗聴法が批判された時、政府が「通信傍受法」と表現してほしいと要望するや、大手紙は軒並みにそう書き改めた。
十五年戦争の敗戦を「終戦」と言い換えるようなものだ。
大手紙は、なぜ独自の表現を貫かないのか。
(2)むろん、東芝の経営陣がデタラメなのだが、何年もその粉飾を見抜けず、「適正意見」を出し続けた新日本監査法人の責任も問われなければならない。
カネボウの粉飾決算でつまづいた中央青山監査法人は解散に追い込まれた。
新日本も同じ道をたどるのか。
(3)米国の巨大企業エンロンの粉飾決算には、代表的な会計会社(アーサー・アンダーセン)が手を貸した。エンロンの倒産後、アーサー・アンダーセンも倒産に追い込まれた。
ケネス・レイ・エンロン会長兼CEOは、ジョージ・ブッシュ(ブッシュJr)の父親(パパ・ブッシュ)の後援者であり、ジョージ・ブッシュとも親しかった。チェイニー・副大統領(当時)との関係も深く、エンロンは多額の政治献金を行っていた。
それでもエンロンは潰れたのだ。
しかし、「読売」などが「不適切会計」と書き続けたら、東芝の闇は解明されないだろう。
(4)OBの西室泰三・日本郵政社長は、東芝に隠然たる影響力を持っている、と言われる。彼は、「安倍談話」に係る有識会議の座長だった。
だから、安倍晋三の応援紙である「読売」は騒ぎを大きくしたくないとして「不適切会計」と書くのかもしれない。
(5)これが粉飾でないなら、何が粉飾なのだ・・・・というほどのデタラメが発覚したのは、東芝の内紛が原因と言われる。
西田厚聰・相談役と佐々木則夫・副会長の確執が爆発したのだ。
6年前、西田は社長の座を佐々木に譲った。
西田は、東大大学院で政治学を学んでいる時、イランから丸山眞男研究室に官費留学していた女子留学生と恋に落ち、帰国した彼女を追ってイランで結婚した【『FACTA』7月号】。パソコン部門出身で、「ダイナブック」を世に送り出した。
「遣り手」だが、財界活動にも野心満々で、御手洗富士夫・キャノン会長の後の経団連会長をねらっていた。
しかし、岡村正・日本商工会議所会頭(当時)も東芝の出身で、経団連も日商も東芝というわけにはいかず、西田は涙を飲んだ。
(6)一方、佐々木は安倍に近づいて経済財政諮問会議委員となり、経団連副会長のポストも得た。
これが西田には気に入らない。2013年2月には社長交代の記者会見で、
「英語が話せないし、社内で会議ばかりやっている」
と非難する西田に、
「東芝を成長軌道に乗せた」
と佐々木が反論して言い合いになる醜態を見せた。
遂には、自分が引き上げた佐々木を西田が、
「なにしろ結婚もしたことのない男だから、子どもっぽくて言い出したらきかない。独善もあそこまでいくと害悪」
とまで決めつけたとか。
(7)西田は、佐々木を倒すために西田側の人間が証券取引等監視委員会に内部告発したのだ、と言われる。
凄まじい内部抗争だが、シャープを助けてやれ、と銀行に圧力をかけた安倍官邸の影もチラホラ見え隠れする。
□佐高信「「不正」に味方する「不適切」 ~佐高信の「新・政経外科 44~」(「週刊金曜日」2015年8月28日号)
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【参考】
「【古賀茂明】東芝の粉飾問題 ~「報道の粉飾」~」
「【社会】大政翼賛社会の不気味さ ~東芝問題と「ゆう活」~」
「【東芝】「不正会計」の主役は安倍ブレーン ~産業競争力会議の犯罪者~」
安倍は大き過ぎて潰せない、と言い出し税金(国民の金)を投入するだろう。その爪後は何時現れるのだろう。
財務省がどれ程隠しても、その内世間に出てくる。
特にアホノミクス状態で経済成長しないのだから早晩噴出するだろう。
いくら御用新聞が隠しても、三菱重工の9800億など色々重なれば隠しきれない。