語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】中野重治「しらなみ」

2015年07月05日 | 詩歌
【詩歌】中野重治「しらなみ」

 ここにあるのは荒れはてた細ながい磯だ
 うねりははるかな沖なかに湧いて
 よりあいながら寄せてくる
 そしてここの渚に
 さびしい声をあげ
 秋の姿でたおれかかる
 そのひびきは奧ぶかく
 せまった山の根にかなしく反響する
 がんじょうな汽車さえもためらいがちに
 しぶきは窓がらすに霧のようにもまつわってくる
 ああ 越後のくに 親しらずの市振(いちふり)の海岸
 ひるがえる白波のひまに
 旅の心はひえびえとしめりをおびてくるのだ

□中野重治「しらなみ」(『中野重治詩集』(岩波文庫、1978))
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 【参考】
【詩歌】中野重治「浦島太郎」
【詩歌】中野重治「豪傑」

 

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