【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。
<大串章選>
①秋といふ駅に降り立つ目覚めかな (東京都)青木千禾子
②初鴨に湖(うみ)の光の新しく (鹿児島市)青野迦葉
③灯を消して人間の闇虫の闇 (長野市)縣展子
⑨賢治忌や古民家カフェにセロ流る (弘前市)須藤一光
⑩居酒屋へ月の神社を通りけり (明石市)北前波塔
【評】第一句。爽やかな目覚め。秋晴れの一日であろう。第二句。初鴨が飛んで来ると、湖の光が新しくなる。第三句。「人間の闇」は辛辣(しんらつ)だが「虫の闇」は趣がある。虫の闇に心を解き放ち、人間の闇を消したい。
<稲畑汀子選>
①流星や見えぬ宇宙を見てゐたり (小樽市)伊藤玉枝
【評】一句目。流星を見ようと夜空を仰いだ作者。待ってもなかなか現れず、暗い宇宙を見つめる思い。(後略)
<金子兜太選>
②無人なる被曝(ひばく)の町の天高し (いわき市)馬目空
③三十回咀嚼(そしゃく)に釣瓶落しかな (松山市)正岡唯真
【評】(前略)馬目さん。被曝福島、秋草が寂しい。(後略)
<長谷川櫂選>
①物干しに子狸来たり月見るや (河内長野市)北阪英一
③桐一葉月の光を浴びて落つ (飯塚市)釋蜩硯
⑦伯父貴には伯母御がでんと敬老日(岐阜県揖斐川町)野原武
⑧人間も桃もおほかた皮と水 (北本市)萩原行博
⑨桔梗のごとき男にまだ逢はず (岡山市)三好泥子
【評】秋の夜長の句を三句。一席。狸には狸の世界がある。それは人間の世界より少し平和にみえる。(後略)
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年9月25日)
「朝日俳壇」
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【朝日俳壇抄】君以外覚えず高二の文化祭 ~9月18日~」
「【朝日俳壇抄】渾身のバックホームや雲の峰 ~9月10日~」
「【朝日俳壇抄】つむじ風空蝉そらを飛びにけり ~9月4日~」
「【朝日俳壇抄】蟻地獄あなたの帰り待つてます ~8月28日~」
「【朝日俳壇抄】八月や骨で還れの骨さへも ~8月21日~」
「【朝日俳壇抄】戦争の滴り落つる日本かな ~8月14日~」
「【朝日俳壇抄】渾渾と泉湧きくる日野原忌 ~8月7日~」
「【朝日俳壇抄】天の川鳴門の渦に流れ入る ~7月31日~」
「【朝日俳壇抄】ヒアリ来る地球はますます炎えてくる ~7月24日~」
「【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~」
「【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~」
「【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~」
「【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~」
「【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~」
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」
<大串章選>
①秋といふ駅に降り立つ目覚めかな (東京都)青木千禾子
②初鴨に湖(うみ)の光の新しく (鹿児島市)青野迦葉
③灯を消して人間の闇虫の闇 (長野市)縣展子
⑨賢治忌や古民家カフェにセロ流る (弘前市)須藤一光
⑩居酒屋へ月の神社を通りけり (明石市)北前波塔
【評】第一句。爽やかな目覚め。秋晴れの一日であろう。第二句。初鴨が飛んで来ると、湖の光が新しくなる。第三句。「人間の闇」は辛辣(しんらつ)だが「虫の闇」は趣がある。虫の闇に心を解き放ち、人間の闇を消したい。
<稲畑汀子選>
①流星や見えぬ宇宙を見てゐたり (小樽市)伊藤玉枝
【評】一句目。流星を見ようと夜空を仰いだ作者。待ってもなかなか現れず、暗い宇宙を見つめる思い。(後略)
<金子兜太選>
②無人なる被曝(ひばく)の町の天高し (いわき市)馬目空
③三十回咀嚼(そしゃく)に釣瓶落しかな (松山市)正岡唯真
【評】(前略)馬目さん。被曝福島、秋草が寂しい。(後略)
<長谷川櫂選>
①物干しに子狸来たり月見るや (河内長野市)北阪英一
③桐一葉月の光を浴びて落つ (飯塚市)釋蜩硯
⑦伯父貴には伯母御がでんと敬老日(岐阜県揖斐川町)野原武
⑧人間も桃もおほかた皮と水 (北本市)萩原行博
⑨桔梗のごとき男にまだ逢はず (岡山市)三好泥子
【評】秋の夜長の句を三句。一席。狸には狸の世界がある。それは人間の世界より少し平和にみえる。(後略)
□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年9月25日)
「朝日俳壇」
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【参考】
「【朝日俳壇抄】君以外覚えず高二の文化祭 ~9月18日~」
「【朝日俳壇抄】渾身のバックホームや雲の峰 ~9月10日~」
「【朝日俳壇抄】つむじ風空蝉そらを飛びにけり ~9月4日~」
「【朝日俳壇抄】蟻地獄あなたの帰り待つてます ~8月28日~」
「【朝日俳壇抄】八月や骨で還れの骨さへも ~8月21日~」
「【朝日俳壇抄】戦争の滴り落つる日本かな ~8月14日~」
「【朝日俳壇抄】渾渾と泉湧きくる日野原忌 ~8月7日~」
「【朝日俳壇抄】天の川鳴門の渦に流れ入る ~7月31日~」
「【朝日俳壇抄】ヒアリ来る地球はますます炎えてくる ~7月24日~」
「【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~」
「【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~」
「【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~」
「【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~」
「【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~」
「【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~」
「【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~」
「【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~」
「【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~」
「【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~」