偽装表示をしていた一部のホテルや百貨店は、「メニュー表記は取引業者を信頼して、あらためて確認しなかった」などと説明している。
しかし、ホテルや百貨店に食材を納入している業者(下請けの食材業者)は、まったく違う説明をする。いわく、
近年、食材の原価が上がってきている。
にもかかわらず、ホテルや百貨店はデフレ下の競争で、年ごとに「価格を下げよ」と食材業者に求める。現に、納入価格は年々下がっている。
最近は安部政権の円安政策のせいで、輸入品の原価がさらに上がってきた。
食材の原価が上がっているのに、無理やり安い価格で納入しなければならない。しかし、品質を落とすことは認められない。
こうしたどうしようもない矛盾の中で、食材業者はどう生きればよいのか。
要するに、食材偽装の氾濫は、業界のズサンさ、いい加減さのため、というより、むしろ下請け業者の悲劇的な苦境の産物だった。
□田原総一朗「ホテル・百貨店を揺るがす食材偽装の「真犯人」は誰だ ~田原総一朗のギロン堂 751~」(「週刊朝日」2013年11月22日号)
*
【食】食材偽装は消費行動が解決する
(1)食材偽装問題は、悪いのはホテルや百貨店なので、厳罰で臨むべきなのは確かだ。
しかし、規制のため新たな法律を作り、監視機関を設置するのはいかがなものか。そのコストを税金で賄うならば、消費者=国民の負担が増える。
(2)レバ刺し問題もそうだが、経済原則から考えれば、政府が管理すべき問題ではなく、あくまでも個人が自分の判断で防衛すべき問題だ。
理屈は資産防衛と同じ。資本主義は、常にハイリスク・ハイリターンだ。リスクを負うからリターンも高い。
そもそも、「安くて、おいしくて、かつ安全な食材」など存在しない。どう考えても、トレードオフ(一方を取れば、他方は犠牲になる)の関係だ。
<例>高島屋は「ブラックタイガーを車海老と誤表示した」などと発表し、そのように報道されている。・・・・が、車海老がどれだけ高いものかを認識していれば、高島屋の「フォション」といえども、あの値段で売ること自体が怪しい。「車海老のテリーヌ」が578円で販売されていた時点で「ダウト」だ。
(3)「なんか違う」と気付いて、そんな商品は買わない。
あるいは、「高島屋も落ちたものだ」と見限って、ほかの商品も買わない。
そういう消費者行動をとることが、高島屋に危機感を抱かせ、つまるところ消費者サイドに有利に働く。
それが経済原則だ。
その経済原則に政府が介入し、税金を投入し、つまり国民がそのコストを負担するのは、明らかにおかしい。
(4)そもそも、車海老とブラックタイガーの味の違いがわからない消費者が存在するのだ。
倫理はさて措き、経済原則からすれば、そこに「誤魔化そう」とするインセンティブが働くのは明らかだ。
ブランドイメージを壊したくない、という経営判断との軋轢が、そこにあるだけだ。
食材偽装問題は、過剰反応は禁物だ。
□ぐっちーさん「食材偽装は消費行動が解決 ~ぐっちーさんのここだけの話~」(「AERA」2013年11月18日号)
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【参考】
「【食】消費者へお詫びしない体質 ~多発する食品偽装事件~」
「【食】中国から輸入している肉エキスの危険性」
「【食】「肥満の元凶」は小麦 ~ベストセラー『小麦は食べるな!』~」
「【食】偽装の背景 ~消費増税により偽装が拡大~」
「【原発】放射能と食の現在 ~福島産の魚、茨城産の栗~」
「【原発】除染道路の4割が効果なし ~福島県田村市~」
「【原発】新潟県知事「豹変」の陰に銀行圧力 ~柏崎刈羽原発~」
「【原発】【食】原子力問題と伝子組み換え(GM)問題の共通点 ~ムラ~」
「【原発】震度6でフクイチが崩壊する日 ~液状化~」
「【原発】東電による汚染と、東電の「汚染」 ~隠蔽体質~」
「【原発】太平洋に拡散する放射性物質 ~シミュレーション~」
「【原発】放射能の海で「おもてなし」 ~2020年東京五輪~」
「【原発】【食】魚への影響 ~過去・現在・未来~」
「【原発】銀行はボロ儲け ~汚染水に国費投入~」
「【原発】【食】関東の食材からセシウム ~安部首相的「安全」の実態~」
「【原発】最悪の事態を防いだ2つの幸運 ~失われた沃野と海~」
「【原発】汚染水を浄化できるか ~福島第一原発はどうなっているのか~」
「【原発】今、そこにある汚染水危機(3) ~次の震度6~」
「【原発】今、そこにある汚染水危機(2) ~汚染水は海で薄められるか~」
「【原発】今、そこにある汚染水危機(1) ~封じ込めは可能か~」
「【原発】安倍政権、「収束宣言」を撤回 ~汚染水~」
「【原発】廃炉費用を電気料金に上乗せ ~制度を変えた経産官僚は出世~」
「【原発】ウソだらけの汚染水「緊急」対策 ~安部首相の抽象論~」
「【原発】国の汚染水対策3つ ~「汚染水は海に流せ」?~」
「【原発】「東京五輪」を脅かすフクシマ ~ダダ漏れ汚染水地獄~」
「【原発】なぜ汚染水は漏れたか ~誤算・ケチケチ体質~」
「【原発】政権の最優先課題 ~汚染水と廃炉作業~」
「【原発】責任不明確な国の汚染水処理体制 ~再稼働よりも汚染水対策を~」
「【原発】「汚染水」の本当の深刻さ ~東電のコストカットが一因~」
「【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~」
「【原発】安部政権の演出と狙い ~高濃度汚染水の海洋流出~」
「【原発】福島第一原発で汚染水が海洋流出 ~漁民の被害は止まない~」
「【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介累から放射性セシウム~」
「【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出」
しかし、ホテルや百貨店に食材を納入している業者(下請けの食材業者)は、まったく違う説明をする。いわく、
近年、食材の原価が上がってきている。
にもかかわらず、ホテルや百貨店はデフレ下の競争で、年ごとに「価格を下げよ」と食材業者に求める。現に、納入価格は年々下がっている。
最近は安部政権の円安政策のせいで、輸入品の原価がさらに上がってきた。
食材の原価が上がっているのに、無理やり安い価格で納入しなければならない。しかし、品質を落とすことは認められない。
こうしたどうしようもない矛盾の中で、食材業者はどう生きればよいのか。
要するに、食材偽装の氾濫は、業界のズサンさ、いい加減さのため、というより、むしろ下請け業者の悲劇的な苦境の産物だった。
□田原総一朗「ホテル・百貨店を揺るがす食材偽装の「真犯人」は誰だ ~田原総一朗のギロン堂 751~」(「週刊朝日」2013年11月22日号)
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【食】食材偽装は消費行動が解決する
(1)食材偽装問題は、悪いのはホテルや百貨店なので、厳罰で臨むべきなのは確かだ。
しかし、規制のため新たな法律を作り、監視機関を設置するのはいかがなものか。そのコストを税金で賄うならば、消費者=国民の負担が増える。
(2)レバ刺し問題もそうだが、経済原則から考えれば、政府が管理すべき問題ではなく、あくまでも個人が自分の判断で防衛すべき問題だ。
理屈は資産防衛と同じ。資本主義は、常にハイリスク・ハイリターンだ。リスクを負うからリターンも高い。
そもそも、「安くて、おいしくて、かつ安全な食材」など存在しない。どう考えても、トレードオフ(一方を取れば、他方は犠牲になる)の関係だ。
<例>高島屋は「ブラックタイガーを車海老と誤表示した」などと発表し、そのように報道されている。・・・・が、車海老がどれだけ高いものかを認識していれば、高島屋の「フォション」といえども、あの値段で売ること自体が怪しい。「車海老のテリーヌ」が578円で販売されていた時点で「ダウト」だ。
(3)「なんか違う」と気付いて、そんな商品は買わない。
あるいは、「高島屋も落ちたものだ」と見限って、ほかの商品も買わない。
そういう消費者行動をとることが、高島屋に危機感を抱かせ、つまるところ消費者サイドに有利に働く。
それが経済原則だ。
その経済原則に政府が介入し、税金を投入し、つまり国民がそのコストを負担するのは、明らかにおかしい。
(4)そもそも、車海老とブラックタイガーの味の違いがわからない消費者が存在するのだ。
倫理はさて措き、経済原則からすれば、そこに「誤魔化そう」とするインセンティブが働くのは明らかだ。
ブランドイメージを壊したくない、という経営判断との軋轢が、そこにあるだけだ。
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【参考】
「【食】消費者へお詫びしない体質 ~多発する食品偽装事件~」
「【食】中国から輸入している肉エキスの危険性」
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「【原発】今、そこにある汚染水危機(1) ~封じ込めは可能か~」
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