カルテ番号 り・1(13)
祖母の能力は並外れて高かったのだと思う。
だが、決して商売にはしなかった。
そういう能力は他人に隠す方がいい。
そんな意味の事を幼い静に話してくれた憶えがある。
静にとっては普通の優しい祖母だった。
母も祖母ほどではないが、勘の鋭い方だったと思う。
母も勘の鋭さは、平穏な暮らしを邪魔すると言っていた。
人は知らなくていい事が沢山あるのだ。
知ってしまうと、摩擦が生じて、平穏になれない。
高校を卒業する頃の言葉だったが、静には意味がわからなかった。
女系に引き継がれた勘の鋭さを心配してくれていたのだろう。
知らない、解らない方が幸せなのよ。
真意は不明だったが、言葉だけを憶えている。
母の言葉の意味が解るのは、結婚してからだった。
人には秘密がある。
それに勝手に気づいてしまうのは、人と人との関係を壊す。
結局は、そういう静の勘の鋭さから離婚になった。
今は充分理解している。
知っても解らないふりをするのに慣れた。
知らない方が関係は壊れない。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~)