カルテ番号 り・1(25)
「それでも、何らかの理由でこちらに来られたのですよね。
住所は神奈川県ですね」
静は、どう説明しようかと迷った。
でも、昨日の柳玲香の言葉を思い出した。
正直に何でも言った方がいい、とアドバイスくれていたのだ。
「一週間ほど前に、急に不安感がありました。
その後、家から外に出るのが怖いと思いました。
思い切って受診した病院では、うつ病と言われました。
でも、私には、そう思えなかったのです」
院長は黙って聞いている。
「仕事上や人間関係でのストレスは溜まっていません。
それよりも、漠然とした土地からの不安感でした。
こちらに向かうにしたがって、その不安感は少なくなったのです。
今は全くありません。
思い返せば、こちらに来るために不安感が起こったような気がします。
わかりませんが・・・例えば、導かれる必要があったのかと」
院長はそのまま黙っている。
「実は一昨日、ここを通りました。
この奥の露天風呂の帰り道でした。
急に不安感とは全く逆の、期待感とでもいうドキドキがありました。
そして、昨日、柳玲香さんと出会った時、どうしても知り合いになりたかった。
遥か昔の青春時代の気持ちのようでした。
男性ではありませんから、恋愛感情とは別ですけれど」
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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