カルテ番号 あ・28 4度目(3)
愛田恵子は言った。
「アタシの店、一応日本の代表みたいな顔した人ばかり来るでしょ。
いわば、欲望の渦のようなもんよね」
日本の政財官のトップはもちろん、各業界の名士と言われる人達が集まる店だ。
そのオーナーママだが、みんなまとめて欲望の渦と言ってしまうところが長寿族だ。
どんなに成功しただの、トップになっただの、財産が山ほどあるといっても、長寿族からみればたちまち亡くなってしまう存在だ。
そんな貴重な人生を成功する為に使うなんて、欲望の渦としか思えないのだ。
だが、愛田恵子はだから人間は可愛い、とも言う。
愚かで、未熟で、欠陥品だから可愛いのだ。
それは多少一般の人間より長生きできる自分達も同じだ。
同じく愚かで、未熟で、欠陥だらけの人間の一人だ。
出来損ないだから、愛おしいのよ、とも言う。
「先が見える残り寿命なのに、まだトップにいたいのよ。可愛いでしょ」
風間陽水は仕事柄、多くの人の死に触れてしまう。
人は立派でも愚かでも変わらないとは思うが、可愛いとは思わない。
「いくら愚かで可愛いとはいえ、毎日欲望の渦にいると嫌になるのよね~
たまには本当に綺麗な場に浸りたくなるわけよ」
愛田恵子は気まぐれで行動する。
ふっと思いついたらしい。
そうだ、チベットに行こう。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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